シナリオ 阿部高ルート 7月29日(土曜日)・その5
泣いちゃだめ
阿部高の手をとり全力で走る。
そして、無事にホテルへと戻ってきた。
真緒「もう大丈夫だな」
和「………」
男たちは追ってこなかった。
ぼくや阿部高の声を聞きつけたのか、
ちょっとした騒ぎになり人が集まってきていたからだろう。
それに、真昼間だしな。
まぁ良かった、ほんとに──
真緒「阿部高、もう大丈夫だから」
和「………」
部屋に着いたというのに、握っている手を離そうとしない。
強く握られているせいか、なんだかぼくも離せなかった。
真緒「とんだ災難だったな」
和「……ひぐ」
阿部高は泣いてる。
たしかに泣いてるんだけど……
これ以上泣くものかと、必死でこらえてる。
男は泣かないって、そう思ってるんだろうか。
もしそうなら……今はそんな事を思わないで欲しい。
あんな怖い目にあったんだから泣いて当然だ。
意地を張らずに、素直に感情を出して欲しいとぼくは思った。
そうする事で、忘れる事は出来なくても少しは癒されるはずだから──
真緒「阿部高、無理しなくて良いんだぞ」
和「……ぅ、う」
真緒「怖かっただろ? よく頑張ったよ阿部高。
もう怖くないからな、もう大丈夫だから」
和「ふわぁああああん」
せきを切ったように阿部高は大声で泣いた。
ぼくの胸に顔をうずめ、わんわんと。
その姿は、いつもの阿部高からは想像も出来ない程弱々しく、儚げだった。だから無性に愛おしくなって、ぼくは阿部高を抱きしめた……
最終更新:2010年07月14日 23:32