出会い
日が落ちて活気づく歓楽街、夜の帳に包まれても眠りの浅い首都プロンテラ。
安っぽい店の作りも派手な娼婦も、通りを彩る灯りの許ではとても魅力的に見える。夜気と独特の熱気を孕んだ夜の中を泳ぐように歩みながら、アズは視線の先に捉えた姿に目を細めた。
安っぽい店の作りも派手な娼婦も、通りを彩る灯りの許ではとても魅力的に見える。夜気と独特の熱気を孕んだ夜の中を泳ぐように歩みながら、アズは視線の先に捉えた姿に目を細めた。
薄暗い灯りを避けるように、所在なさげに立っている黒髪の剣士。
食い詰めたか急に金が必要になったのか、恐らく彼は自分の他に売るものがなかったのだろう。まだ少年の域を脱しきれない整った顔立ち、捨て鉢な様子は痛々しささえ感じられる。
自分から客を引けるほど慣れておらず、その容姿と初心な様子に目をつけられていると気づいているのかいないのか。見回す辺りからたむろするごろつきたちが近づこうとしているのを認め、逡巡したものの咄嗟にするりと距離を詰めた。
自分から客を引けるほど慣れておらず、その容姿と初心な様子に目をつけられていると気づいているのかいないのか。見回す辺りからたむろするごろつきたちが近づこうとしているのを認め、逡巡したものの咄嗟にするりと距離を詰めた。
「………っ、っ!?」
「キミみたいな子がこんなとこ立ってるとぉ、悪い人に攫われちゃうよ~?」
「キミみたいな子がこんなとこ立ってるとぉ、悪い人に攫われちゃうよ~?」
こんな風にね、と背中から抱き寄せた躰は思っていたよりずっと細い。
彼は鋭く息を飲んで身を強張らせ、不意を突かれた反射の抵抗を押しとどめたようだった。一度ぎゅっと抱きしめてからこちらを向かせると、俯き口ごもるほんの一瞬、瞳に滲んだ怯えの色。
彼は鋭く息を飲んで身を強張らせ、不意を突かれた反射の抵抗を押しとどめたようだった。一度ぎゅっと抱きしめてからこちらを向かせると、俯き口ごもるほんの一瞬、瞳に滲んだ怯えの色。
覚えのある経験に苦い記憶が蘇る。食い物にされるばかりの弱い立場。痛めつけられ、感覚も麻痺するほど深く深く、傷ついて。
「キミならこんなところで立ってるより、狩りに出た方が稼げるでしょうに」
「俺……じゃ、まだ…全然……」
「俺……じゃ、まだ…全然……」
弱いから、とやっと聞き取れるほどの小さな呟きが胸に痛い。周囲の関心が余所に移ったのを確認して小さく息をつき、労りを込めて綺麗な黒髪を撫でる。
「なら狩りは後でつきあう事にして……ああ、お腹すいてない?おいしいとこあるよ」
「え……、ぁ…」
「さすがにふっかけられると困るけど、キミを一晩買うぐらいの持ち合わせはあるから。折角だしゆっくり楽しみたいと思わない?」
「え……、ぁ…」
「さすがにふっかけられると困るけど、キミを一晩買うぐらいの持ち合わせはあるから。折角だしゆっくり楽しみたいと思わない?」
おれが相手じゃ不満かな?と戸惑う顔にたたみかける笑顔を向ければ、急いで首を横に振る仕草が愛らしい。
同情など要らないと拒まれるかも知れない。それでも自分に出来る事があるのなら、与えるものがわずかなりと彼の慰めになるのなら。
何よりも甘くやさしく、すべてを忘れさせてくれる快楽を共に。夜が果てるのはまだ暫く先だから。
何よりも甘くやさしく、すべてを忘れさせてくれる快楽を共に。夜が果てるのはまだ暫く先だから。