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E-7/28-2

シナリオ 阿部高ルート 7月28日(土曜日)・その2

 価値観


 ※山

真緒「相変わらず綺麗だな」

「ああ……」

この場所、もう何回目だろう。
何度見ても本当に素敵な所で飽きない。

「さーて、一晩たったわけだが、キミの気持ちに変わりはないか?」

阿部高が唐突に聞いてきた。
一瞬何の事かと思ったけど、たぶん昨日の話だろう。
男が好きかどうかって話。

真緒「いや、残念ながら変わりは無いよ」

「そうか、キミのことだ。そう言うと思った」

真緒「………」

「男とおん…おっと、男と男ってのは上手くいかないもんだな」

真緒「まぁね、みんな苦労してるよね」

「ふふ、そうだな」

真緒「それよりさ、どうして今日はここに?」

「ん、ちょっと来たくなってな」

真緒「そう」

「それに、ここなら……」


そこで言葉を区切った後、遠くの山々を眺めている。
穏やかだけど、愁いを含んだ瞳で。

真緒「ここなら? なんだ?」

「ん、ああ、少しは素直になれるかなって」

真緒「素直に?」

「それと、キミに聞きたい事があって」

真緒「なんだ?」

「恋愛についてだ」

真緒「恋愛について、か。答えられる事ならな」

「大丈夫だ。無茶な事を言ったりするわけじゃない」

「俺は男だけど、まだ子どもだからな、だから聞きたいんだ」

真緒「うん」

「なぜ男ってのは、愛する人を放っておいてどこかへ行くんだい?」

真緒「……ん?」

阿部高はいったい何の話をしてるんだろう。検討がつかない。
てっきりまた、男好きになれだのなんだと言うのかと思った。

「なぜなんだ? 分かるかい?」

真緒「ごめん、質問の意味がよく…… 誰のっていうか、何の話をしてるんだ?」

「じゃ、もう少し詳しく聞こう。キミは愛する人を放って何日、何週間、いや何年も家を離れられるかい?」

真緒「んー、なんかよく分からないけど、理由があるならそういう事もあるんじゃないか?」

「理由?」

真緒「そう、例えば仕事で転勤とか」

「いや、そうじゃない。自分の夢や趣味でだ」

真緒「夢や趣味で……か」

「ああ……」

……と言われても、何て言えばいいのやら。
実際にそんな経験がある筈もなく、そもそも何より女っ気の無い生活だったしなぁ……
分からないってのが正直な所だな。

真緒「んー、正直分からない……けど」

「……けど?」

真緒「男って、そーゆうロマンを求めたりするもんだと思う。夢中になったらどこまでもーっていうのかな。そこら辺は分かる気がする」

「じゃ、キミもそうなのか? 夢中になれる何かがあれば、どこかへ行ってしまうのか?」

真緒「ぼくは……そういうタイプじゃないな」

「行かないのか?」

真緒「好きな人に寂しい思いをさせたくないしさ、何より自分が寂しいしね」

「そ、そうか! キミはそうなんだな!」

真緒「うん」

「あは、嬉しいよ」

真緒「でも、それがどうしたの?」

「……え?」

真緒「いや、どうしてそんな事を聞くのかなって」

「そ、それはその……」

「こ、こないだ見た映画でそんなのがあってさ。それで、キミに聞こうって……」

真緒「そうなんだ」

「う、うん」

真緒「まぁ、映画ならそんな話多いだろうけど、実際はさ、そんな男の人は少ないと思うよ」

「そうなのか?」

真緒「うん、ぼくはそう思う」

「へへっ、良かった」

真緒「良かった?」

「うん!」

真緒「?」

へへっと笑いながらすり寄ってくる阿部高。
なんだかとても嬉しそうなので、
いつもみたいに『引っ付くな』なんて言えなかった。

傍から見れば、恋人同士が腕組んで景色を眺めてる様に見えるのか。
それとも、父娘か兄妹に見えるのか……

辺りには誰もいないのに、なんだかそんな事ばかりを気にしてしまうのは何故だろう。
ぼくは景色そっちのけで、無邪気に笑う阿部高を眺めていた。


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最終更新:2010年03月09日 22:31
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