シナリオ 寺井ルート 7月26日(木曜日)・その4
莉緒の気持ち
真緒「下がらないな……」[pcm]
測り終えた体温計を診てため息をつく。[lr]
莉緒を看病して半日は立つのに今だ数値は変わらない。[pcm]
莉緒もずっと眠ったままだ。[pcm]
真緒「………」[pcm]
もうとっくに日も暮れてる。[lr]
今は九時過ぎぐらいだろうか。[pcm]
このまま夜通しで莉緒を診てもいいが、さすがにそれはまずいかもしれない。[pcm]
ぼく自身はずっと診ていたいけど、一晩部屋にいたという事が知れたら
あいつらうるさいだろうしな。[pcm]
看病してたって言っても聞きやしないだろうし……[pcm]
ばれないようにする……ってのも変な話だ。[lr]
別にやましい事をしてる訳でもないからさ。[pcm]
真緒「うーん……」[pcm]
看病を続けるか、それとも夜は寮長に任せるか。[l]
眠っている莉緒を見ながら考える。[pcm]
莉緒「……う」[pcm]
真緒(お? 起きたか?)[pcm]
莉緒「………」[pcm]
莉緒が眼を開けた。[lr]
しばらくぼっと天井を見つめて、それからやっとぼくに気がついたようだ。[pcm]
莉緒「あ……真緒くん?」[pcm]
真緒「ああ、大丈夫か?」[pcm]
莉緒「あたし……どうしたの?」[pcm]
真緒「ひどい熱を出してたんだよ」[pcm]
莉緒「……そう、それで体が重いんだ」[pcm]
真緒「ああ」[pcm]
天井に向けた視線を変える事なく莉緒は喋っている。[pcm]
それと……[lr]
……気づいているだろうけど何も言わないな。[lr]
手を握ってる事。[pcm]
莉緒「……頭が痛い」[pcm]
真緒「ああ、まだ熱下がってないからな。ゆっくり寝てろ」[pcm]
莉緒「……ん、寝る」[pcm]
真緒「おやすみ莉緒」[pcm]
莉緒「……ありがと」[pcm]
真緒「え?」[pcm]
莉緒「………」[pcm]
寮長「先生いますか? 入りますよ」[pcm]
真緒「寮長か。ああ、いるよ」[pcm]
寮長「寺井さんはどうですか?」[pcm]
真緒「今起きたんだけど……また寝たかな?」[pcm]
莉緒「………」[pcm]
寮長「そうですか」[pcm]
寮長「あの、先生はこのまま看病されますか?」[pcm]
真緒「いや、それをどうしようかなって」[pcm]
寮長「え?」[pcm]
真緒「さすがにまずいかなって思うし……[lr]
いや、別に変な事するつもりはさらさら無いんだけどね」[pcm]
莉緒「………」[pcm]
寮長「分かっていますよ先生。皆に知れたら面倒だからですよね」[pcm]
真緒「うん、それなんだよ」[pcm]
真緒「ぼくとしてはずっといてあげたいけど」[pcm]
寮長「………」[pcm]
真緒「どうしたもんかな……」[pcm]
莉緒「……風邪うつっちゃうからいいわよ」[pcm]
真緒「莉緒?」[pcm]
寮長「あら?」[pcm]
莉緒「真緒くんに風邪うつしたくない……だからいい」[pcm]
真緒「莉緒……」[pcm]
莉緒「もう真緒くんは来ないで」[pcm]
真緒「………」[pcm]
寮長「寺井さん……」[pcm]
莉緒「迷惑かけたくないの……」[pcm]
真緒「……分かった」[pcm]
つないでいた手を離す。[lr]
瞬間、言い様のない寂しさに襲われた。[pcm]
真緒「じゃあ寮長、後は……」[pcm]
寮長「ええ、先生も休んで下さい。私が診ていますから」[pcm]
真緒「……ああ、頼むよ」[pcm]
真緒「あ、熱が下がらないようなら夜中でも叩き起こしてくれ。[l]
病院へ連れて行くからさ」[pcm]
寮長「分かりました」[pcm]
莉緒「………」[pcm]
真緒「………」[pcm]
拒絶されたようなされてないような。[lr]
まだ莉緒との間に距離がある気がする。[pcm]
……いや、今は考えないようにしよう。[lr]
莉緒が早く良くなる事だけを考えるべきだ。[pcm]
真緒「それじゃ」[pcm]
ぼくは部屋を出た。[pcm]
最終更新:2010年07月12日 00:38