どーなつの書庫
八月の博物館
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匿名ユーザー
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Book reviews
SF・八月の博物館
瀬名秀明著 角川文庫
ひんやりとした空気。
足音にも気を使う静けさ。
博物館は不思議な緊張感と未知のものに出会える期待にあふれています。
この物語は不思議な博物館に迷いこんだ亨の小学校最後の夏休みの冒険を描いています。
今まで通ったことのない道で見つけた不思議な博物館とそこでであった少女。児童文学でよく見られる筋立てですが、これに成長して作家になりになりこの物語を書いている現在の亨の心情を描いた章がはさまれます。
「博物館の博物館」という多層構造の面白さに、物語の多層性が加わるなかなか面白い組みたてになっています。
子供のころ、夏休みに読んだ冒険小説を思わせる懐かしいような作品です。
亨の成長した姿には瀬名氏の置かれた現状が投影されてます。「パラサイト・イヴ」「BRAINVALLEY」で理系の人として認知されたため、作家の部分での評価に悩まれたようですね。実際、そういう視点からのコメントを求められるようなお仕事が多かったようです。
読む側としては小説が面白ければ、文系も理系も関係ないと思うのですが。
瀬名氏の小説は、導入部はSF的な要素を持つのですがちょっと違ったところに落ちつく傾向があるみたいです。
「パラサイト・イヴ」はバイオテクノロジーからホラーに、この「八月の博物館」はヴァーチャルリアリティから冒険ファンタジーにシフトしています。
そのせいか、面白いのですがなんとなく中途半端な印象を持ってしまうんだよなぁ。
SFファンとしては、最初から最後までちゃんとした本格SFを読ませて欲しいような…
でも今の出版状況なら、SFよりホラーやファンタジーって言った方が売れるんだろうな〜^^;
(2003-08-05)
