Spottswoode Estate Vineyard & Winery(2012年3月訪問)
インターネットで調べたところによると、このSpottswoodeのカベルネは、ナパの中でも突出して「女性的」なワインだという専らの評判だった。かのロバート・パーカー氏からも「カリフォルニアのマルゴー」というような評されかたをしたらしい。
しかし、そんなことを言われても、いまいちイメージしきれなかった。「女性的」って、どういう意味なのか?シャトー・マルゴーを飲んだことも無いし…マルゴーってどういう意味で「女性的」なのだろうか?(セカンドのパヴィヨン・ルージュ・ドゥ・シャトー・マルゴーなら飲んだことがあるが、特に「女性的」だったという記憶も無いし…)
そういうわけで、その「女性的」な味わいの何たるかを知るべく、ここは是非訪れてみたかったワイナリーの1つだった。
しかしSpottswoode訪問の門戸は狭い。テイスティングはツアーとセットで、要予約。火曜と金曜の朝10時から、それぞれ10人までしか参加できない。自分が予約の依頼メールを出した時点で、既に9人埋まっている状態だった。運よくギリギリ滑り込めたわけだ。
値段は25ドルで、ちょっとしたツアーと、着席形式のテイスティングが体験できる。
ツアーは、まず葡萄畑を眺めつつ歩く道すがら、説明を受ける。Cover Crop(地表を覆っている植物)の内容が1列ごとに違うとのことで、確かにそのとおりで興味深かったのだが、「cover cropは●●、■■、▲▲…」と植物の名前を挙げて説明してくれたものの、聞き取れなかったり、その植物の名前を知らなかったりして、さっぱり理解できなかった。1列ごとにCover Cropを変えている理由もわからずじまい。うーん残念。
↑確かに違う
畑の向こうにあったのは、かつてスポッツウッドさんがワイン事業を始めたときに住んでいたお屋敷…だったのだろうと思う(細部は聞き取れなかったり忘れたりしてしまった)。すぐそこに葡萄畑があるし、いまだにオシャレだ。
ワイナリーの敷地に戻ると、次は醸造施設の見学。
そしていよいよお待ちかねのテイスティングだ。内容は以下の3種。
2010 Sauvignon Blanc ($36)
香りからしてドライ。ややベジーな風味があって、アフターがこれまたドライ。甘ったるさが全く無い。
2009 Lyndenhurst Cabernet Sauvignon ($60)
"Lyndenhurst"は、"Spottswoode"のセカンド的位置づけのワイン(なのだと思う)。甘くクールでエレガントな香り。口当たりも甘く柔らかい。果実の酸味も感じられたかと思いきや、さらさらとフェードアウトしていく。薄いというわけではないのだが、軽やかな印象。ワイナリーの方の話によると、開くまでに抜栓後8時間を要するとのこと。
2009 Spottswoode Estate Cabernet Sauvignon ($145)
香りはLyndenhurstよりも閉じている印象だったが、方向性としてはやはり甘くエレガントなタイプ。味は、Lyndenhurstよりわずかに渋味・苦味の複雑さが加わったような感じ。開くまでに24時間を要するとのこと。おそらくLyndenhurstに比べるとまだ開ききっていないのだろう。完全に開いたときに飲んでみたいものだ。
さて、どうやら問題の「女性的」という表現について、自分なりの答えは得られたようだ。誤解を恐れずに敢えて自分の言葉にするならば、多くの人が使っている「女性的」という表現は、「苦味や渋みが少なく、軽やか」ということのようだ。確かに、濃く重いワインも美味しいが、こういうのも美味しい。
ちなみに、ワイナリーの人の話によると、Spottswoodeは現在、もっと大勢の客を収容できるテイスティングルームの建設を検討中らしい。近い将来、予約しなくても、テイスティングに訪れることができるようになるかも知れない。
最終更新:2013年05月19日 23:41