「新任の隊長ですな。
自分は前任で小隊を任されておりました
谷口 竜馬(たにぐち りょうま)と申します。
よろしくお願いします。
…あの、出来れば敬礼して
いただきたいのですが。
いえ、なぜって我々一応軍人ですし…。」


「小隊長、もっと背筋を伸ばしてください。
威厳がありません。」
(いや、だって寒いし/偉そうなの嫌い)
「それでも背筋を伸ばしてください。
部下を安心させるのも我々の仕事ですよ。」
(谷口は寒くないの?)
谷口は顔を赤らめた。
「そんなことはどうだっていいでしょう。
とにかく、おねがいします。」
(谷口は偉そうだな)
「…それは、嫌味のつもりですか。
自分は隊長に立派になっていただきたく、
こうして言っているんです。」


「昨日、通学中にこの間の戦いの葬列を見ました。
別れと言うものは…つらいものですな。
いつでも。
いつかあの光景を、何も思わなくなる時が
くるんでしょうか。
自分はそれが怖い。」


「隊長、歩き方がなってません。
もっと手を大きく振ってください。
こう、威風堂々と。
(いやだ恥ずかしい/バカみたいだ)
「…何を言っているんです。
戦争の厳しい今の
戦局だからこそ、ですな。」
あなたが無視して歩き出している事に
谷口は長い事気づかなかったが、
気づいた後、うなだれた。


谷口は苦い顔して薬を飲んでいる。


「隊長、襟が曲がってます。
ボタンも開けすぎです。
お気をつけください。
士官としての品格が疑われます。」
(無視する)
「…隊長…。」
谷口は慣れたてつきで、薬を取り出して
ばりばりかんで飲んだ。
「自分は、あきらめません。
自分はいつか隊長にもわかっていただける日が
くると信じております。」
(かわいくないなあ)
「か、かわいくない…。
当たり前です!
誰を捕まえて言っておられるのですか!
自分は男です!」
(意味が違う/かわいくない)
「…な…。」
谷口は顔を青くしたり赤くしたりして、
口をぱくぱく言わせた後、薬を取り出して
ばりばりかんで飲んだ。
「…。」
(平常心、平常心だ竜馬。)
(色々問題はある人にせよ、
 この人を見捨てることはせんと、昨日
 412回目の誓いをたてたじゃないか…。)
「作戦を立て直してきます。
失礼します!」


「やりましたね。肩の星が輝いて見えます。
仕えてきた甲斐がありました。感無量です。
私は上があなたの素行不良を理由に
昇進を取り止めるのではないかと心配で心配で…。
これで薬の種類を減らせそうです」


「おめでとうございます…。
あなたが武勲をあげたのが、
自分は嬉しくてなりません。
これまで胃痛に悩まされながら
仕えてきた甲斐がありました。
…もう、思い残すことは…。
あなたの態度や礼儀作法だけです。
頑張りましょう。
完璧な指導者になるんです。」


「隊長。
寝癖がついています。」
(いい加減に諦めなきゃ/かわいくない)
「…黙れ。
黙れ、こっちだって胃の痛みに耐えながら
やってるんだ!
少しは心配する者の気になって…。
いた、イタタタ。
薬…胃薬…はどこだ…。」


「…なぜ、あなたはちゃんとしようと
しないのですか。
あなたほどの人物ともあろう方が。
わかるでしょう…軍隊と言うところは、
枠にはまった人間こそを欲しがる。
そして出世を目指すものは、
有能な人間の足をひっぱる材料を
探しているんだ。
あなたは…自殺みたいな真似までして
自分を苦しめたいんですか。」


谷口は、すねているようだ。
いつもと違って注意してこない。
(今日は注意しないの?/大丈夫?)
「…こ、この悪魔め…。」
(はあ?/え?)
「俺が、じゃない自分が弱ってると見て
作戦を変えてきたな!!
負けるか。
わかってるぞ。
今日は優しい顔をしといて、
明日がっかりさせる事をする
つもりなんでしょう!?
…くそ…くそ…胃が、強い胃が欲しい…。」


「…あなたが自分を…っ。
この谷口竜馬を嫌っている事は、
良くわかっています。
…あなたが悪魔のような性格を
している事も。
だが、あえて言わせてください。
…あなたには才能がある。
自分にはない才能があるんです。
だからこそ自分は…。」
(愛してると)
「…否定はしません。
あなたは魅力的だ。
だがそれとこれは違います。
自分は…。
自分が胃痛で野戦病院送りになっても、
自分の言葉は忘れないでください。
そうなったら、もうあなたに小言をいう人は
いなくなるんですから。」
(もう少し気楽になって)
「気楽になれば、あなたが失脚した時に
自分はもう二度と立ち直れないほど
がっかりするでしょう。
それだけは覚えておいてください。」


「…あなたは、大悪魔だ。
…風紀を乱すだけならまだいい。
その上優秀なのがいけないんだ…。
あなたのような存在は、
組織そのものを壊しかねない。
あなたは我々が苦労して作ってきたものを
簡単に飛び越え、我々の伝統をせせら笑う。
…それなのに…。
それなのに、なぜですか。
なぜあなたは優しく笑う。
…自分は…。」
谷口は、泣いて走っていった。
そしてあなたが呆然としている間に
一日が終わった。


谷口は、あなたを見た後、
悲しげに目を伏せた。


谷口は、あなたを見た後、
悲しげに目を伏せている。
(べろべろばあ/だらしなくしてみる)
「……。」
なんの反応もない。
本格的にへこんでるようだ。


谷口はあなたを見た後、
悲しげに目を伏せている。
(ぺちぺち叩く/悪口を並べ立てる)
「……。」
ぷちっ。
(奥様言葉で話す/幼児語で話す)
「…………ぁ。」
ぷちぷちっ。
(大胆ポーズ/抱きついてみる)
ぷつん。
「あなたという人はぁぁぁ!
……。
…何を心配そうな顔をされているのです。
あなたらしくもない。
…わかりました。
わかりましたから!
元気を出してください。
自分も生き方を変えますから。」


「…自分も影響されたのかもしれません。
あなたのやり方に。
…だがそれも、悪くはない。
己の無力を呪いながら生きるそれよりは…。
それよりまだ、大悪魔の手先として
戦う方がまだましだ。」


谷口はひどく表情が優しく、それでいて
堂々としているように見える。
谷口は、あなたを見て笑った。
「堂々としているのではなく、
どうしようもないだけです。
我が隊長殿。
もはや、やらなければならない事と、
心からやりたい事は完全に一致しました。
あなたと歩くこの道の果てが破滅でも、
もう…どうしようもありません。
理論も心も、出している答えが同じである以上。
最善が破滅なら、それはどうしようも
ないでしょう。
それについて文句を言うのは
死んでからにします。
あの世で愚痴を聞いてください。」


「軍に志願した時、
自分は海軍に入りたいと思っていました。
熊本攻防戦の殊勲者の指揮官は
海兵出身でしたから。
…あと、海軍の飯はうまいときいたんで。
笑うな。
いや、笑わんでください。
自分は大食らいで、家族にはいつも迷惑を
かけていましたから。」


「…前ほど言うつもりはないのですが、
たまには身だしなみを整えてください。
…なぜか、ですか…?
昔、自分の親父は、
どんなに苦労して胃が痛くても朝会社に
行く時はきっちりと格好を整えておりました。
自分は、それが好きだったのです。
きっと、多くの兵もそうだと思います。
見栄をバカにする方がいるのと同じ程度には、
見栄をまぶしく思う奴もいるのです。」


「…自分は、あなたといた時の事を、
誇りにするでしょう。
あなたが偉くなってしまって
どこかにいったその後も、あなたの思い出が
あれば自分は、楽しく生きられると思います。
皆に、自慢してやろうと思うのです。
あなたの事を。
伝説になるであろうあなたが
どんなに子供っぽくて無邪気であったのかを。
そしてくやしがらせます。
同じ時代に、生まれてこなかった事を。
…慕っています。
自分が死んでも。」


「……。まあ、その…だから。
末永く傍においてください。
胃薬くらいは我慢しますから。」


(谷口竜馬ED)
私は面白くない人間ですが、当時においても
そうでした。
北海道から援軍が来る事を聞いて皆が
浮かれているその時も、そうでした。
ああ、いや、違うな。
一つ思い浮かんだ事があって、
どうしてもそれを確認しなきゃいけない事が
あって……走ったな。
 (108警護師団に
    配属されていた学生兵の手記より)

谷口 竜馬はこれまでの人生の中でも一番の
勢いで一所懸命に、走っていた。
どうしてもどうしても、話したい人がいた。
「……み、見つけた!
隊長! 隊長!
いや、北海道の援軍と後退休養命令の事
じゃなく、……。
隊長は、これからどこに行かれるんですか?
我々をおいてどこかにいってしまったりしない
ですよね?
なんでそこで笑うんですか!?
はっきりしてください!
ずっと傍に置いてくださいと言ったじゃない
ですか!」
(ついてくるの?)
「……当たり前でしょう。
言ったでしょう。
あなたと同じ時代に生きた事を、誇りにすると。
は、離しませんから自分は!」
実際その日は、離してくれませんでした。
(どうしよっかなー)
「……しまいにゃ泣きますよ。
いいですか。
あなたには私はいらないかもしれませんが、
自分にはあなたが必要なんです。
……あー。
いや、その、何言ってるんでしょうね、自分は。
とにかく!
自分は隊長について行きますからね!」
あなたはクスクス笑いました。


谷口竜馬 通常 / 提案 / 派生 / シナリオ

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2008年01月02日 17:50