シナリオ 寺井ルート ７月２６日（木曜日）・その３
看病したい
寮長「先生、寺井さんはどうですか？」[pcm]
いつのまに戻っていたのか、寮長が声をかけてきた。[pcm]
真緒「ああ、さっきまでうなされてたけどもう大丈夫みたいだ」[pcm]
真緒「今は落ちついて寝てるよ」[pcm]
寮長「うなされて……」[pcm]
真緒「ああ」[pcm]
寮長「可哀そう……」[pcm]
真緒「そうだな」[pcm]
寮長「でも今は幸せそうな顔で寝ていますね」[pcm]
真緒「そう？」[pcm]
寮長「きっと先生が手を握っているからかもしれませんね、ふふ」[pcm]
真緒「あ、いや、これは……莉緒が心配で」[pcm]
寮長「分かってますよ先生。それに、寺井さんもそうして欲しいと思いますから」[pcm]
真緒「そう、かな。そうだと良いんだけど」[pcm]
寮長「ええ」[pcm]
真緒（それはさておき……）[pcm]
真緒「寮長」[pcm]
寮長「はい？」[pcm]
真緒「莉緒はぼくが診るよ」[pcm]
寮長「先生が？」[pcm]
真緒「でもまぁ、服の着替えとかは寮長にしてもらわなきゃだけどね」[pcm]
寮長「分かりました。今日は先生が側にいて看病してあげて下さい」[pcm]
真緒「ああ」[pcm]
寮長「着替えや食事は私が持ってきますから」[pcm]
真緒「ありがとう寮長」[pcm]
寮長「いえ、二人の邪魔をするわけにはいきませんしね。ふふ」[pcm]
真緒「りょ、寮長」[pcm]
寮長「じゃあ私はこれで」[pcm]
悪戯な笑みを見せて寮長が部屋を出る。[pcm]
また妙な誤解をして……もしょうがないし、別にいいか。[pcm]
寮長「………」[pcm]
芽衣子「寮長」[pcm]
寮長「あ、岸岡さん」[pcm]
芽衣子「暗い顔をしてるが、どうしたのだ？」[pcm]
寮長「いえ、なにもありませんよ。ただ」[pcm]
芽衣子「ただ？」[pcm]
寮長「少し羨ましいなって」[pcm]
芽衣子「なんの話だ？」[pcm]
寮長「心細い時に、信頼できる人が側にいてくれるだけで」[pcm]
寮長「それだけでどんなに救われるか……」[pcm]
芽衣子「寮長……どうしたというのだ？」[pcm]
寮長「私、ちょっと変ですね……どうしたんだろ」[pcm]
芽衣子「いや、変ではないぞ」[pcm]
寮長「そうですか？」[pcm]
芽衣子「私も寮長と同じだ」[pcm]
寮長「岸岡さん……」[pcm]
芽衣子「しかし、いったい誰と誰が羨ましいのだ寮長？」[pcm]
寮長「え！？ それは……」[pcm]
芽衣子「………」[pcm]
寮長「え、えっと、その……寺井さんと」[pcm]
芽衣子「あの小娘と誰だ？」[pcm]
寮長「それは……」[pcm]
芽衣子「魔王様か」[pcm]
寮長「……先生です」[pcm]
芽衣子「……やはりか。で、真緒様はどこにいるんだ？ あの小娘となにをしている？」[pcm]
寮長「寺井さんが熱を出して、先生は付きっきりで看病を」[pcm]
芽衣子「！！」[pcm]
寮長「岸岡さん？」[pcm]
芽衣子「つ、つきっきり……」[pcm]
芽衣子「何故あの小娘の相手など……ここに芽衣子がおりますのに」[pcm]
寮長「………」[pcm]
芽衣子「私も行かねば」[pcm]
寮長「岸岡さんだめです」[pcm]
芽衣子「……なぜだ？」[pcm]
寮長「二人きりにしてあげてください」[pcm]
芽衣子「……理由次第では寮長も私の敵とみなす事になるぞ」[pcm]
寮長「寺井さん、高熱でほんとに苦しんでるんです」[pcm]
芽衣子「……熱」[pcm]
寮長「ええ、終業式の日にずぶ濡れになって帰ってきて、それで」[pcm]
芽衣子「終業式の日……」[pcm]
寮長「はい。どうかしました？」[pcm]
芽衣子「……いや、なにもない」[pcm]
芽衣子「続けてくれ」[pcm]
寮長「病気の時って心細くなりますよね。だから先生と二人きりにさせてあげたくて」[pcm]
芽衣子「……意味が分からんぞ寮長」[pcm]
寮長「………」[pcm]
芽衣子「だが、今日はその言葉に従おう」[pcm]
寮長「岸岡さん」[pcm]
芽衣子「………」[pcm]
寮長「ありがとう」[pcm]
芽衣子「魔王様の事だ。きっと何か作戦に違いあるまい。
ならば私は信じて待つのみ」[pcm]
寮長「………」[pcm]
最終更新：2010年07月12日 00:36
