シナリオ 岸岡ルート 7月26日(木曜日)・その3
研修辞退
真緒「ん……」
真緒「………」
朝が来た。
まだ皆は寝ているようだ。
ま、明け方まで起きてたんじゃ当たり前か。
夜中の二時過ぎからまた騒ぎ始めて、
結局寝たのは……何時だ?
とかくそんな不健康な朝を迎えたわけだったが、
逆に好都合だと思った。
昨日学園長と話が出来なかったので、今日行こうと思う。
そう、岸岡が寝ている今のうちに行けばいいと。
何時に起きるのか分からないが、
できるだけそれまでには寮に帰っておきたい。
ぼくは急いで着替えを済ませ部屋を出た。
真緒「失礼します」
学園長「あら真緒ちゃん、どうしたの急に?」
真緒「少しお話が」
学園長「芽衣子ちゃんの事?」
真緒「あ、はい、そうです」
学園長「研修は行かないって言いたいんでしょ?」
真緒「……お見通しですか」
学園長「ふふ、寮長から色々聞いてるわ」
学園長「そうね、心配よね」
真緒「はい……研修は受けたいのですが」
学園長「そうねぇ、どうしようか」
真緒「申し訳ないですが、ぼくは辞退という事で」
学園長「とは言ってもねぇ、他の先生はみんなもう受けてるからねぇ。代わりをだすわけにいかないし」
真緒「誰も行かないという事は?」
学園長「そうねぇ……それもあるけど、
私としては今後の事も考えて真緒ちゃんにって思ったのよ」
真緒「………」
学園長「まぁ、事情が事情だし仕方ないわね」
真緒「はい、生徒をほってはおけません」
学園長「ふふ、教師の鑑ね」
真緒「いえ、ぼくは全然そんなんじゃ」
学園長「だからこそ研修に行って、これからの力にして欲しいんだけど……」
真緒「………」
学園長「そうねぇ……」
ばあちゃんは何か考えているようだ。
いったい、どんな事を考えているのか……
学園長「ねぇ真緒ちゃん、芽衣子ちゃんは真緒ちゃんといると落ち着いてるのよね」
真緒「え、あ、はい」
学園長「そう、それで真緒ちゃんは生徒に手をだすような子じゃないわよね?」
真緒「あ、当たりまえです!」
学園長「なら一緒に行きなさい」
満面の笑みでばあちゃんが言った。
真緒「一緒とは……?」
学園長「だから、芽衣子ちゃんと二人で研修によ」
真緒「え、でもそれはまずいんじゃ。
三泊四日ですよ?」
学園長「真緒ちゃんは生徒に手を出さないから、何も起こらないわよね?」
真緒「当たり前です!」
学園長「なら一緒にいてあげなさい。
あの子にとってそれが一番良いと思うわ」
真緒「一番良い、ですか?」
学園長「ええ、一番良いはずよ」
真緒「でも、いくら学園長の許可があるとはいえ生徒と二人きりでなんて」
学園長「ばれなきゃ大丈夫よ」
真緒「ば、ばれなきゃってそんな」
学園長「それとも真緒ちゃんは、芽衣子ちゃんと一緒にいたくないの?」
真緒「……それは」
学園長「ふふ、意地悪だったわね。一緒にいてあげたいから研修を辞退したんだものね」
真緒「はい……」
学園長「それじゃ、行ってきなさい。宿は二人分とっておくわ。
それに、もし何か起きても全部私が責任を持つから」
真緒「ばあちゃん……」
学園長「でも、子どもまでは責任もてないわよ」
真緒「こ、子どもって! 何を言ってるんですか!」
学園長「ふふ、冗談よ」
真緒「っとにもう……」
学園長「それじゃ明後日は二人で行ってきなさいね」
真緒「はい、色々とありがとうございます。
悩んでいた事がすっかり取れました」
学園長「どういたしまして。今度は真緒ちゃんがそれを芽衣子ちゃんにしてあげるのよ」
真緒「はい!」
学園長「ふふ」
真緒「それでは失礼します」
最終更新:2010年07月17日 00:23