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劫尽童女

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Book reviews

SF

・劫尽童女
恩田陸著 光文社文庫

 父親の実験のために生まれながらに特殊な能力を持った少女が主人公のSFです。
 実験によって生じた能力の奪い合いで組織に追われるというお約束の展開。主人公の遥はまだ十歳の幼い少女で保護が必要です。守ってくれる存在もあるのですが、他の人と異なる自分に孤独を覚えています。
  超能力を持った少女の物語となるとすぐに筒井康隆の「家族八景」を思い出しました。「家族八景」の主人公、七瀬は自分の不思議な能力のためお手伝いさんと いう仕事を隠れ蓑に住所を定めず、ひっそりと生活をしようとします。それがうまくいかないところが小説になっているのですが次々と七瀬に降りかかる不運が 筒井氏の世間に対するシニカルな視線を感じさせ他人に排除される孤独が胸を突く作品でした。
 さて、「劫尽童女」のほうですが、お約束どおり陰謀 あり、アクション的な要素もありの現代的な小説になっています。さすが人気作家の恩田氏の作品だけあって読みやすいながらもうまく盛り上げて、面白い娯楽 小説になっています。能力のせいで大人びているものの、まだ幼い遥に寄り添う視線も好感が持てました。
 ただこの方の小説、とくに長編SF詰めが甘い場合が。。。これももう少し結末を何とかできなかったかなぁ。最後の一章はああいう形で必要だったのか?と思ってしまいました。
 ただ、けなげな遥に最後の救いが欲しかったのは事実でした。

(2005/04/16)
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