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チューリップ・バブル

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・チューリップ・バブル
マイク・ダッシュ著 明石三世訳 文春文庫

歴史は繰り返す

 カバーに描かれたチューリップは今では見ることの出来ない美しい花でした。しかし、この花の球根に豪邸が買えるほどの価格がつけられたのをご存知でしょうか。

  これは中世のオランダで起こった、チューリップ・バブルと呼ばれる現象を描いたノンフィクションです。 中央アジア原産のチューリップはその美しさからオ スマントルコの宮廷で愛され、ついでヨーロッパに上陸します。ものめずらしく、美しい花は、愛好家の中で高値で取引されました。その高値がいつのまにかあ りふれた品種のチューリップに波及し、庶民をまきこんだ投機熱へと発展していきます。
 まだ土の中で眠っている球根にさえ値がつけられ、転売される。転売につぐ転売で、利ざやを稼ぐものたち。しかし、その手にはまだ現金が握られていないのです。
 資源的にも恵まれていないオランダが、勤勉に働き得た裕福さの先にあったチューリップ・バブル。その姿は300年後の日本で起こった不動産の狂乱を思い起こさせます。
 人は歴史に学ぶことはないのでしょうか。不動産バブルの後遺症に悩む人たちにも一読の価値があります。

 また、バブルの元となった燃えるように美しいチューリップは、ウイルスの感染による病的な発現によるもので、現在は見ることが出来ません。この象徴的な事実を含め、チューリップという植物の歴史をたどる上でも、興味深い一冊です。

(2002-04-27)
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