第十七羽
今日はいよいよ論破王国の侵略予定日。
何時、攻めて来るか正確な時間は分かっていないが
12時から後、というのだけは確定済みらしい。
そんなわけで11時までは各自、自由行動。
とにかく町から出なければ何をしてもいい。
武器を磨いたり、ウォーミングアップをしたり。
そしてこれもまた一例。
( ーωー)「うん…とぉ…やぁ…ふひひ…あ、仮面のおじさん…今度はニコニコかお…ウマウマ…」
みっともなく寝言を漏らす男、ブーン。
彼が、11時までの自由に選んだ選択肢は”寝る事”。
数分後何かに取り憑かれたようにハッと目を覚ます。
(;^ω^)「うーん…途中まで戦争だったのに、どうして仮面のおっさんが…」
時計をチラリと見る。時刻は約10時30分。
我ながらベストタイミングと、ブーンはベットから飛び降りた。
ブーンは顔を洗い、集合場所のゲート前へ向かう。
普通、兵なら戦争前に武器の手入れなどをするものだが。
どういうわけか彼の”謎の剣”は刃こぼれ一つしないほど頑丈。
大体ブーンは剣の手入れの仕方など知らない。
ゲート前に着くと、すでに兵士が何人かいた。
数人で準備運動をしていたり、両手を枕にして木におっかかりながら寝ていたり、
その中には知ってる顔もいた。
( ^-^)「おはようございます、ブーン君」
( ^ω^)「おはようですお、カクンテさん」
( ^ー^)「今日はあなたにとって始めての戦争ですね」
(;^ω^)「イ、イメージトレーニングは何度もしたし! 楽勝ですお!」
すこし背伸びをしてみる。
があっさりと見破られたのか、カクンテは目を細める。
そして表情を変えることなくカクンテは静かに去っていった。
( ^д^)「よぉブーン。カクンテとなんか話してた?」
( ^ω^)「……でっていう。別に話って程のことじゃないお」
でっていうは本当にいつも絶妙なタイミングで現れる。
時間まで、ブーンはでっていうと話をすることにした。
約7時間後。
11時に一度集合がかかり、12時から守備について6時間が経過。
未だに論破王国の侵略はない。
守備はゲートをはさんで左右五人の計10人。
ブーンの守備は街を背に一番左。
ただ待っている、というのも楽ではなく、
足も疲労すれば精神力も削られる。
立ちながら守備をするようにとカクンテが言っていたが、
ほかの国民は皆座っているのでブーンも真似て座ることにした。
('A`)「よーぉにいちゃん、来ねぇなあ」
( ^ω^)(ブンブンブブブン黄色いばk)
('A`)「おい?聞いてる?」
( ^ω^)(飲茶しちゃって、ついつい♪)
('A`)「おーい、野郎聞いてるのか!?」
(;^ω^)「あとは神様に祈りまs……うおッ! いたんですかお、傘棚さん」
('A`)「ずっといたぜ?」
(;^ω^)「……」
ブーンは本当に気付いてはいなかった。
何も居なかった、と思っていたわけではない。
なにか”ある”、と認識はしていたが、
どういうわけかまったく気にならなかった。
故に驚く。それと同時に尊敬のような感情も生まれる。
( ^ω^)「傘棚さんは忍術系なんですかお!?」
('A`)「いいや、体術系だけど何か?」
訂正、この人はただ単に空気なだけだった。
数分後。
壁の上の弓部隊がざわつき始める。
ざわつきが収まると、カクンテが叫んだ。
( ^-^)「まもなく前方から論破王国が来ます! 各自戦闘体勢に入ってください!」
その言葉を合図に、下に居た国民が重そうに腰を上げ、
それぞれ、剣、斧、槍、などの武器を取り出す。
ゲートからは休憩を取っていた国民達も出てくる。
( ^ω^)「僕達も!」
ブーンもすばやく立ちあがり、剣を引き抜く。
だが傘棚は立ち上がったものの平然とじっと前の方を見ていた。
(;^ω^)「傘棚さん! 武器は?」
('A`)「あーぁ武器ねぇ…。俺は素手で戦うから。いやぁ、どういうわけか昔っから力が……」
――その時だった。
弓部隊がまたざわつき始める。
しかもさっきよりも騒がしい。
(;^д^)「ま、まさか!!」
突然、ゲートから出てきたでっていうも声を張り上げる。
ブーンは気になりでっていうに駆け寄った。
(;^ω^)「どうしたんだお!?」
(;^д^)「……まだ確信ではないんだけど、いやまさか」
('A`)「やだねぇ、面倒ごと?」
でっていうの今まで見たことのないような焦りようにブーンも釣られる。
上のほうからも、
「まさか」
とか
「いやしかし」
などのような言葉ばかりが飛び交う。
やがて、前方に論破国民達がうっすらと見えてきた頃、
国民達の予測は確信へと変わった。
(;^ー^)「そ、そんな…!」
論破国民達の先頭に立ち、軍を率いる男。
茶髪の髪。
黄金の鎧。
不死鳥を連想させる魔法剣。
どうみてもVIP先生です。本当にありがとうございました。
弓兵「V、VIP先生だァァァァアアアアア!!!!」
一人の弓兵が叫ぶ。
(;^ー^)「国王が自ら戦場に……? そんな!」
不測の事態に、いつも冷静なカクンテも焦りを隠しきれない。
”探索”でVIP先生の魔力を感じ取っていた
弓部隊たちは思わず後ずさりをする。
下の国民達も動揺し、パニックになっていた。
もはや士気も指揮もめちゃくちゃだ。
( ^ω^)「でっていう、どうなっているんだお!?」
(;^д^)「こんなのってありかよ……」
ブーンは必死に語りかけるが、でっていうはなにかぶつぶつ呟いていて聞く耳を持たない。
(;'A`)「うーん、まぁ簡単な話、敵国の国王が戦場に出てきたってわけよ。国王がだよ? アホかっつーの。
んで、それが予想外だったから皆こうして焦ってるってわけ。逃げるしかねぇなこりゃ……」
傘棚も動揺していたが、でっていうよりは冷静だった。
ブーンもモロモロの事情を知らない為、冷静に話を聞くことが出来た。
(;^ω^)「え、国王…VIP先生? ってそんなに強いんですかお?」
(;'A`)「…ここに居る全員でかかれば何とか勝てる…って感じ?」
(;^ω^)「それって……」
(;'A`)「おう、相手はVIP先生だけじゃねーんだぞ、無理無理。おまえ神風使えるんだろ? いつでも逃げられるようにしておけよ」
どうやら傘棚はとっくに戦意を失っているようだ。
彼だけではない。他の国民も、一応武器を構えてはいるが
戦う意欲はまるで感じられない。
ブーンが目の前の軍勢に目をやった、その時。
左の森の方からザッザッと足音が聞こえた。
ブーンはとっさに首を左にひねり、辺りを確認すると
恐らく女性の兵士。それが剣を構えながらブーンの方に向かってくるのがわかった。
味方ではない。そう判断したブーンは剣を構え、女性剣士に向かう。
(#><)「ウオォアアアアアアああ!!」
(;^ω^)「キッ」
女性剣士は必死にブーンに向かって剣を振る。
しかし、その太刀筋はブーンから見ても大したことは無く、
全て避ることが出来た。
(#><)「やぁ! とりゃあ!」
(;^ω^)「……」
ハッキリ言って楽勝。
だがイマイチ攻められないブーン。
人を切ったことが無い、というのも大きい理由だが。
この女性、なにかに怯えているようにブーンには見える。
その怯えは恐らく戦いに対してのモノではない。
もっと、何か別の――
(`・ω・´)「風の噂で聞いたショタ国の新参…か。動きはそれなり、まぁ手加減してるだろうが。大したことないな」
遠くから見ていたVIP先生が一人呟く。
(;'A`)「おい、にいちゃん! なぁにチンタラやってんだよ、さっさとやっちまえって」
傘棚の言葉でブーンはハッとする。
そう、これは戦争だ。
殺らなければ、自分が殺られる。
ブーンは無意識のうちに緩めていた手を握りなおした。
女性剣士が剣を振り下ろした隙を見て、体を捻り、避ける。
(;^ω^)「おぉおおお!!」
その勢いで、己の剣を相手の首に向かって力いっぱい振った。
フッ
ブーンの目の前で、女性剣士の首が音も無く飛ぶ。
あっさりと斬れてしまったことに驚くブーン。
いや、それ以上に。
(;゜ω゜)「ごくりッ」
首を失った女性は物凄い量の血を噴出しながら倒れる。
その光景は、ブーンにはあまりにも衝撃的だった。
戦争のイメージトレーニングなら何度も行った。
しかし、その中に
血はなかった。
苦はなかった。
死はなかった。
大抵は、すこし苦戦するが最終的には自分が勝つという妄想。
血も出なければ、斬った敵も命を落とすことは無い。
「ナイス!」
どこからかそんな声が聞こえる。
何に対してのナイス?もしかして今、自分がこの女性の首を斬ったことに対して?
色んな感情が、ブーンを押しつぶそうとする。
(;'A`)「チッ…新参の馬鹿野郎が……」
女性剣士の死を合図に、論破国民達は大声を上げ一斉にサンドラに向かってきた。
(*^∀^)「さーて、私の獲物は~☆」
( ^p^)「うおっしゃーっ! 腕が鳴るぜ!」
(;^ー^)「来ます! 気を抜かないで!」
カクンテが叫ぶ。
(;'A`)「はぁっ!? 勝てるわけねーだろが! あーもうくそッ死ね」
傘棚が舌打ちまじりで呟く。
ブーンには聞こえていなかった。今の愚痴も、カクンテの言葉も。
血
殺した
血
首
殺 自分が
死
血
仕方が無かった
死
そんな言葉ばかりがブーンの頭を埋め尽くす。
ブーンはついに耐え切れなくなり、目をカッと見開き叫んだ。
(;゜ω゜)「うわぁぁぁぁああああああ!!」
直後、ブーンは森の方に走り出した。
否、逃げ出した。
(;'A`)「おい! ちょ待て、逃げるのはええって」
神風を使い、すぐに距離が離れてしまった為、傘棚の声はブーンには届かなかった。
聞こえていたとしても、立ち止まる気はない。立ち止まれない。
やがて、ブーンの姿は闇の中へ消えていった。
(; ω )「はぁ! はぁ!」
どれくらい走ったのか自分でもわからない。
感情に身を任せ、我武者羅に走ってきた。
途中、何度も木にぶつかった。
痛い、という感覚は余り無い。
むしろ快感……ではないが少なくとも苦痛ではない。
3度目の平野を抜け、4度目の森に入った直後、
ついに、足に限界が来た。
(; ω )「――――ッ」
ドサッと地面に倒れこむ。
辺りは本当に静か。
さっきまでの出来事が頭に甦る。
逃げてしまった。
へたれ?いや違う。
あの状況で逃げ出さないほうがどうかしてる
むしろ正常なのだ。
…そう、自分に言い聞かせるとすこし楽になった気がする。
だが、次の瞬間にはまたさっきの事が脳裏に甦る。
(;゜ω゜)「あああああぁぁぁああああああ゙!!!」
こんな事の繰り返し。そろそろ声も枯れてきた。
ブーンは最後に地面を力いっぱい叩くと、深い眠りに着いた。
と、近くの草陰から人の気配。
(´・ω・`)「……だれだ?」
おわり
ちなみに女性兵士は桂 言葉
この物語はフィクションです実際のうんたらかんたら
ぱにぽに
ギャラクシー
最終更新:2008年03月23日 19:04