第十三話 想い
*( ‘ ‘)*「・・・ブーン君はここに残るのね・・・」
巫女が真剣な面持ちで言う。
それにリボンでも付けたような真剣なまなざしで、
( ^ω^)「ええ。僕はここに残りますお」
と言った。
もうブーンは気付いていた。
自分を支えてくれている人達の大きさに。
だからこそ、早く、追いつかなければならない。死ぬわけにはいかない。
*( ‘ ‘)*「わかったわ。それと・・・名無し、あなたがここにいるということは黒魔を倒したのね?」
その問い掛けに名無しは、「当然だ」と言い、鼻をならした。
*( ‘ ‘)*「そう。それでそれは何時間くらい前のこと?」
(´・ω・`)「二時間・・・いや、一時間半くらいか。」
それを聞き巫女は「なるほど」と言い放つ。
増軍が来るには時間がかかる、攻めるなら今がチャンス・・・と巫女の頭が回る。
相手の兵力はさほど大きくない・・・問題はVIPの叩き方だな・・・
と巫女が思慮していると、横から口が挟まれた。
( ・∀・)「あー・・・その件なんだが、どうやらVIPは自分以外の兵は撤退させたようだぞ?」
('A`)「それは本当か!?」
巫女が反応するより口裂けが早く反応する。
もしそれが本当なら・・・五対一だ。絶対になんとかなる。
( ・∀・)「ああ、本当だ。使い魔のネコで見張ってたんだがぞろぞろと撤退していた。まぁ他の奴は足手まといだと考えたんだな・・・」
( *゜ー゜)「それだけ聞ければ十分なの。早く行きましょう」
リップルが急かす。そうだ、長居してる意味はもうない。
巫女も立ち上がる。
*( ‘ ‘)*「作戦はむこうに向かいながら言うわ。」
そして・・・戦力外通告をされた同志にさよならを言う。
*( ‘ ‘)*「じゃあね、ブーン君」
( ^ω^)「はいですお!」
はきはきと返事を返す男。
それを聞き、リップルがこの弟子を愛しく思うわけがなんとなく分かったような気がした。
さよならはあえて言わない、とばかりに無言の師匠の顔には、『必ず、帰る』と書かれてあった。
('A`)「じゃあな、ブーン。」
( ^ω^)「口裂けさんも・・・頑張ってくださいお!」
('A`)「ああ・・・頑張るよ・・・」
他の四人はもう出発しようとしている。口裂けは、未練がましくブーンを見た。
──────もしこれで自分が死んだら。
こいつの成長を見れなくなってしまう。
そして、そう思うとなんとなくこう言いたくなる。
('A`)「ブーン・・・お前は強くなる。じゃあな。」
( ^ω^)「・・・さようならですお!」
確信に満ちた予言。
本当に未来が楽しみな奴だ、と微笑んだ。
去り行く五人の背中。その姿は勇ましく、幾多もの困難を乗り越え、その美酒を味わってきた者たちのものだった。
─────自分もそこにいたい。いたかった。
だがそれには。
経験が足りない。
実力が足りない。
信念が足りない。
情熱が足りない。
努力が足りない。
そしてなにより─────────
重みが足りない。
その得体のしれない重みは、一朝一夕で手に入れられるものじゃないと誰でも分かる。
だから。
(´・ω・`)「さて、君は君でやることがあるだろう?」
( ^ω^)「・・・はいですお!」
まずは返事からだ。
(´・ω・`)「そういえば君は魔力がまだ目覚めてないんだっけ?」
(;^ω^)「まぁそうですお。並くらいのことしか出来なくて・・・武器の強化とかも全然ですお・・」
ブーンは魔力に関してはからっきしである。
並のもの、というのは魔力を電気に例えれば静電気がたまーに出るくらいである。
(´・ω・`)「ふむ・・・じゃあ魔力を目覚めさせるために一番楽な方法を使うか・・」
そう言い名無しはとりにくを呼ぶ。
とりにくは小走りでこちらにやって来て用件を問う。その質問に名無しは、
(´・ω・`)「魔女の粉持ってね?」
と聞き慣れない語句を出す。
粉・・・もしや覚潜丸の時の様になるのでは・・と一瞬それが脳をよぎった瞬間、
(;^ω^)「待ってくださいお!」
と言っていた。
あの痛みは半端なものではない。
もしあれに近いものを味わうなら死んだ方がマシだと本気で思う。
(´・ω・`)「? どうしたんだい?」
(;^ω^)「あ・・・いやその粉とやらはものすごーく痛くなる薬とかじゃないですよね?」
(´・ω・`)「ん?あー・・・」
名無しが言葉を濁らす。そして気まずそうに目をそらす。
これは・・・
( ^ω^)「それでは帰らせていただきますね」
(´・ω・`)「冗談だ。痛みは全くない。」
( ^ω^)「・・・」
この人は本当にタチの悪い冗談が好きだなぁ・・・と心の中で呟く。
(;・∀・)「魔女の粉かぁー・・・今はないわ。」
(´・ω・`)「そうか・・・めんどくさいけど錬金術師のところまで行くか。」
(?^ω^)「錬金術師・・・?」
(´・ω・`)「ああ、まぁブーンは知らないか。ついてきなよ。悪い人ってわけじゃないから」
錬金術師。ブーンにはどんな事をする人か全く予想もつかない。
錬金術師といえば金を練成する者だ。だがそんなこと出来るとは思えない。
ゆえに怪しい。・・・しかし名無しが悪い人ではないと言っている。
会ってもおそらく害はないだろう。
(´・ω・`)「それじゃあ行こうか。」
( ^ω^)「はいですお!」
歩き出す名無しとブーンととりにく。
方角的にウィンディアの街とは少し違う方に歩いている。
通常なら夜には歩けない森の中、暗闇の道だがとりにくが魔術の明かりを照らしている。
ブーンは安心して名無しの後に続いていた。というものもとりにくが魔除けを張っているらしいのだ。
とりにくの魔術なら安心出来る、と思うブーン。
そう思っていると名無しがしゃべりだす。
(´・ω・`)「ここウィンディアは実は錬金術師の街でね・・・」
(´・ω・`)「ここに錬金術師の集団が拠点を置いている。その集団の中に僕が懇意にしている錬金術師がいてね。」
( ^ω^)「なるほどですお・・・」
(´・ω・`)「くれぐれも無礼のないようにね。彼らの結束は堅い。敵に回すと厄介だよ。」
それを聞き、ブーンはなんとなく自分が鍋で煮込まれる姿を想像した。
( ^ω^)「(絶対おとなしくするおwwww)」
(´・ω・`)「それで粉の副作用なんだけどね・・・」
(´・ω・`)「それには魔力の仕組みとかそこらへんから説明しなければならない。聞いてくれるか?」
( ^ω^)「もちろんですお!」
詳しく魔術や魔力の仕組みについて聞けるなら願ったり叶ったりだ。
(´・ω・`)「よし、まず魔力の供給源だが、これは精神エネルギーによって賄われている。」
( ^ω^)「精神エネルギー?」
(´・ω・`)「ああ。逆に走るときなんかに使うのは肉体エネルギーだ。精神エネルギーは肉体エネルギーと密接に繋がりあっている。」
(´・ω・`)「この説明はすごく難しいから出来ないんだが・・・まぁ魔術を使いまくっても走ったのと同じように疲れるというわけだ。
そうだよなとりにく?」
とりにくがうなずく。それを見て名無しは説明を続けた。
(´・ω・`)「それと、肉体エネルギーは筋肉によって燃焼される。いわば発火を促すものだよ。」
(´・ω・`)「これに対して精神エネルギーは全身にそのエネルギーを回す回路に入った瞬間魔力になる。」
(´・ω・`)「この回路は電気回路ととてもよく似ていてね・・・だからこそ粉の副作用がある。」
( ^ω^)「ほほう・・・で、粉の副作用とはなんですかお?」
(´・ω・`)「うん、粉は君の魔力の回路を目覚めさせるものだ。君は一部分の回路しか使えていない。それを全部急に開かせる。つまり・・・」
(´・ω・`)「熱っぽくなる。まぁ魔力の絶対量が生まれつき多いやつはエネルギーをあり余すようになる。」
(?^ω^)「熱っぽくなるんですかお?でもなんで・・・」
(´・ω・`)「あぁ、忘れてたけどいつでも魔力は君の体を巡ってるんだよ。
回路を目覚めさせるとそこにも魔力が流れる。
普通の人は目覚めた回路が流れてくる魔力を制御しきれずに熱っぽくなる。
でも二日か三日で回路がそれに慣れるから大丈夫。」
( ^ω^)「じゃあなんで魔力の絶対量が生まれつき多い人はエネルギーをあり余すんですかお?」
(´・ω・`)「それは・・・とりにくに語ってもらおう。」
( ・∀・)「俺にふるなwwwwまぁ俺が実例なんだけど・・・」
実例・・・?とブーンは思った。
そうなった人がこんなに身近にいることが何だか理解出来なかった。
( ・∀・)「まぁ生まれつき魔力の絶対量が多い=回路が強い、になるんだよ。」
( ・∀・)「しかも有り余った精神エネルギーを発する為に粉を飲む前にほとんど回路は開いてたしね。」
( ・∀・)「しかも粉には魔力補充の意味もあるしね。まぁ遅効性だから戦闘には不向きだけど・・・」
(´・ω・`)「よって、エネルギーをあり余すことになる、はい終わり」
名無しがまとめる。
ところどころ、よく分からないところがあったが、魔力の仕組みについては分かった。
(´・ω・`)「そろそろ錬金術師のところに着くね。うひひ・・・」
名無しがそう言う。
ブーンはなんとなくウィンディア奪還に行った五人を思い出した。
ブーンは立ち止まり、木々の間に見える夜空を見る。
( ^ω^)「早く・・・あの人達のように強くならなきゃだめだお・・・」
ここはウィンディア要塞前。
風さえも全く吹かず、全てが沈黙に包まれている。
嵐の前の静けさといったところか。
その中で一人と五人が対峙する。
そして・・・この要塞の守護者、VIPが口を開く。
(`・ω・´)「全く・・・一対五とはな・・・そこまでしてウィンディアを奪還したいかね・・」
溜め息混じりにそう言う。
挑戦者たちは卑怯だとか、そういうことは全く思っていない。
この男にはそのくらいしないと勝てない。
挑戦者のリーダー、巫女が口を開く。
*( ‘ ‘)*「あなたとおしゃべりする気はないわ。私たちは何がなんでもここを奪還するのよ。」
(`・ω・´)「そうかい・・・じゃあ・・・」
右手に剣を持つVIP。騎士に似合う、細身の剣。
それを見て、挑戦者たちも各々の武器を構える。
(`・ω・´)「早々にお立ち去り願おう!」
VIPが突っ込んでくる。
そのスピードは尋常じゃない。
突き穿つ槍のごとく。
そして目は獲物を狙う鷹の目。
挑戦者たちは鷹から逃げることしか考えなかった。
いや、それしか考えられなかった。
逃げ遅れたものは・・・
ばよえーん「う、うわあああああああ!!!」
(`・ω・´)「フン、まずは一匹か。」
VIPの横に倒れこむばよえーん。
捕まれば、命はない。
逃げて、体勢を立て直してスキを待つしかない相手。
それが今回の相手だ。
(;'A`)「クソ!なんだあの化け物は!」
脱兎のごとく走りながら悪態をつく口裂け。
手立てはあまりない。
だが・・・巫女様から言い渡された作戦がある。
その重要な役目。それは自分にしか出来なかった。
('A`)「クソ・・・クソ!なんであんな恐ろしいものに突っ込まなきゃ・・・」
だが決心を固め、逃げることをやめる。そして、距離があるもののVIPと対峙する。
('A`)「いけねーんだよッ!」
魔力を込める。
彼だけの特異な場所に。
巫女に言い渡された任務。
───────それは、自分が囮になることだった。
幻か現か、口裂けの目が赤く染まった。
第十三話 完
最終更新:2007年09月30日 16:54