家飲みワインその104
Stonehedge "Stagecoach Blend" Meritage Napa Valley 2008

購入先:横浜の某百貨店内にあるワインショップ
値段:3000円
飲んだ日:2013年10月

 これは日本で買ったもの。
 まだ若いかなーと思いつつも抜栓。

 開けたてから、酸の効いた、それでいてプルーン的な円熟感も漂う、良い香り。この香りは妻にも好評(妻曰く、ナッツのような感じが含まれているとのこと)。

 味は酸味が卓越しており、若干、アルコール感がまだ強く、こなれていない印象。もっと開いた時点での味に期待…していたのだが、その後どうなったのかは忘れてしまった。

 ところで、このワイン自体とは全く関係のない話だが、これを買うときにショップの店員から言われた言葉が忘れられない。「ご不明な点などございましたら何なりとお問い合わせください」というようなことを言われたので「このワイナリー(ないしはブドウ畑)は、ナパバレーのどのあたりにあるんですか?」と質問してみたところ、次のように答えてくれたのだ。
「ナパバレーはこう、南北に長いんですけど、そのこっち(西)側、つまり左岸です。でもまあ、ブドウ品種がおなじであれば、どこで採れたものでも味はほとんど同じですよ。」
 一瞬、この一言に何パターンのツッコミが可能か考えたが、結局何も言わずにただワインを買って去った。そんな自分を褒めたい。

※ナパの「西側」を「左岸」と呼ぶのは誤り。本来「左岸」「右岸」というのは川に関する土木用語で、人が川下の方を向いて立った時に左手側に来る岸が「左岸」、右手側に来る岸が「右岸」である。ナパバレーを形成した川は北から南に流れるものなので、あえてナパにおいて西側をそう呼ぶとしたら「左岸」ではなく「右岸」である。ただ、そもそもワイン関係者がナパバレー内の場所を川の「左岸」「右岸」で呼び分けるところは聞いたことがない。他方でフランスのボルドー地方では生産されるワインの特色が川を挟んで大きく異なるため、ワインの生産地域を意味する用語として「左岸」「右岸」という言葉が多用される(ボルドーでは川が南から北に流れているので、西側が「左岸」である)。そのために件の店員は「左岸」という言葉が一般に「西側」を意味すると誤解しているものと推察される。

※ワインに携わる者は通常、気候条件その他のさまざまな要因により、特定の畑で採れた葡萄から造られたワインは、他のエリアで採れた葡萄とは異なった味の特徴を有する、というような説明をよく使う。ナパバレーの中においても当然そういった議論はあり、カベルネソーヴィニヨンについて言えば、例えばヴァレーフロア(谷の底の平らなエリア)で採れたものと山がちなエリアで採れたもの(いわゆる「山カベ」)とでは、味が大きく異なるとされている。その他、例えばヴァレーフロアの中でも、特にラザフォード近郊では「ラザフォード・ダスト」と呼ばれる塵っぽい風味があるとか、オーパス・ワンの近くの畑はやっぱり良いとか、様々な訴求の仕方がある。そういった売り文句の真偽のほどはさておき、心あるカリフォルニアワイン生産者・販売者・愛好家が件の店員の発言を聞いたら、顔を真っ赤にして怒るだろう。



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最終更新:2018年09月23日 11:32