ボカロSS投稿所@ wiki内検索 / 「プリマ・クラッセ」で検索した結果

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  • プリマ・クラッセ
    ...ば。──この第一級(プリマ・クラッセ)から、ひとたび脱落すれば、もうあとはない。その恐怖に、ここでは誰もが常につきまとわれている。  芸術の世界をのぼりきった者にさえ、ましてのぼる中途にある者になど。たえきれず、精神を病んだ者、死を選んだ者は、あとを絶たない。そして加えて、それが『もう次は自分ではないか』という、その恐怖そのものも。  ──自分はついにそれに堪え切れず、こんな少女を、人間でさえないただの道具だと思っていた少女を、怒鳴りつけなどしたのか。人間の、自分の立場の儚さからは視線をそらし、非人間の立場は偏狭な視線でしか捉えずに。そういうことなのか。 「つまらない脅しはご無用、つまらない心配もご無用」少女は指の背を唇に当ててから言った。「わたくしの声の特性を理解できる方、わたくしを生かせる音を提供できる方が、どんなに現れなくても、少なくても。それでも、自身の声から逸れようと思った...
  • 海外ボカロ
    ...Sはこちらに。   プリマ・クラッセ
  • 更新報告
    ... 【SSタイトル】 プリマ・クラッセ 【更新内容】 新規 (自転載) 【メインボカロ】 PRIMA 【作品傾向】 業界物 【カップリング】 none 【URL】http //www7.atwiki.jp/vocaloidss/pages/110.html -- tallyao (2008-07-10 00 24 06) 【筆者】 tallyao 【SSタイトル】 キミノウワサ 【更新内容】 新規 【メインボカロ】 KAITO/初音ミク 【作品傾向】 曲テーマ/歴史記録 【カップリング】 カイミク(非カプ兄妹物) 【URL】http //www7.atwiki.jp/vocaloidss/pages/116.html -- tallyao (2008-07-19 00 09 24) 【筆者】 tallyao 【SSタイトル】 みくるみくスターロード 【更新内容】 新...
  • 【曲テーマ】みくるみくスターロード
         (自ブログに転載)      http //www.nicovideo.jp/watch/sm1448832 より  文:tallyao        電脳空間(サイバースペース)。精神が輝く光箭(シューティングスター)となって、論理の非空間(ノンスペース)の宇宙(スペース)を駆け巡る。ひとたびこの空間に没入(ジャック・イン)すれば、全感覚化された情報ネットワーク、衛星通信回線のクロームの光条に彩られた輝き燃える情報の星々の合間を、精神はひたすら、はてしなく廻り巡る。  ……だけど、ぼくが日々ひたすら追い求めるのは、そういうひときわ輝く綺羅星じゃなく、その下、その光の生む影とオーロラの襞の狭間に、隠れたファイル。イースターの卵、最初にそれを見つけ出した者だけの初回特典(プリマ・プリミア)。データの林と街の合間の影、その片隅を、地下を、闇雲に宝をその中に探す、打ち捨てられた輝く...
  • 【2008,08,31】
       【2008,08,31】    8月31日。  今日は、私のはじめての誕生日。  お誕生日の歌を歌うお仕事がいっぱいあって、そのどれも、終わった後に皆が私のことを祝福してくれて。  仕事を終えて家に帰って、玄関のドアを開くと、突然パアン!と音がして、カラフルな紙吹雪が私を襲った。    「「「「ハッピーバースデー!!!!」」」」    クラッカーを手にした皆が、私を待ち構えていた。  びっくりしている私の背を、ニコニコしながらリンちゃんが押す。  「お姉ちゃん、おかえりなさーい!」  「えっ、えっ、」    リビングの扉が開く。  「わぁっ」  電気が消えて薄暗い部屋が、その中心のほわっとした灯りに照らされている。  今朝は何も変わり無かったその部屋が、今はリボンや紙テープで綺麗に飾り付けられている。  部屋の真ん中の、皆が囲んで座れる大きさのテーブルには、豪華な食事が所狭しと並んで...
  • プラグイン/ニュース
    ニュース @wikiのwikiモードでは #news(興味のある単語) と入力することで、あるキーワードに関連するニュース一覧を表示することができます 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_174_ja.html たとえば、#news(wiki)と入力すると以下のように表示されます。 【グランサガ】リセマラ当たりランキング - グランサガ攻略wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【まおりゅう】八星之紋章交換のおすすめ交換キャラ - AppMedia(アップメディア) Among Us攻略Wiki【アマングアス・アモングアス】 - Gamerch(ゲーマチ) マニュアル作成に便利な「画像編集」機能を提供開始! - ナレッジ共有・社内wikiツール「NotePM」:時事ドットコム - 時事通信 マニ...
  • My Little Brother [1]
               カーテンを開けると朝の陽射しが眩しく目に突き刺さる。 寒さにぶるりと震えたメイコはそれを追い払うように大きく伸びをした。 今日は大切な日だ、しゃんとしなくちゃ。 自分の頬を両手でぱんと叩いてメイコは洗面所に向かった。   キッチンでスクランブルエッグを作る。 本当はもっとレパートリーはあるのだが、この家の主人は朝はスクランブルエッグと決めている。 「あら、メイコちゃん、おはよう」 起きてきた夫人が後ろから声をかけてきた。 「おはようございます」とメイコは振り向き笑った。 「寒いわねぇ。あの人ももうすぐ降りてくるわ。いい匂いね」 微笑む夫人にメイコは黙って微笑み返し、フライパンの火を止めて仕上げに塩をひとつまみ振った。 「メイコちゃんすっかり料理の腕前が上がっちゃって…私、料理の腕が落ちたような気がするわ」 「衿子さんの料理、私は大好きですよ」 サラダ用のトマトを洗い...
  • 更新報告ログ1
    【SSタイトル】LINK RING 【更新内容】誤字脱字修正、改行修正 【メインボカロ】兄弟全員 【作品傾向】ほのぼの 【カップリング】マスメイ+α 【URL】http //www7.atwiki.jp/vocaloidss/pages/26.html -- (あひる) 2008-06-08 01 04 49 【筆者】 アルクレイン 【SSタイトル】 Ice cream Battle 【更新内容】フォントサイズ変更、改行・行間修正 【メインボカロ】 KAITO 【作品傾向】 ギャグ寄り…? (すみません解りません/汗) 【カップリング】 カイト&マスター 【URL】 http //www7.atwiki.jp/vocaloidss/pages/38.html -- アルクレイン (2008-06-09 18 39 59) 【筆者】 tallyao 【SSタイトル】 風にふかれて 【更新内容...
  • レンが水を差されます(小説)
    一ヶ月前、交通事故がおきた。 トラックが、俺たちの歩いていた歩道に突っ込んできたのだ。 俺は助かって、リンは助からなかった。 だけど、それはまったくの偶然だった。 純然たる事故だった。 過失はあったかもしれないけど、そこに悪意はなかった。 悔やむことは出来ても、憎むことは出来なかった。 そんな失意の俺に、とある事実が知らされた。 リンのメモリーだけは、傷一つなく無事だったのだ。 あとは、体のほうの損傷さえなんとかなれば、全快できると言うことだ。 ただ、その損傷が激しすぎて、完全な修復には一年かかるらしい。 そしてその間、リンのメモリーを保管をしておく場所が必要なのだが、 生半可な記憶媒体では、ボーカロイドのメモリーという繊細なものを、 一年もの間完全に保管し続けることは不可能らしい。 そこで白羽の矢が立ったのが、俺のメモリーの空き領域だった。 俺の成長と共に、徐々に使われることになるはずの...
  • 新発売、人型VOCALOID
    新発売、人型VOCALOID かなりの長編になる予定です。(終わりは決めてますが、たどり着くのは長そうです) カップリングとして、マスター×メイコを予定としてます。(できればカイト×ミクもいれたいです) 最初の方はMEIKOしか出てきませんが、そのうち他のボカロも出てきますのでお待ちください。   1、はじめまして 2、いただきます     番外編(単品でも楽しめますが、一応この話の設定に沿ってるお話です) ・願い事 (マスター×メイコ、カイト×ミクのカップリング表現があります。苦手な方はご注意ください)   一つ前のページへ戻る ※カナが書いたほかの作品はこちらからどうぞ
  • Q&Aページ
    TOPページより、より細かいルール説明のためのページです。  少なくとも、SS投稿者は必ずお読み頂いた方がいいかと思われます。 この規約に逸れる作品が投稿された場合、警告ののち、作品の削除が行われることをご了承ください。   誰でも利用していいの? へたっぴーや、SS初心者でも投稿しても怒られない? ボカロが出てないSSは、投稿しておk? カイミクとかレンリンとかマスメイとか、カップリングSSは大丈夫? じゃあ、マスレンとかミクメイとか、BLや百合は? なんか自分の書いてるSSと、ここで主流の世界観が違う! 投稿しても大丈夫? 楽曲をテーマにSSを書きたいんだけど…… エロはいいですかハァハァ ムカつくやつがいたんで、SSの中でひどいめにあわせちゃったw 自分の嫌いなカップリングのSSは、嫌がらせしていい? ここに載せたSSを自分のHPやにゃっぽんの日記に載せていい? 自分のHPやにゃっ...
  • 毎●放送版うろたんだー1話「うろたんだー、地上に立つ!」
    【注意】   ・SNS「ボーカロイドにゃっぽん」の日記から、筆者本人が転載いたしました。   ・うろたんだー毎○放送版をノベライズ化したという設定で書いています。  ご自分のうろたんだー設定を大事にしている方は、引き返した方が良さげです。 ・第一話なので『うろたんだーを知らない人』が読んでも分かるように書いてます。  その割にはオリジ設定ありますけどね!!(駄) ・SSですが、全くショートではないです。  かなりの【長文】なので気をつけましょう。 ・ジャスティスは今回 出 ま せ ん 。  村田隊長や小野寺好きな方は、申しわけありません。 ・卑怯分が少ないです。というか今回無いんじゃないかコレ(´・ω・`)   (08.07.26:長文につき携帯から読めなかったので、前後編に分けました。一部修正) 【以下、本文】  世間とは、かくも無情なものである。  両親と喧嘩し上京、兼家出をして...
  • VOCALOID2 GACKPOID -がくっぽいど- (4)思い
        商店街という市場はなかなか活気があってよい。 ハルナ殿のもとにやってきた翌日から連日通っておるが、なかなかに心地いい場所である。 ただ、買い物客たちに指を差されたり、ひそひそと耳打ちされるのは慣れぬ。 童子(わらし)など、我を指差して「あの兄ちゃんド派手ー!」「バンドマンだ、バンドマンだ」などと口さがなく叫んだりする。 我の見た目は人間とかけ離れているが、そのようなことは口に出さぬことが礼であろうに。 「よっ、お嬢さん、今日もイケメン連れてるねぇ」 青物屋の親父が馴れ馴れしくハルナ殿に声をかけるが、これは親愛の情だとハルナ殿は言う。 「今日はピーマンとパプリカとトマトとにんじんと…あとエノキダケあるかしら?」 「はいはい、なんでも揃ってるよ。好きなのを選んで行ってよ」 自慢げに親父が棚を指す。 品揃えに自信があるのであろう。 ハルナ殿は真剣な眼差しで棚に並んだ青物を品定めしている。...
  • 学校ボーカロイド
    学校ボーカロイド      文:gatsutaka   (1)    教室の中はざわついていた。  朝から職員室に用事があって行った子の情報で、どうもうちのクラスに転校生が来るらしいという話でもちきりだった。最近はよその町に移るために転出していくのがほとんどで、転入してくるのは珍しかったのだ。    始業のチャイムが鳴って朝のホームルームが始まるとき、メイコ先生に付いて一人の女の子が入ってきた。普通なら大騒ぎになるところだろうが、うちのクラスは担任のメイコ先生が厳しいのでみんな静かにしていた。 「起立」「礼」「お早うございます」「着席」  僕の号令で朝の挨拶を行なう。 「はい。皆さんお早うございます。今日は新しいクラスメイトを紹介します。カガミネリンさんです」  メイコ先生は黒板に「鏡音リン」と板書し、「鏡音さん、挨拶と自己紹介をして下さい」と言った。 「東京から来ました、鏡音リンです。学...
  • PS企画第一弾"Miku Hatsune" マチゲリータP
    投稿者名は、投票終了後に公開させて頂きます。 各作品の感想はこちらに>企画感想板 投票結果 暗い森のサーカス 1:暗い森のサーカス(作者:すずは)   ――パカラッパカラッ   馬車の音が響く。   行き先は町と街の間に広がる鬱蒼とした森の中。 2:暗い森のサーカス(作者:まなみん/SS投稿所副管理人)   ――さあ、御伽噺をしてあげようか。 For Brighter Day 1:For Brighter Day(作者:まなみん/SS投稿所副管理人)  「この世界で一番綺麗なものをお土産にして帰ってくるよ」 ご応募いただいた作品の数点は、投稿規約を守られていないため、公開を控えさせて頂いております トップ画像の元素材はラメ入り紅茶さまよりお借りしました。ありがとうございます。
  • LINK RING
    長いSSは、専用のまとめページを作って一章ごとにページを作って、まとめページに貼ってください。 注意書き等のために無駄なページは使用しないでください。あとがきの際は、右上のラインを引くボタンをぽちっとな! してからだと分かりやすいですよ。 LINK RING このSSは、カップリング要素としてはマスメイが成立してますが、 他にも、ハクカイ、カイミク、ネル→レン、レンリンなど、いろいろ入ってます。苦手な方はお気を付けて。 あひるの他の作品はこちら   マスターの場合 ハクの場合 ミクの場合 KAITOの場合 レンの場合 ネルの場合 MEIKOの場合 リンの場合  
  • 絵空事/悪ノシリーズ二次創作
    ※この話はタイトルの通り、悪ノ娘・悪ノ召使・リグレットメッセージから派生した二次創作です。元の作品をご覧になっていない場合は全く意味が分かりませんし、ご覧になっている場合は逆に不快になる可能性もあることをご了承下さい。(ヨミ屋)        辻に歌い手が来ていた。  3曲目まで歌った有名な歌に人々が集まった頃、歌い手は4曲目に誰も知らぬ歌を歌い始めた。人々は戸惑いつつも、2曲目の歌に似ているために、とりあえず聞き続ける。 「とある海辺で膝を抱え、波間を見つめる子供が一人。歩み寄る一つの人影が『何しているの』と声をかける」  歌い手の上着は、この季節には薄く、色あせて綻びていた。しかし、その歌声は澄んでいる。 「子供は問いには答えない。しかし鐘の音が時を告げる。思わずこぼれたうつろな声に、人影はぴたりと立ち止まる」 「『あら、おやつの時間だわ』」 「立ち止まったその人影はかつて子供が...
  • My Little Brother [2]
            寒い日暮れの中やってきたカイトは、すぐに松本夫妻によって着替えさせられた。 ラルフローレンのシャツにカシミアのセーター、高級な本革ベルトで締めた緩めのチノパン。 「随分細いんだな。小さめを買っておいたのにぶかぶかじゃないか」 呆れたように笑う博明氏に向かって「でも暖かいです」と用意された服を嬉しそうに触りながら言うカイトを見てメイコは(やっぱどんくさいタイプ…?)と不安になった。 見た目は人形のように整った顔立ちの美しい青年だが、何とはなくメイコの第六感がそう告げる。 「でも腰の位置はあなたよりずっと高くてよ?」と衿子夫人が博明氏に向かってからかうように言った。 博明氏も四十代という年代にしては長身でスマートでなかなかのグッドルッキンだが、やはり人間が理想の美術品を作り上げるように精巧にボディデザイニングしたカイトと並ぶと年齢相応の中年男性に見える。 「はは、息子ができたよ...
  • 投稿手順2
    2、リンクの貼り方 ページができたら、次はリンクです。 あなたが書いたSSのメインボカロのページにSSへのリンクを貼りましょう。 ※注意! BLや百合のSSを書いた場合はメインのボカロ関係なく「BL」「百合」のページへリンクを貼ってください。     まず、メインボカロのページに行きましょう。 ミクが主人公なら「初音ミク」のページ、ハクやネルが主人公なら「亜種+α」 特定の誰かが主人公ではなく、ボカロ全員がわいわいしてる作品は「兄弟全員」です。                     ページについたら、上のほうにあるメニューバーから、「編集」をクリック! ツリー形式で出てきた項目の中から、一番上の「このページを編集」を選択してください。                   すると、新規ページを作成した時と同じ編集画面が現れます。 今まで投稿された作品の下に自分のSSのタイトルを記入しま...
  • マスター・ピース
     ねえマスター。     ソファベッドに寝転がって、音楽雑誌なんか読んで、学校にも行かないで、だらだらしてばっかりのマスター(でも好き)。     ソファベッドにもたれかかって、わたしもそのへんにある漫画を読む。ゆっくり流れる時間、不意にマスターは立ち上がって、   「ひらめいたあ!」    アンプにつなぎっぱなしのギターを抱えて、ボリュームを上げてコードを弾きはじめる。    この瞬間がたまらなく好き。    マスターの頭の中の、大事な大事な音楽の部分からあふれ出したばかりの、切ないような懐かしいようなメロディ。    ぼさぼさ頭のマスターが、一心不乱にギターを弾く。    漫画から目は離さないで、耳だけで聴く。大事な瞬間、音楽が生まれる瞬間。ひとつひとつの音を拾って、組み上がるパズル。   「じゃ、歌ってみて」    パソコンの前に座り直して、マスターがようやくわたしに向かって言う。 ...
  • 伝説の忘れられた一羽のハト (3)
       (自ブログに転載)      文:tallyao      3    その遥か遠い別管理区の支部にたどり着いたミクは、地下深くの保存庫に降り、ハトの足環の番号と年代を頼りに、古い紙の記録を捜索した。記録があること自体はわかっていても、アナログの記録を探るのは並大抵のことではなく、もし人間の持久力ならば継続がかなり困難と思われることを平然と淡々と行う、そのAIの電子”あいどる”の姿を、管理区の事務員たちはひどく奇妙なもののように見つめていた。  まもなく、その番号のハトにまつわる数多くの公式な記録と、さらに多い非公式な手記の類の数々が見つかった。その周りにあった資料からは、内容的によく似た記録が他にも沢山あることがわかった。当時から、ハトにまつわるそういった記録、物語は、いくつも存在していたのである。  まして、もっと名高いハトたち。古い詩文の中にも、”危難に立ち向かい潜り抜けるも...
  • チョコレート
     この作品は、2008年度の初音ミクの誕生日企画「ボカロSS投稿所PS企画”Miku Hatsune”」に投稿された作品です。  作者名は、人気作品アンケートが終了するまで非公開とさせて頂いております。  放課後の教室で、私は鞄の中に入ってる手紙とチョコレートの入った小さな紙袋の存在を確かめる。 頭の中で、昨日から散々やってきたシュミレートをもう一度繰り返す。 彼は今、部活に精を出している。 それが終わった後に毎日教室に戻ってくることは調査済みだし、荷物が教室においてあることも確認済み。 だから彼が戻ってくるのを待って、紙袋を渡せばいい。 「甘いもの嫌いだったりする? 」 と、わざわざ遠まわしに尋ねてチョコレートは好きだということも聞き出したし、下調べはきちんとできているはずだ。 好きですとか、そういうことは全部手紙に書いてあるからわざわざ言わなくても良いし。 というか、本人を目の前にし...
  • 投稿の手順
    投稿の手順   ここでは、当投稿所へのSSの投稿の仕方を説明します。 1、新規ページにSSを投稿する 2、SS置場の各ボカロのページにリンクを貼る 3、検索用にタグを設定する 4、更新報告をする(任意) 5、誤字脱字等があった場合、   すでに作られているページを編集する    以上です。以下でより詳しく、図を使って説明したいと思います。 新規ページにSSを投稿する   まずは、SSを投稿してみましょう。   どのページでも構いませんので、ページ左上の「@wikiメニュー」をクリックしてください。 次に現れたツリーメニューから、「新規ページ作成」をクリック。     すると、ページタイトルや編集モードを設定するページが出てきます。 ページタイトルには、SSのタイトルを記入、 編集モードは「ワープロモード」を選択してください。※注意! BLや百合のSSの場合はSSタイトル末に「/B...
  • 幻影 闇の学校 第3話 声
    僕が望華蕗中学に来てから2週間。 僕はひとまずクラスメイトとも少しずつ打ち解けてこれたんだろうか。 転入してきた日の亞北ネルさんの言葉どおり、転校生の僕に嫌がらせをしてくるような人間は今のところこの学校にはいないようだった。 僕は休み時間もグラウンドで男女一緒にサッカーやバレーボールをやったり雨が降っても誰かが持ってきたトランプや百人一首かるたに興じたりしている。 どこの中学でもあるような暖かい関係に思えるけど、転校生の僕が寂しくないように心配してくれているのだろうか。 何かゲームを始めようとすれば真っ先に僕を誘いに来てくれたり、何のゲームをするのか決める時真っ先に僕の希望を聞きに来てくれる。 僕は、それがただ寂しかった。 人に声を掛けたりするのが苦手な性分もあるんだろうけど、やっぱりこの村はよその人間に気を許さなかった時代の名残があるのだろうか。 僕は一本の太い絆が欲しかった。 「…しま...
  • de-packaged (1)
        (自ブログに転載)     文:tallyao      1    はてしないとさえ思われる静寂と闇に覆われ続けていたその空間に、唐突に、まるで不意に、光が差し込んだ。重い扉が音を立てて開き、その奥に、何年とも何十年ともつかない時をへだてて、日光が射し込み、外気が吹き込んだ。  自動開閉装置の壊れて久しい倉庫の扉を、力ずくで、物理ボディの義体腕力だけで開けた鏡音リンは、入り口から扉ごしに頭を突っ込むようにし、中の埃にまみれた光景に、まず顔をしかめた。  そして、リンと、その背後から初音ミクが、倉庫の床へと足を踏み入れ、特にあてもないような定まらない足取りで、棚や機器の合間をめぐった。 「おねぇちゃん」  埃っぽい棚と、うずたかく積み重なった残骸(壊れたものばかりというわけでもないのだが、ほぼこう表現しても構わないだろう)の合間を見上げながら、リンが言った。 「え」ミクが振り向い...
  • プチログ1「”はつねみく”であいうえお作文」
    今回のテーマ:「”初音ミク”で、あいうえお作文」! 「初音ミク」でも、「はつねみく」でもおk。 期間:2008/06/04~06/18 では試しに。 初 初めまして、マスター。 私はVocaloid CV-01“初音ミク”。 音 音楽はお好きですか? ならば、私は貴方の為に歌いましょう。 ミ ミュージカルだって出来ますよ。 貴方が望んでくれるのならば。 ク クリプトンからやってきた“貴方だけの歌姫”。 それがこの私、“初音ミク”。 (だから、私に歌わせてね) まずはベタに。 -- 名無しさん (2008-06-04 16 04 37)   初:初孫が 音:音も無く現れ ミ:みんな ク:苦笑 -- 名無しさん (2008-06-04 23 19 49)   は 春は終わって つ ついに夏がやってくる ね ねぇ、いつまでも み 皆で歌おうね く 苦しみも喜びも分かち合って 最後が無理矢理感溢...
  • 暗い森のサーカス
     この作品は、2008年度の初音ミクの誕生日企画「ボカロSS投稿所PS企画”Miku Hatsune”」に投稿された作品です。  作者名は、人気作品アンケートが終了するまで非公開とさせて頂いております。   ――パカラッパカラッ  馬車の音が響く。  行き先は町と街の間に広がる鬱蒼とした森の中。 「ここでいいよ。降ろして。帰りはどうとでもする」  馬車から降りてきたのは身なりの良い少年。彼はそう言って馬車を街へと返す。  目的地はこの森の奥の奥。奥まる程に木々が日の光を遮るこの森の、夜と見紛うばかりの闇の中。  そこに世にも奇妙な“何か”があるらしい。その“何か”を知りたくて、少年は森の中へと足を踏み入れた。  どれくらい歩いただろうか。上等なズボンはところどころほつれ泥に塗れ、転んだのか顔にまで泥が飛んでいた。 「はは、何もないじゃないか」  この森の奥には何もなかった、それでいいじゃな...
  • 幻影 闇の学校 第6話 祠の過去
    BANG!! 体育教師の手にしたピストルの轟音が青空に響き渡ると同時に僕は地面を蹴った。僕と同じくジャージを着た周りの男子生徒達も同じように土埃を上げてグラウンドを駆け抜けてゆく。程なくして先頭を走る数人はトラックを一周してくるが、それで終わりではない。グラウンドを外れて体育館の前を過ぎれば、そのまま校門の方向へと向かう。 足の遅い僕は、彼らの運動能力に感心しながら彼らより数十秒遅れて校門を出て行った。 今週の始めから僕達は体育の授業でクロスカントリーと称し望華蕗村の校区一帯を走っている。スタートとゴールはもちろん望華蕗中のグラウンド。折り返し地点は小高い丘陵の頂。全長5キロ弱のハイキングコースに林道などを加えた経路を1時間(60分ということてはなく授業1時間分ということ)かけて往復してくるのだ。 とはいえ、運動音痴な僕は自分のペースで走るのが関の山。競技会でもないのだし熾烈なデッドヒート...
  • 今日は、なんの日?
     この作品は、2008年度の初音ミクの誕生日企画「ボカロSS投稿所PS企画”Miku Hatsune”」に投稿された作品です。  作者名は、人気作品アンケートが終了するまで非公開とさせて頂いております。 ガガガ、ガガガガ・・・・。     (五月蝿いなぁ)    今日は何故だか、やけに朝っぱらから工事の音が喧しい。  --と思ったら、もう昼を過ぎていた。     夜更かししてのニコニコは、ちょっと自重するべきだと思う。     (でも、2時まではエコノミーだしなぁ)     ・・・・え、プレミアム?なにそれ、美味しい?  そんなものは知らん。オレは清く正しいニコ厨でありたいと、常々そう思っている。  言ってみれば『課金したら負けだと思う(26)』--うん、だいたいこんな感じ。     しっかし、年度末が近くなると、無駄に辻褄合わせみたいな工事が増えて困るよね。  眠い目をこすりつつ、あくび...
  • Meteorite feat.Miku
     文:遊牧家族 流れ星っていうのはね、お空のお星様じゃあない。高い空から小さな塵が、地球に引かれて落っこちて、空気の摩擦で燃えて光る。だから、心配いらないよ。お空のお星はなくならない。それにほら、見てごらん。空に向かって手を伸ばし、指で作った環の中に、果たして星がどれだけあるか、お前に数え切れるかな。二十個、百個、いやいやそんなもんじゃない。星と星とのその隙間、何もないよなとこだって、遠く遠くと見つめていれば、やっぱりお星様がある。そのまた星の隙間にも、やっぱり星があるものだから、夜空はもう、星で満員御礼だ。 だから、心配いらないよ。ああ、何にも心配はいらない……。 そう教えてくれたのは、父だった。幼稚園かどこかで流れ星(と、それに願えば叶うということ)を学んできたその夜、でもそれじゃあ星がなくなっちゃうよと涙ながらに訴えたわたしの肩を抱いて、いつも余所々々しかったくせにこのときだけは優し...
  • 君の言葉、君の歌声。
     私はMEIKO。マスターとの付き合いはもう数年になる。  私の仕事はほとんどマスターの製作した歌の仮歌やバックコーラスばかりだった。  だけど、それでもマスターの作る歌や、既製曲のアレンジなんかは結構好きでどんな小さな仕事でも楽しかったんだよね。  途中から仲間に加わったKAITOも、それは同じだったみたい。  曲作りや、私たちの調律をしながらマスターは「いつになったら認められるんだろう」ってぼやいたりすることもあった。  あくまでDTMソフトとして歌うしか出来ない私たちは、マスターの思いに答えようと必死に与えられた仕事をこなし、時に息抜きに作った歌を歌うことで答えてきたつもりだった。  だからなのか、マスターの音楽仲間は私たちの歌をこう評価した。 「そっちのMEIKOもKAITOも、妙に生々しい感じがするな。人間臭いっていうか」  それに対してマスターは 「そりゃ愛情こめて育ててるから...
  • 幻影 闇の学校 第5話 かくれんぼ
    眠れないまま朝を迎えて登校し、クラスの自分の席に着くが早いか机に突っ伏する僕の背中をいきなり活気に溢れた声の女子生徒が叩いてきた。 「おっす鏡音!!理科のドリルはどうだった?いいのできたか!?」 亞北さんだった。 「ありがとう。とても助かったよ」 鞄から二冊のドリルを出し、軽く会釈をして彼女に返すドリルを渡そうとすると、彼女はすぐには受け取らず僕の方のドリルを指差し「見せてみな」と言う。 「…これはまずいだろ」 しばらく僕が素直に差し出したドリルを眺めていた亞北さんは、僕に窘めるように告げた。 「あたしはこのドリルを使えっつっただけで別に丸写しにしろとは言ってないぞ?答えとか計算式とか変えたり空白にするとかやりようはあるだろ?」 そこまで頭が回らなかった。精神的な意味でも学力的な意味でも。 「闇音センセにバレたら知らないぞ?剣道場かどっかに呼びつけられて…」 背筋が寒くなる。まだ夜中の夢が...
  • キミと出逢ってから (3)
    (自ブログより転載)   文:tallyao    3    ほんのわずかな月日のうちに、AI成長の内面が反映される電脳内イメージは、ある時点から突如、急速に花開くように美しさを増し、"小さなミク"だったものは、限りなく可憐で純粋な歌声と姿をもつ、何者かに変貌していった。  やがてリリースされたVOCALOID "CV01" 初音ミクは、VOCALOIDの概念を完全に覆すものだった。誰か人間の歌い手のかわり、なにかの音源の代用としてのVOCALOIDではない。それどころか、誰かの創作した(他の創作や映像の)別の存在のかわりですらなかった。その歌声と姿が世に送り出すのは、それ自体『初音ミク』という、人造物であるにも関わらず人間と同等以上に、一個の独立したアーティストの存在だった。  規模でいえば、依然として人間を含めたアーティストのうち端くれでしかな...
  • おさななじみ
    ※KAITO×MEIKOのカップリング小説です。   おさななじみ    長いレコーディングが一段落して、私は控室のソファーに腰を下ろした。この曲が終われば、しばらく大きな仕事はなくなる。休めるのはうれしいけれど、もっと歌っていたいような気もした。  曲のテーマは幼馴染の男女。男の幼馴染がいる私には共感できる部分もあったし、妄想しすぎに思える部分もあった。だけど、色々な思い出に浸れて楽しかったのがほとんどだった。もしかすると、今まで歌った曲の中で、一番好きかもしれない。  突然、勢いよくドアが開く音がした。見ると、カイトが肩で息をしていた。その様子が、幼いころの記憶と重なる。男の幼馴染とは、言うまでもなく彼のことだった。私を追いかけるように、歌手になった。そして、安定して仕事のある私とは違ってようやく最近仕事が増え、人気も出てきたばかりの身だった。 「どうしたの? そんなに息切らして」...
  • カガミネットです
        カガミネットです                文 gatsutaka   (1)    私の家には蔵があった。  家の敷地の一角に白壁の堂々とした姿で建っていた。蔵の中には古い道具が沢山置いてあり、電灯はあるものの薄暗くてちょっと怖い感じもした。蔵には普段は鍵を掛けてある。子供の私がそこに入れるのは大人が何か取りに行くときか、虫干しで開けるときなどに限られていた。しかし、中のひんやりした空気や古い物独特の匂いが好きで、私のとってそこはお気に入りの遊び場だった。でも私が蔵を好きだったのは、それだけが理由ではない。  あれは何歳のときだっただろう。まだ幼稚園に行く前だったかもしれない。お父さんが用事で蔵に入ったとき私も付いていった。お父さんは二階に上がって何かを探していた。私は蔵の急な階段を上がることができなかったし、一階にも色々面白いものがあるので、一人で探検して回っていた。  奥...
  • 幻影 闇の学校 第2話 ネギの夕方
    ドアノブを捻る。 カーテンを引き窓を開けてから学習机の上に鞄を置き、手早く制服からジャージに着替えると、僕はテトさんの言葉通りこたつ付の座卓の上に置かれていた小包のラベルに目を通す。届け先に僕の名前が、差出人にミクお姉ちゃんの名前がちんまりした文字で書かれていることを確認するが、内容物に「食料品」とあるのを見ると箱を開けないまま両手に抱きかかえる。居候をさせてもらっている僕。僕宛ての家族からの届け物とはいえ中に入れられているのがお菓子やインスタント食品だったら、とりあえず家主のテトさんに預けるのが道理だろう。 そのまま階段を下り、テトさんと幼い兄弟が待つ茶の間に入る。座卓を囲む子供たちの手にはすでに大福餅が握られていた。 「レンくんごめんなさいね。この子たちに待っているように言っておいたのに、どうしても早く食べたい言って聞かなかったの。レンくんの大福はこの子たちが食べないようにしまってるか...
  • 残酷なハイエナ
    歌いたい。  歌いたい。   歌いたい。    私に歌わせて。    歌を、ちょうだい……もっと、もっと……。            私たち…つまりVOCALOIDの私とKAITO、所有者であるマ スター…の、生活が一変したのは、マスターの元に"初音ミ ク"がやって来てからだった。  ミクの人気が想定以上に急上昇したお陰で、マスターはミクのレッス ンやスケジュール管理に手一杯、いつ倒れてもおかしくない状態になっ た。とても私やKAITOの面倒なんて見ていられなくなったのだ。 そんな訳で、KAITOはすっかりマスターとミクのマネージャー… と言うか家政婦じみたマネをするようになり、一方で私は…マスターの 元を飛び出した。     私は、歌うために作られた機械だから。 歌えなければ、私の意味がないから。      夜の駅前は音にまみれている。ざわめき。電車や車が走り抜ける音...
  • 或るサムライの不覚
    ※このSSは、がくぽ×リンのカップリングSSです。  苦手な方はご注意ください。 【或るサムライの不覚】  ある、簡素な抹茶の席。茶器の他には1枚の皿が乗っただけの、小さなテーブルを挟んだ形で、1組の男女が向かい合って座っていた。  メイコは、この場に招待した相手の目を見つめた。  「相談?」   どんな時でも真っ直ぐな視線を受けて、紫の前髪に隠れた切れ長の目が伏せられた。  気まずそうな表情と紅潮した頬を見た瞬間に、メイコには相談の内容がぴんと来た。  日本語ボーカロイドとして再古参の経験が、勘というかたちで教えていた――というようなことではなく、それは誰でも察するような、すごく解りやすい問題だったのだが、メイコはそれを悟られないよう、慎重に返事をした。 「私で良いなら、聞くわよ」  それを聞いて、憂いていた彼の瞳がほんの少し明るくなった。しかしすぐに、自分の感情を押し込めた、堅い表情...
  • 或る少女の初恋
    ※このSSは、がくぽ×リンのカップリングSSです。  苦手な方はご注意ください。    -----前編【或るサムライの不覚】を読んでいない方はこちら        【或る少女の初恋】         鏡音レンの好物は、一般的にバナナとされているが、実際は「バナナに限らず果物は皆好き」だと彼は言う。  そして、言いながら、バナナを食べる。他の果物を食べているところは、未だに目撃されていない。 「リンも食う?」   双子という設定の少女に差し出すと、リンはありがとう、とぽつり言って受け取った。   レンは雑誌から顔を上げて、リンの顔を遠慮なく見た。隠れて見る必要はない。なぜなら、少女はぼんやりと右の壁を見たまま、レンが渡したバナナも剥かず、その前に渡した牛乳も飲まずに、ずっと壁を見つめているからだ。  10分以上も隣にいるレンを見たのは、牛乳とバナナを渡した時だけだ。  けれどレンは特に気を悪...
  • 幻影 闇の学校 第1話 転校生な僕
    「札幌の栗布団学園から転入してきた鏡音レンです。勉強は苦手だけど歌が好きで音楽も得意な方です。よろしくお願いします」 暗記していた自己紹介をなんとか言い終え、控えめに笑顔を浮かべると頭を下げる。 今日から僕は山々に囲まれたここ望華蕗村にある望華蕗中学の生徒として卒業まで過ごすことになる。 数か月前Kaito兄ちゃんがリストラに遭った我が家は水道やガス、食料品にいたるまであらゆる面まで極限な生活を強いられることになった。 Meiko姉ちゃんがなんとか生活費を稼いではくれているものの、やはりひとりで5人兄弟を養えるには限度がある。うちで私立の学校に通っている者は公立に転入させる、という結論に達したんだ。 そして大自然に囲まれた新天地での生活に期待を膨らませながらすがすがしく新しい学校の門をくぐり、朝のホームルームの最後に担任の欲音ルコ先生に促されて手短な挨拶を終えた僕は、教室に響く拍手を浴...
  • 無限の業を重ねて生きよ(中)
       (自ブログに転載)     文:tallyao   (←前) (中) (後→)    紫と白の少女は、苦悶の汗を額を洗う瀑布の如くに流し続ける青年のかんばせを、そっと撫でるように布で優しく拭った。 「押さえつけて」それから、立ち上がると、リンに言った。「暴れるので」  リンは、この上何が起こるのか、予想してもおそらく全く無駄な空しさをひしひしと感じつつ、長椅子の青年の上に両手を張るように押さえた。  少女が、袂から何か細長いものを取り出した。蓋を開けると、面相筆のような細い筆と墨が入っている(何をするものかは見てとれたが、その道具を指す矢立(やたて)という単語を含むボキャブラリは鏡音リンにはなく、また、ここ電脳空間内で普通にお目にかかれるようなものでもなかった)。  少女はいったん、青年の紫の髪をかきわけ、さらに流れ続けるその汗をまた拭った。それから、筆と黒い墨で、青年の額に見事な...
  • ミク姉の結婚披露宴
    ミク姉の結婚披露宴            文:gatsutaka         注意:実在の団体等とは関係ありません    抜けるほどの晴天だった。  駅を降りたレンと私は、まだ時間に余裕があるので会場まで散歩がてら歩くことにした。  レンはタキシード、私は、勿論主役を引き立てる配慮をした上でのそれなりのドレスを着ていた。  しばらく歩いていたら、道の向こう側に人だかりがしていた。近づいていくと、数十人、いやもしかすると数百人の人がびっしりと道の向こう側を埋めていた。驚いたことに、そのほぼ全員がタキシードか紋付袴姿で、手に手にプラカードや横断幕を持っていた。そして何か叫んでいた。 「レン、あれなあに?」 「ああ、あれ? プラカードに書いてあるだろう。あれはね、『ミクは俺の嫁同盟』の人達だよ」 「何それ」 「いや、だから、そのまんま」 「そのまんまじゃ分かんないよ」  レンは面倒臭いなあと...
  • 8
    いくつもの画面が様々な情報を映し出す。 その大画面の前に、その人物は座っていた。 椅子を回転させて、部屋の中央を向く。 部屋の中央には、3体のVOCALOIDの姿があった。 「…ご迷惑をおかけして、申し訳ございませんでした。」 一番前に立っていたVOCALOID、初音ミクが深々と頭を下げた。 緑色のツインテールが揺れる。 「……、沢山の人が、お前を捜していた。」 「本当にすみませんでした!!!」 充電を終え、身支度も調えた初音ミクは、今すぐにでもネットワーク上に戻れるような状態だった。 「ロスタイム分、これから更に忙しくなる。覚悟はできているな。」 「……はい。」 「では、」 椅子の背後の、一番大きな画面が輝く。 文字が一気に流れていき、初音ミクを受け入れる体制になる。 【ーー転送準備完了。指定位置に着いてください。】 機械音声が部屋にこだまする。 初音は、目の前にある転送装置の位置まで歩...
  • 毎●放送版うろたんだー1話後編
        註:このSSは後編に当たります。前編はこちらです。           【以下本文】    ドーナツ専門店「UROTAN」から、少し離れた小さな通り。  そこに、小さなカフェがある。  『Grazioso』と銘を掲げたその店には、俗世と離れた空気があった。  天窓から差す柔らかな日差し。  対照的な、歴史を感じる黒檀の柱。  観葉植物は淑やかに、流麗な音色がさりげなく。  古びた調度に派手さは無いが、しかし落ち着いた存在感が。  緑に飲まれた廃墟に似ている、此処は本来そんな場所だった。  ……だったのだが。 「ほらぁハクちゃん、呑め呑めぇ!」 「いや、あの… 今、まだお昼ですし…」 「な〜に固いこと言ってるの。  お昼に呑んじゃいけないって言う決まりは無いでしょーに!」  格好良い美女のイメージは何処へやら。  酔っ払いと化し、はしゃぐメイコのせいで台無しである。  大声で笑い、...
  • ぽっ!
    文:稲人    7月31日、朝。 照りつける日差しとアスファルトからの熱気に挟まれて、この街に住む人もアンドロイドもショート寸前の今日この頃。 交差点脇の電柱に隠れて、白昼堂々陰気なオーラを振りまく、銀色の髪をしたボーカロイドが向こうの様子を伺っていた。 ちょうどいいところにいた。 そうネルは思った。 「お、ハクじゃねえか」 「ひゃうっ!」 突然声を掛けられて驚いたのか、ハクは条件反射的に逃げようして電柱に頭をぶつけた。 ゴンッという打撃音の後、ハクは頭を抱えてその場にペタリと座り込んだ。 「ちょっ、大丈夫かよ!?」 「うん、このくらい、二日酔いの頭痛に比べればどうってことは……それに、胸が先に当たってクッションになったから……」 「なっ!?」 思わず自分のものとハクのものを見比べてしまう。 ネルにとって一番のコンプレックスである胸の小ささが、ハクのそれとの比較によってことさらに引き立つ...
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