シナリオ 8月10日(金曜日)・その1
婚約発表
※朝、食堂
せえら「全員そろいましたわね」
朝の食堂に全員が集まっている。
それは、昨日の晩に由来する。
八十記の態度があまりにもおかしい事に気がついた寮生。
夕食時、やたらとひっついてくる。
センコーから真緒先生への呼び名の変わりよう。
さらに、ぼくから八十記への態度もおかしいと見抜かれて……
さんざん揉めた後、今日の朝に事情説明及びあの事を発表する羽目になってしまった。
せえら「真緒先生、いいですわね」
メイド長「いますよ」
せえら「メイド長なら帰ったじゃにゃーですか」
真緒「あ、そうだった」
メイド長「いえ、います」
せえら「あら?」
真緒「え?」
メイド長「家の事はいいから、お嬢様と先生を見てろと旦那様から言われましたので。
一つ屋根の下、間違いが起きるかもしれないと心配されております」
真緒「はは……」
せえら「あら? メイド長なにを持ってますの?」
メイド長の手には白くて大きな……服だろうか?
いったい何だろう。
メイド長「気が早いですが、お祝いをしたいと思いまして。
それで、これを……」
せえら「え? なんですの?」
※うーん
メイド長「私の現役時代の特攻服です」
せえら「え? でもそれは、大事な物ではありませんの?」
メイド長「いえ、ただ捨てられずにいただけです。
以前お嬢様に見つかりそうになった時に捨てておけば良かったのですが、
なかなか捨てられずに……」
せえら「そんな大事なものをワタクシに?」
メイド長「今のお嬢様には不要な物かもしれませんが……」
せえら「いいえ、嬉しいですわ。ありがとうメイド長!!」
メイド長「お嬢様……」
真緒「………」
メイド長「要先生、お嬢様をどうかよろしくお願い致します」
メイド長が深く頭を下げる。
それはメイドとしてではなく、暴走族のヘッドの態度だった。
真緒「はい、分かりました。必ず幸せにします」
せえら「………」
和「な、なんなんだいこれは」
芽衣子「………」
奏「うーん」
莉緒「ど、どういうことよ寮長!」
寮長「これは……もしかしたら」
せえら「さあ、それでは話しますわ!」
せえら「実は昨日、先生と婚約しましたの」
莉緒「え?」
芽衣子「こ、んやく?」
和「なんだと!」
奏「そうなんだ」
寮長「あらあ」
せえら「ええ、私のお見合いがあったのですけど、
そこに先生が乗り込んできて、ワタクシを無理やり奪って行きましたの」
真緒(ちょっと違うぞ……)
せえら「そう、あれはまさに映画のようでしたわね。
なかなかドラマチックでしたわ」
莉緒「ちょ、ちょっとせえら……本当なの?」
せえら「ええ」
芽衣子「な、なんてことだ……」
和「さ、先を越されたのか!」
奏「悔しいけど、おめでとうせえらちゃん!」
寮長「おめでとうございます」
せえら「ええ、ありがとうですわ!」
莉緒「お、おめでとうじゃないわよ!!」
芽衣子「ゆ、許せぬ!」
和「認めないぞ!!」
せえら「そうは言いましても、もう決まったことですし、
それに……」
莉緒「な、なによ? なに照れてるのよ?」
芽衣子「ま、まさかすでに二人は……」
和「なんだと!」
せえら「残念ながらご想像のことはまだですけど、接吻なら済ませましたわ」
真緒「お、おま……」
莉緒「………」
芽衣子「………」
和「………」
奏「ちょ、ちょっとせえらちゃん! それはだめだよ!」
せえら「あら? どうしてですの?」
莉緒「当たり前でしょ!」
芽衣子「な、なんてことだ……」
和「ちくしょおおおおお」
真緒(お、怒ってるなぁ……)
真緒(口を挟みたい所だけど、よけい揉めそうだから止めとこ)
真緒(というか、ぼくはいない方がいいんじゃ?)
真緒(ここは生徒同士で話をするのが一番だ、うんうん)
真緒(て事で、こっそりと逃げよう)
莉緒「ちょっと真緒くん!」
真緒「う」
和「逃げようとしてるのかい!」
芽衣子「魔王様……」
真緒「そ、そんな事は」
せえら「まったく寺井たちと来ましたら……
ちっとも言うことを信じにゃーですわよ真緒先生」
真緒「そ、そうみたいね」
せえら「なーに他人事みたいに言って逃げようとして──」
真緒「な、なんだ」
せえら「ふふ、面倒だから逃げますわよ」
真緒「お、おう」
せえら「さ、早く!」
莉緒「あ! 待ちなさいよ!」
和「追え! 追うんだ!!」
最終更新:2010年08月16日 10:17