俺俺俺の最終話を書き終えたと共に、俺は1話から書く切欠となっていた彼のメールを読み返した。
国籍や場所は違うけれど、同じ「ストライクウィッチーズ」が好きなことには変わり無い。
何故、異国の彼がこの作品を好きなのか。
それは「ストライクウィッチーズ」は『反戦』の切欠を提示しているからだそうだ。
こんなアニメに対し、随分ポジティブな思想を持つなぁと、正直俺はそう思った。
――
私は、この世間から離れた土地で墓を作り続ける。
遺品を握り、墓の前で泣く遺族の姿をもう私は見たくは無い。
それでも私はその『兵士』や、空襲で頭を失った『少年』『少女』の墓を作らなければならない。
それでも私はその『兵士』や、空襲で頭を失った『少年』『少女』の墓を作らなければならない。
いつか私が墓を作らなくなるように、戦死による墓を作らなくなるように、
あの時CDから聞いた日本語の『彼女の声』が、いつか実現するように、
「欲」の見方を捨て、聞いている人の全ての『志』に届くように。
そんな願いを馳せながら――
改訳して、一部をここに載せておく。
――
体外離脱。
白く弛んだ身体を捻った瞬間、金縛りから解かれた俺は
自らの描いたSSの世界に入り込む。
深層心理。
イチャイチャをするために生まれた俺は
その設定の為だとしても、平和を望むという志を示した。
伝達表現。
当事者にしか分からない、その叫びを聞いた俺は
彼が好きな作品の幅を、欲に目が侵される前に広げて観て欲しいと考えた。
我欲を望む現実の俺の、
夢の中の俺と
平和を望むもう一人の俺と
「ストライクウィッチーズ」への侵食。
――欲の、志と反戦と彼女達への侵食。
誰かが「もう一人の俺」に気付いてくれることを願って。
そういう意味でも、だから俺は、欲を殺したのかもしれない――
架空の彼女達の望むものを理解すれば、よりイチャイチャできるのではないかというポジティブ思考の実験劇。
これは劇中の『俺』と、「俺」と、作者の俺の物語。
―完―