第十六話 姉御
(サブタイトル・VIXが窓際に座ってて本読みつつその肩が茜色に染まってるCGを絵師様頼む、ちなみにポニーテールの方で)
目覚めは最悪だった。
まず、寝間着にも着替えずに部屋に入った途端寝たため、服が汗でびしょ濡れで臭い。
さらに頭がボーッとし、熱っぽいのは受け継がれ、体じゅうがとてつもなくだるい。
ベッドから起き上がることすら体がだるくて今の自分には重労働だった。
これじゃただの風邪だ。
時計を見るとすでに10時を過ぎていた。
とにかく、風呂に入ろう、そう思った。
このまま寝ていたい衝動を押さえ、だるい体にムチ打って起き、自分の荷物から着替えの服を取り出した。
だがそこまでしたところで思い出した。
自分はこの城のような要塞のどこに風呂があるか知らない。少なくとも分かるのはこの部屋には風呂などないことだ。
ここは古ぼけた寝室である。自分が使っていたベッドの他にもう一つベッドがある。
そういえば体が重くて気付かなかったが・・・もう一つのベッドも使われた形跡がある。
( ^ω^)「そういえば・・・巫女様がフュリアにいた皆をこっちに呼び出したんだったっけ・・・」
ということは自分は誰かと相部屋になった、ということだ。
まぁいい。そんなことより風呂だ。きっと要塞にだって風呂くらいあるだろう。衛生的に考えて・・・血とか洗い流すために。
そう思ってると部屋のドアが開き、見たことのある人影が入って来た。
(■_■)「ん・・・?ブーン君、体はいいのか?」
入って来たエスがそう言う。
どうやらこの人と相部屋になったようだ。
しかも自分の状態を知ってくれているようだ。
(;^ω^)「いや、大丈夫じゃないですお。しんどいし汗臭いからお風呂に入ろうと思ってたんですが・・・ここにはお風呂ありますかお?」
(■_■)「ああ、あるよ。風呂じゃなくシャワーだけどね。昨日私も使ったからね。」
即答してくれた。
( ^ω^)「どこにあるんですかお?」
(■_■)「それは・・・」
エスが急に俯いて考え出した。その間約12秒ほど。顔をあげたエスはその額に汗を滲ませていた。
(;■_■)「百聞は一見にしかずだ!ついて来い!」
結局連れ出されるはめになった。
風呂に行くにはでっかい広間を通ることになった。広間はまさに城、という感じのものだった。大きな柱が等間隔で建ち並び、扉がいくつもあった。
一つ一つの扉にはプレートがついており、どこに通じるかなど書いてあったので扉を間違えることはなさそうだ。
しかしなんだか大変な要塞だお・・・と思った。
確かフュリアの要塞はもっと近未来的なものだった。シルバー、って感じの。
自分達は、『リネン室・洗面所・シャワー室』と書かれた扉を通った。
ここまで来る途中、エスは一度も喋らない。正直きついなぁ・・・と思っているとエスが急に立ち止まり、部屋を出てから始めて口を開いた。
(■_■)「ここがシャワー室だ。」
確かに、律義にもプレートがそれを物語っていた。
( ^ω^)「ありがとうございますお!」
ブーンが礼を言う。エスは顔に微笑をたたえて、
(■_■)「いや、礼には及ばないよ。では」
と言い、背を向け去っていった。
それからブーンは手っ取り早くシャワーを浴びた。そしてだるい体を休めるため部屋にさっさと帰ることにした。
シャワー室を去り、こちらからは広間に繋がるドアを開ける。
そこには・・・
从 ゜∀从「おー!!ブーン、ちわっす!」
VIXさんが柱に腰掛けていた。
从 ゜∀从「へへ、魔力の回路を全部開いたらしいな。名無しから聞いたぜ。」
立ち上がりながらそう言う。
だがそんな無駄話はしたくない。一刻も早く部屋に帰って体を休めたかった。
(;^ω^)「すいませんお、早く部屋に帰って休みたいので・・・」
と言いVIXをスルーして脇を通り過ぎようとした。だが、
从 ゜∀从「待ちな」
と、いつの間にか目の前に立たれ、とおせんぼをされた。
素早くVIXが言葉を発する。
从 ゜∀从「近くに俺達の部屋があるから来なよ。体だるいだろ?看病くらいはしてやるぜ?」
突然の提案にキョトンとするブーン。
从 ゜∀从「しょうがねぇな・・・おぶってやるから」
VIXはそう言い、背中を向けて座り込み、おんぶをする体勢を取った。
またもキョトン、とするブーン。
从#゜∀从「何ボーッとしてやがるんだ早くしやがれ!」
(;^ω^)「す、すいませんお!」
勢いに押され訳が分からないままおぶってもらった。
とても暖かくて、頼りたくなる背中だった。
目の前はVIXさんの髪だ。
金髪のポニーテールで、一纏めにした髪は今はVIXの背中ではなく体の方に垂れかかっている。
ほんのりといい香りがする。
その匂いで思い出した。
VIXさんは女だということに。
だがブーンには今更声をあげる力もなく、黙ったままだった。というか実はとても眠くて、寝てしまいそうだった。
ただ、背中におぶられているだけなのに、暖かく、包み込まれてしまうような錯覚に陥る。そしてそれは強烈な眠気に姿を変える。
眠りにつこうとしている意識のなかで、ブーンは姉属性ってもしかして最強なんじゃね、と思った。
後ろから寝息が聞こえる。ここは自分の部屋、もちろん相部屋だが。
自分の部屋まで来たはいいものの、おぶったブーンをどうやってベッドに移すか悩んでいた。
从;゜∀从「うーん・・・起こしたくはないし・・・」
(´・ω・`)「手伝ってやろうか?」
从 ゜∀从「お、手伝ってくれるのか?それは助かるねぇ・・・ってなんでお前がここにいるのさ」
ベッドの反対側に位置するイスに名無しが座っていた。
名無しは溜め息をしながら立ち上がり、
(´・ω・`)「そこはもっと激しくノリツッコミだろ・・・『ってうおわぁっ!?』みたいな感じで。
中途半端だよ。なに落ち着いてんだよ。」
从 ゜∀从「うっせぇwww知るかwww とりあえず手伝ってくれ」
(´・ω・`)「おk」
名無しがブーンをVIXの背中からひっぺがし、ベッドに寝かせてくれた。
それをし終わった瞬間、
从 ゜∀从「さぁ帰れ。ここは女子専用だ。」
と厳しい口調で言った。
(´・ω・`)「オー、これではジェントルメンの名に傷がついてしまう。まさか僕が女子専用の部屋に入り込むなんて。」
と名無しは馬鹿にしたように棒読みでそう言った。
そしてスタスタと出口に歩いて行く。
从 ゜∀从「妙に素直だな・・・」
名無しにドアまでついて行きつつ本音が出る。
それを聞いて名無しは、
(´・ω・`)「いや、ブーン君がどんな感じか見に来ただけだ。他の用件はないからね。」
と、ドアを開けつつそう言う。最後に小さく「じゃあな」と言いつつ。
それを聞きVIXも「じゃあな」と漏らした。
そして扉が閉まった。
从;゜∀从「ふう・・・」
溜め息を吐く。何気なく時計を見ると11時を過ぎていた。
从 ゜∀从「さて、なんか食い物を作ってあげるかな・・・」
そう言いながらVIXは部屋を出て、厨房の場所を思い出そうとした。
( ^ω^)「うーん・・・」
ブーンはよく眠った、とばかりに伸びをした。
結局あの後VIXさんに雑炊を戴き、それからぐっすり寝た。
時計を見れば・・・もう六時である。東の空が赤に染まりつつある。
(;^ω^)「寝過ぎたお・・・」
目元をごしごしとこすりながら言う。
从 ゜∀从「まったくだな、お寝坊さんよ」
VIXがブーンを見ながらあきれた顔で言う。
窓際のイスにもたれ本を読んでいる。窓から入り込む夕日がVIXを茜色に染めている。
今日一日、この人はここで自分のことを見てくれていた。
・・・そう思うと感謝の気持ちと世話焼きだなぁという気持ちが出る。
ふと、こんなに姉御肌なら弟とか妹とかいるんじゃないか?と思った。
( ^ω^)「VIXさんって弟とかいるんですかお?」
そう聞いた。特に何も考えずに。
从 ゜∀从「ああ。弟ね。いたよ」
VIXは本から目を離さずそう言った。
・・・その言葉に少なからず違和感を覚えた。触れてはいけない話題だった。
从 ゜∀从「三年前にあっさり死んじまったよ。」
すぐに後悔した。
VIXはまったく顔色を変えずにそう言ったが、茜色に染まった肩がものすごく悲しげに見えた。それでいて足下は陰に覆われている。
ものすごく、そう、ものすごく悲しそうに見えた。
( ^ω^)「・・・・・・」
何か言おうとしても、あまりにも悲しそうで何も言えなかった。
沈黙が二人の間に流れ、しばらくしてVIXが本から目を離さず話し始めた。
从 ゜∀从「これがあっさりした、ありふれた話でな。」
从 ゜∀从「車に轢かれて、はいお終い、それだけだ。」
また沈黙が流れる。耐え切れずブーンが、
(;^ω^)「すいませんお、そんなこと聞いてしまって・・・」
と言った。
从 ゜∀从「いや、謝ることは・・・」
そうVIXが言いかけた瞬間、扉が開いた。
( *゜ー゜)「ただいまー、ってあれブーン君?」
出て来たのはリップルさんだった。どうやらVIXとこの部屋を共有しているのはリップルらしい。背中にはバットケースを担いでいる。
( ^ω^)「あ、リップルさんおじゃましてますお」
从 ゜∀从「おいす」
( *゜ー゜)「ちょうどよかった。ブーン君明日から特訓なの」
バットケースを自分の(と思われる)ベッドの横に置きつつリップルラップルはそう言った。
(;^ω^)「えええ!ま、まぁいいですけど・・・体のだるさが治るかどうかわかんないですお・・・」
( *゜ー゜)「まぁ初日はそんな激しい運動しないから大丈夫。」
( ^ω^)「じゃあ何するんですかお?」
( *゜ー゜)「ブーン君が戦争で戦力になるには、ブーン君の特性を活かした戦い方をしなくてはならないの。まぁその練習なの」
(;^ω^)「おおおお!何かktkr!気力で治しますお!」
从 ゜∀从「ブーンよかったじゃん!よーし俺が精力増強剤でもかっぱらってきてやんよ。あとうまい晩飯も」
( *゜ー゜)「あたしの分もお願いなのwwww」
从 ゜∀从「ちょwww二人前まいどーwww」
そう言ってVIXは部屋を飛び出した。
なんだか今夜は楽しくなりそうだ。
翌朝。
ブーンの体のだるさはほぼ完全に治っていた。
窓から見える空は晴れ晴れとした晴天である。
( ^ω^)「絶好の修行日和だお!」
ブーンは自分のバックから着替えを取り出し、着替える。
昨日、寝る直前まではVIX達の部屋にいたものの、結局寝るとなるとこの部屋に帰って来た。
理由は、貞操を守るのもあったのだが、ベッドが二つしかないからである。
よそ者の自分が二人の寝床を奪うことはまずありえない。
横のベッドにはエスがまだ寝ている。まぁもちろんだがサングラスは外している。
( ^ω^)「よし・・・飯食って要塞前広場だお!」
ブーンは部屋を飛び出した。
(´・ω・`)「待ってたよ」
( *゜ー゜)「おはようなの」
( ^ω^)「すいませんお!で、何をどう修行するんですかお?」
(´・ω・`)「いきなり本題だなw」
要塞前の広場には草原が広がっており、修行って感じはしないが清々しい気持ちにさせる。
しかも今は朝。空気が凜と冷えていて、よりいっそう清々しい気分になる。
そんな空気の中で、名無しが今回の特訓の説明をした。
(´・ω・`)「今回は君の、足に魔力が通りやすいという特性を活かすための特訓だ。」
( *゜ー゜)「簡単に言うとブーン君に合った技の取得なのw」
( ^ω^)「技・・・!wktk!」
ブーンの中で期待が膨れ上がる。
名無しが高々にコールする。
(´・ω・`)「今回、君が取得する技はッ!!」
(´・ω・`)「 神 風 だ」
第十六話 完
最終更新:2007年10月15日 19:16