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( ^ω^)がFHの世界に飛び込んだようです 第二十三話

第二十三話 挟撃・中編


「ふわあああああ・・・」

大きなあくびを一つするファルフリート。
その気持ちは手にとるように分かる。こんなつまらない守備の仕事ではあくびも出るだろう。
なんせ守備というものはいつ来るか分からない敵に対して臨戦態勢を解いてはいけないし、大抵その苦労はこのような場所では無駄に終わる。
つまり、やることもなく突っ立っているだけの仕事だ。
とはいえ立っているのは限界が来る。
なので、二人とももう座り込んでいる。

「ふわあああああ・・・」

とまた大きなあくび。多分守備をつまらないと思うのは誰もが一度は通る道だろう。
私は、なんとなく言う言葉を投げ掛けた。特に喋ることがない時の『寒いね』だの『暑いね』だのと同じレベルの言葉だ。

ξ ゜⊿゜)ξ「暇だわね・・・」

( ゜∀゜)「ああ・・・そうだな・・」

そしてこれもなんとなくの相槌。
会話はまったく前に進まない。
二人とも会話をする気がないわけではないのだが、親しくもなく仲が悪いわけでもない人同士では話しかける内容が見つからない。
シャナははあ、と溜め息をつき、夜空を見上げた。
今日は曇っていて星も何も見えない。
会話が止まったからかよけい静かに感じる。
耳を澄ませば隣街のセレスでの戦いの音が聞こえてきそうだ。
そう思うと戦いへの欲望が沸き出して来る。
自分達のような騎士や戦うことを仕事にしている人たちは戦いを命を懸けるスポーツのように感じている。
中には命を取らないものもいるが、本当の戦いではそんなあまっちょろいこと、私は出来ない。また、されても嫌だ。
せっかく命を差し出しているのに取ってやらないなんておかしい。
だけど───差し出していない命を取るのだけは──絶対にやってはいけないことだ。
戦いはスポーツだ。
そしてそこにはスポーツマンシップ、礼儀というものがある。
暗黙のルールに乗っ取った、正々堂々とした“試合”をしなくてはならない。

ξ ゜⊿゜)ξ「(我ながら歪んだ倫理感よね・・・)」

そう思うことで視野を広くする。
私は想像力がないわけではない。
私のような考えではない人───例えば、戦いであれ命は取らないなど───がいても、それでいいと思う。
それを許容出来ない人は、想像力が無い人だ。頑固者だ。
そういう想像力が無い人たちこそこの世にいるべきではない。
だいぶ前だったか、轟が話していたことにもそんな人が出て来ていた。
殺人鬼の話だったかな、よくは覚えていないが。
夜空にまた目を移す。
きっと想像力がない人はこの曇りの夜の空のようなのだろう。
自己の考えという閉ざされた地に入り込む他の世界に耐えきれず、他の考えに己の考えを押しつける。
理解してもらえなければ切り捨てようとする。そして『分かってくれない』などとひねくれる。
曇り空の向こうにはキレイな星が輝いているというのに。




ξ ゜⊿゜)ξ「(そういえばファルフリートのあくびが止まってる・・・)」

先ほどまでお前はそんなに眠いのか、というほどあくびをしていたファルフリートである。
それが急に止まる・・・ということは。
チラっと横を見る。
ファルフリートは座禅を組み、指を手の甲を下にして組んでいる。
目は閉じているが、その眉間にはしわが寄っている。
寝てる・・・わけではない。少し安心した。
瞑想だとか黙想だとか言われる修業法だろうか。
ファルフリートは武術の達人なのでそんなことをしていてもなんら不自然ではない。
そんなことを思いながらファルフリートを見ていると、ファルフリートはゆっくりと目を開けた。
だが、それは私が見ていたことに気付いて目を開けたわけでもない、瞑想が終わったわけでもない。
ファルフリートはただ一言、

( ゜∀゜)「来るぞ───」

と言った。






奇襲を仕掛ける必要は夢ムラたちにはおお有りだが、自分には全くない。
むしろ奇襲は今やってはいけない。
シャナを誘い出すことが異常に難しくなる。
だから隠れる必要はない、明りが少ない夜の戦場を堂々と行けばいい。
俺が知っている限りのシャナは冷酷な女ではあるが礼儀とかは重んじるところがあった。
その性格が変わっていなければ作戦は十中八九成功する。
だが・・・もし失敗した場合には夢ムラたちには突っ込んでこい、と言ってある。
1対2よりも4対2だろう。
ただその場合ならシャナ達は『一人一人確実に潰す』方法に出るだろう。
達人クラスの奴が二人がかりで向かって来ては俺はおろか下痢たちだってひとたまりもない。
そうならないためにもやはりシャナを誘い出したい。


暗闇に二つの影が浮かび、それはすぐさま影ではない実像になり、一歩近付くたびリアリティを増してゆく。
だが俺はここで踏み止どまる。
メタファーのような深い意味ではない。ただ、これ以上近寄るとフツーにやられるからだ。
二人の姿をすでに開かれた魔眼で観察する。
・・・どちらかというとベストコンディションなのはファルフリートの方だ。シャナの方は心に隙があるような気がする。
実に好都合だ。ここでファルフリートがボロボロでシャナがベストの状態だったら戦う相手を変えるところだった。
その完全な状態のファルフリートが動くことなくこちらに言葉を投げる。

( ゜∀゜)「幻想郷の口裂けだな?何をしに来た。」

('A`)「何をしに来たって・・・守備で退屈なてめーらの暇潰しにこちらからわざわざ出向いて来てやったんだぜ?
歓迎の生暖かいまなざしくらいくれよ」

言いながら思う。
我ながら口悪すぎだろう・・・。
もしかしなくても自分は交渉術に長けた人物じゃないだろう。
その悪口を聞いたファルフリートは、

( ゜∀゜)「ほほーう、暇潰しか。じゃあ退院したばっかりで体のなまっている口裂けくんに組み手の相手でもしてもらおうか。」

寝たきりだったことは調査済み、と。

( ゜∀゜)「お前も体をほぐせていいだろう?
ま、もっとも、俺はお前の命を取るつもりでするがな」

やべぇ。
このままではファルフリートと戦うことになりそうだ。

('A`)「そうだな。ウォーミングアップ程度にはお前の相手くらいがちょうどいいかもな!組み手(笑)」

というセリフは飲み込んで・・・

('A`)「残念ながらお前と組み手なんかしたら俺はやられちまう。
俺は勝てる相手としか戦わないんだ。」

( ゜∀゜)「ほほう・・・?」

少し満足げな顔。だが逆に隣の人物は不満げな顔をした。


ξ ゜⊿゜)ξ「フン・・・
いいわよ、あたしと戦いたいんでしょう?」

食いついた・・・!

('A`)「そうだ。まぁ少し歪んだ表現になったがそういうことだ。」

ξ ゜⊿゜)ξ「まぁ私が勝つけどね。ファルフリート、絶対、手を出さないで!」

( ゜∀゜)「へいへい」

シャナが前に出、ファルフリートが口をへの字に曲げ、後退する。
ここまではほぼ計算通りだ。
だがまだだ。シャナをここから遠ざけなければならない。

('A`)「待て!ファルフリートがいるところでシャナと戦うのは気に食わん。別のところに移動しよう」

ξ ゜ー゜)ξ「そうね、できれば私も一対一が望ましいわ。」

('A`)「お前らにとっては俺が罠を仕掛けたところにお前を誘い出そうとしている、とも考えられるから、お前がどこで戦うかを選んでくれ。」

( ゜∀゜)「当然の権利だわな・・・」

ξ ゜⊿゜)ξ「そうね。とりあえずどこかに行きましょう。」

と言い、シャナが後ろを向き、要塞の裏手を目指しているのか、その方向へ歩き出す。
その手にはいつの間にか・・・日本刀が握られている。
ここから見ても分かるほどに使い込まれている。幾多もの戦いの記憶が刻み込まれている。
だがそれは俺とて同じはず。自慢では無いが。

シャナは最後に一言、

ξ ゜⊿゜)ξ「ファルフリート、絶対に来ないでよ」

と、守備仲間に拒絶の言葉を投げかけた。それに対してファルフリートは、

( ゜∀゜)「そう何度も言うなっての・・・俺だってやることくらいあるんだよ」

と答えた。
その言葉がさも合図だったかのように、俺とシャナは無言で歩きだした。





( ゜∀゜)「まったく・・・俺は圧倒的に不利な戦いかよ・・・」

連中はここで俺を潰そうとしてる。さっきの奴はそのリーダーだろう。
一人ではない。シャナをどこかへ連れて行こうとしたのも俺を仕留めるためだ。
こんな罠とは言えない罠にはとっくに気付いていた。
だがその罠にあえて引っ掛かる・・・!
その理由は二つ・・・!
第一に、シャナに念押しをされたことだ。こちらはどうであれあちらは恐らく真剣勝負。邪魔はしたくない。
第二に、ただの快楽探求だ。
どんなビハインドも押し退ける、クズがいくら集まっても所詮クズでしかないことを教えこむ圧倒的な勝利感、という快楽の沼にはまりたい、と思ったからだった。

( ゜∀゜)「ククク・・・どこからでも来やがれ・・・」

どんな奇襲でもいい。
どんな罠でもいい。
それが強大であればあるほど、快楽は大きくなる。
彼が武器に自らの拳を選んでいるのも、一重に気持ちがいいからだ。
圧倒的に他の武器に劣る自らの体で、その武器を粉々にしたとき。
彼にその快楽の波は訪れる。
彼は。
爽快な勝利感を常に渇望している依存者だった。





その異変に気付いたのは最初に夢ムラだった。
その異変が何か、というのはとっくに気付いていたのかもしれない。
だが勝ちを追及するあまり自分が急転直下、瞬殺される瞬間が見えていない。

それはあまりにも致命的。
一見してチャンスに見えたものはあからさまな罠なのだ。

ファルフリートの後ろに回り込む。
気付かれないようにだ。
奇襲の一手め、重要な先駆けの手は自分の役目になった。
シャナはもう口裂けとどこかに行った。重要なのはファルフリートが一人で、油断していること。
武器の斧を握り締める。
奇襲は一撃で相手を沈めることもあるので、本来の自分の武器ではないが、殺傷力の高い武器、斧を選んだ。
だが、それでも一手目はフェイク。
重要なのは二手目のイミフだ。
そしてチェックメイトの下痢。
どれが欠けても失敗する。
だが勝負というのはいつでもそんなものだ。
精神統一。
成功のビジョンを描く。
一層きつく斧を握り締める。
よし。いける。
ザッと土を蹴る。

ミ,,゜Д゜彡「う・・・お・・!」

こちらの攻撃を知らせる声がうまく出ない。
もっと、声を絞り出す。

ミ,,゜Д゜彡「う・・・おおおおおおおおおおおおおおお!!」

ザッザッザッと早く、出来るだけ早く地面を蹴り、出来るだけ速く移動する。
ファルフリートが自分に気付くのが斧が振り落とされる寸前でなければならない。
だが。
ファルフリートの目が鋭く、自分を突き刺す。
その瞬間から以後、フワフワした感覚。
自分のやっていることが正しいことかどうなのか、分からなくなる空虚感。自分への失望。
そして思い知らされる。脳裏にその言葉が派手な色で点滅する。
失敗っ・・・!終局っ・・・!!
ファルフリートが小さく体を沈み込ませる。それは移動の際のモーション。
だが。
結果から言うと、夢ムラは移動していたファルフリートは知らない。
なぜなら、次の瞬間には、鮮やかな右ストレートで。
自分に終わりがもたらされたことを思い知ったからだ。





ξ ゜⊿゜)ξ「ここで・・・いいわ」

('A`)「・・・」

無言で俺は己の武器、典型的な西洋の両刃刀を引き抜く。
シャナは手に握り締めた日本刀の切っ先を俺に向け、まるで悪友に見せつけるかのような不気味な笑みを浮かべ、

ξ ゜⊿゜)ξ「何も語り合う必要はないわ。だからとっとと・・・」

手に持った日本刀が赤く燃え上がる。それは俺を魅了するほど鮮やかに迸る。

ξ ゜⊿゜)ξ「───始めましょう。」

やば、クラッと来た。
こりゃあ面白い勝負に・・・なる!
口裂けの魔眼が、鋭く光った。





第二十三話 完

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最終更新:2007年12月10日 19:00
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