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西洋古代の歴史記述

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西洋古代の歴史記述

ここでは、主に古代ギリシャ・古代ローマを中心とした歴史記述を概観する。

西洋古代の歴史把握の特徴

古代ギリシャ・古代ローマでは今日的な歴史研究に比べると、やや異なった観点から歴史記述がおこなわれていた。とくにこの時代の歴史記述に特徴的な点を指摘する。

循環的な歴史観


永遠性の重視


同時代史への偏重

ヘロドトストゥキュディデスに共通する歴史記述あるいは歴史認識の特徴としては同時代の事件の原因究明をその本分としている点が上げられる。これは循環的な歴史観や永遠性の重視が遠い過去に対する関心に結びつきづらいということが原因であるといわれる[1]。
[1]文献1:pp.66-75、文献2:p.36

歴史的展開

先駆としてのヘカタイオス

古代ギリシャにおける歴史記述の先駆としてはミレトスで活躍した散文作家ヘカタイオスを挙げることができる。彼は自身の実地調査と見聞に基づく地理書『周遊記』(あるいは『地理書』)を著し、また神話や伝承をもとに『系譜』(別名ヒストリアイ、あるいは『半神研究』)という家柄についての書物を著したという。これらの書物については今日断片が残るのみであるが、そこで示された事実の叙述のスタイルはヘロドトスに直接影響を与えたと考えられている[1]。

[1]たとえばヘカタイオス、ヘロドトス、トゥキュディデス三者の叙述冒頭部を比較してみると、ヘカタイオス:「ミレトスの人ヘカタイオスはかく語る。以下に記すところは私が真実と思うところである」(文献3:p.14)
ヘロドトス:「本書はハリカルナッソス出身のヘロドトスが…(中略)…とりわけて両者(アケメネス朝とギリシャの諸ポリス)がいかなる原因から戦いを交えるに至ったかの事情(を)…(中略)…自ら研究調査したところを書き述べたものである」(カッコ内はKanbun補注、文献3:p.67)
トゥキュディデス:「アテナイ人トゥキュディデスは、ペロポネソス人とアテナイ人が互いに争った戦の様相をつづった」(文献3:p.317)
と類似性が認められる。また三者ともに冒頭部に続いて理由を示して調査研究をおこなった上で記述したものであることを明言しており、事実究明の態度が認められる。一方でトゥキュディデス以後のクセノポンによる『ヘラス史』になると冒頭部分は事実記載から突然始まり大きく異なる。それはおそらくトゥキュディデスの未完の歴史記述をそのまま受けて叙述していこうという認識によると思われる。

三大歴史家

ヘロドトス

トゥキュディデス

ボリュビオス

周辺


クセノポン

カエサル

スエトニウス

プルタルコス

タキトゥス

出典

  • (文献1)蔀勇造?著 『世界史リブレット57 歴史意識の芽生えと歴史記述の始まり』山川出版社、2004年
  • (文献2)林健太郎?著 『史学概論(新版)』有斐閣、1970年
  • (文献3)村川堅太郎?編 『世界の名著5 ヘロドトス トゥキュディデス』中公バックス、1980年


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