シナリオ 8月9日(木曜日)・その6
生徒以上、恋人以上
※寮
真緒「誰もいない?」
せえら「みたいですわね」
寮に帰ったのは夕食前だった。
そろそろ時間のはずなのに、人がいない。
真緒「なんでだろ?」
せえら「あ!」
真緒「どうした?」
せえら「今日の料理当番は私ですわ!」
真緒「な、なんだと!」
せえら「……忘れてましたわ」
真緒「まったく……」
せえら「な!? だいだい遅くなったのは、興奮しまくったあなたのせいじゃにゃーですか!」
真緒「そ、それはそっちもだろ?」
せえら「ま、まぁそうかもしれませんけど」
せえら「あら、メイド長」
真緒「メイド長……」
せえら「メイド長……色々とありがとうですわ」
真緒「ありがとうメイド長」
メイド長「いえ」
真緒「そういえば、あの後はどうなったんです?」
せえら「………」
メイド長「ガラスは弁償だけで済みそうです」
メイド長「お見合いの件は……」
真緒「ま、まさか? 駄目とか?」
メイド長「いえ、要先生とお嬢様が結婚するという事で旦那様も納得しています。ご安心を」
メイド長「先方も仕方ないと言ってくれています」
せえら「良かったですわ……」
真緒「そうか、良かった」
メイド長「それで、旦那様と奥様からの伝言です」
真緒「ぼくに?」
メイド長「次の日曜、お嬢様と一緒に家に来るようにと」
メイド長「八十記家の跡取りとして迎えたいそうです」
真緒「え?」
せえら「ふふ、次の日曜ですわね」
メイド長「はい、しかし……」
せえら「どうしましたの?」
メイド長「いえ……要先生が時期旦那様となると思うと憂鬱で」
せえら「どうしてですの?」
メイド長「要先生を旦那様と呼ばなくてはいけませんから……」
真緒(メイド長がぼくを……?)
真緒(旦那様……ゴクリ)
せえら「ちょっと真緒センコー!」
真緒「え?」
せえら「なにニヤニヤしてますの??」
真緒「い、いや、別に」
せえら「……浮気は許しませんわよ」
真緒「す、するわけないだろ」
メイド長「ふふ、お幸せそうですね。
改めてお嬢様、おめでとうございます」
せえら「あ……うん、ありがとですわ」
メイド長「では、日曜の準備がありますから私は戻ります」
せえら「ええ、日曜日に」
メイド長「では」
真緒「丸く収まったみたいだな」
せえら「ええ、
メイド長とお母様と、あなたのおかげですわ」
真緒「いや、皆のおかげだよ」
せえら「そうですわね」
真緒「さて、莉緒たちにも言わないとな」
せえら「まだ内緒にしますわよ」
真緒「え?」
せえら「ワタクシから言うまでは秘密にしておいて欲しいですわ」
真緒「……まぁ、それでいいなら」
せえら「こっちの方が大変ですわ……」
真緒「え?」
せえら「なんでもにゃーです」
真緒「でも日曜って明後日じゃないか」
せえら「ええ、すぐですわ」
真緒「緊張するなぁ……」
芽衣子「なぜ緊張なさるのです?」
莉緒「二人でどこ行ってたのよ」
真緒「お、莉緒、岸岡」
せえら「………」
芽衣子「真緒様と八十記さんの姿が見えないと思っていましたが、
お二人でどこかへ行かれていたのですか?」
真緒「ま、まぁ、ちょっと」
せえら「ふふ、ちょっと行ってましたわね」
芽衣子「……八十記さん?」
莉緒「……妙に機嫌良いわね」
せえら「あら? ワタクシは普通ですわよ?
ねぇ真緒先生?」
莉緒「え?」
芽衣子「ま、お……先生?」
真緒(………)
せえら「ふふ」
莉緒「ど、どうしたのせえら?
どうしてセンコーじゃないの?」
芽衣子「ま、真緒様、これはいったい?」
真緒「いや、これは、センコーはいけないって八十記が分かってくれたからで」
せえら「………」
芽衣子「そうなのですか……
また私はいらぬ詮索をしてしまいました」
莉緒「せえら駄目よ! 魔王の言葉に耳を傾けちゃ!」
せえら「真緒先生、八十記とは呼ばない約束じゃありませんこと?」
真緒「え?」
せえら「さっきは名前で呼んでたじゃにゃーですか」
真緒「いや、それは二人の時だけって約束で……」
芽衣子「………」
莉緒「………」
真緒(しまった!?)
せえら「あら、そうでしたわね。
さてと、ワタクシは疲れましたから少し部屋で休んできますわ」
せえら「それでは失礼」
真緒「お、おい」
芽衣子「……名前」
莉緒「どういうこと?」
真緒「それは……あいつに聞いてくれ」
芽衣子「八十記さんに?」
莉緒「せえらの洗脳にも成功したのね……
待っててせえら! 助けてあげるわ!」
芽衣子「待て寺井莉緒! その前に話を聞くべきだ!」
真緒「………」
二人が追いかけていく。
内緒にって言っておきながら、ああも怪しかったら駄目だよな。
ていうか、わざと莉緒たちを挑発してた気が。
奏「セーンセ」
真緒「お、北上」
奏「せえらちゃんとすれ違ったけど、元気になってた」
真緒「うん、元気になったと思うよ」
奏「へへ、良かったし」
真緒「そうだな」
奏「でさ、今日の当番代わって欲しいって言われたんだけど」
真緒「あ……あいつ逃げたな」
奏「センセ手伝ってよ」
真緒「ああ、一緒にやろうか」
奏「じゃ、ご飯作りながらで良いから、聞かせてほしいし」
真緒「何を?」
奏「今日せえらちゃんとなにしてたかってこと」
真緒「ああ、話すよ」
奏「それじゃいこ」
真緒「ああ」
最終更新:2010年08月16日 10:16