立場
「現状我々は戦線から大きく離れ、敵地の中に存在
している孤島のような状態に陥っている。
貴様達の隊長の選択だ。
恨むなら隊長を恨め。
ただ……、今回の判断は士官学校なら
0点の回答だが、無理して追撃されるよりも
マシな判断だった、と私は思っている」
地勢
「熊本要塞が陥落しなかった事で、敵は作戦を
変えてきた。
熊本要塞への補給線を遮断して
締め上げようという考えだ。
具体的に言えば山口県の関門海峡を押さえて
陸路を封じる算段だ。
こちらはなんとか守れたが、橋は破壊されて
再建までには10年かかるだろう。
敵はその後作戦を変え、我々がいるこの広島を
狩場にして嫌がらせを続けている。
最小の兵力で最大の効果。
敵ながらいい作戦だ。
経済効果は、バカにならん。
ここにいるのは弱体な兵ばかり、それも一戦で
撃破された程度のものだ。
堅固な守りを固める兵庫と山口に、
大部分の味方は敗走した。
お前たちは逃げ遅れ組だな」
山岳騎兵1
「我々の兵科を山岳騎兵という。
本来は山岳での、
救助活動と捜索活動を行う部隊だ。
脱走兵狩りに、登山客などの民間人救助。
まあ、殺すほど偉くなる軍の秩序から言えば
糞仕事だ。
我々は獣臭い以前に糞臭い。
山道では車は進めない。
だから我々は獣を使う。
動物兵器をな。
であるから、我々は山岳騎兵という」
山岳騎兵2
「山岳騎兵は地味な兵科だ。
レーザー兵器も、大きな武器も使えない。
ウォードレスの出力は全兵科でも最低、
持ち歩く弾薬はいつも少ない。
だがそんなものは、何の問題も無い。
我々には山があり、森がある、河がある。
戦場が日本の山河である限り、我々は戦車より
速く、どんな部隊よりも適切な痛撃を与え、
単独で粘り強く戦う事が出来る。
我々に殺しが主任務ではないから殺さないだけで
ある事を、これから証明し続ける事になる。
敵にも、味方にもな。
全弾使い切ってもなお、鵺の牙が、爪がある。
山岳騎兵とは諦めないのと見捨てないのが身上。
身上を守って死ね」
山岳用武器
「騎兵の装備する騎兵銃は突撃小銃を短く切り
詰めたものだからな、命中精度が悪い。
軽いがな。
だが山岳での戦闘では動き回る事になる。
見晴らしのいい所で射撃戦をする機械も無い。
カタログで見るな、実戦で使え。
乱戦では強いはずだ。
何より軽いのがいい。
山野を駆け巡るのが山岳騎兵だ。
ならば、軽い武器の方が有効に決まっている。
武器でもう一つ言うとすれば、騎兵槍だな。
我々が持つ最強の、対中型幻獣兵器だ。
ミサイルとか言っているが、実際は単なる
ロケットモーターをつけた槍だがな。
マッハ3を超える。
あたりさえすれば多くの幻獣には風穴が開く
事になるだろうから、上手く使え。
これの一斉射撃で無事な敵はいない」
動物兵器1
「我々が使う武器の中で最大の物を
動物兵器と言う。
半分は生きている、我々の相棒だ。
ほんの小さい時から育て上げた、山岳騎兵の友。
我々の眼となり、鼻となり、武器となり、
脚となる、我が半身だ。
動物兵器は成長する。
されが、戦車などと圧倒的に違う点だ。
また自分で考えて戦う事も出来る。
かわりに死ねば終わりだ。
一から育ててる間に戦争が終わるだろう。
大事にしろ」
動物兵器2
「動物兵器の紹介をする。
まず99式雷電。
鵺ともいう我々山岳騎兵の動物兵器だ。
速度も速く、白兵でも強い。
甘えん坊だから、大切にしてやるんだぞ。
次、95式月光。
雷電より力が強く、重量物を運搬するのに
向いているという支援動物兵器だ。
紙を食べる癖があるから、注意しろ。
89式隼。
古いタイプだが、今でも前線で使われている。
伝書鳩に毛が生えたようなものだが、
意外に役に立つ。
99式疾風。
飛ぶタイプの動物兵器としては最強だ。
こいつはちょっとした戦闘機並の性能がある。
これなら戦場では主力になりえるだろう。
もっとも飛んでいるせいで見つかりやすいし、
集中攻撃を受けやすい。
扱い方には注意する事だ」
国の思惑
「間抜けな奴らだ。
国はお前たちを死んだ英雄にしたがっているぞ。
あっぱれ、逃げ遅れた住民を守って死んだ
将兵とな。
その美名は生きている敗残兵より、
よほど価値がある。
だがそれでもなぜお前たちは戦う?
なぜだ……なぜだ……。
ふっ。
私にはわからん。
わかるのは本人であるお前たちと、
それと事実だけだ。
事実はこうだ。
一番幸薄い兵と国民が、国家の
正義を一番体現していたと、そういう事だ。
生き残れ。
なんとしてもな」
幻獣1
「現在敵として報告されている幻獣はおなじみの
ゴブリンやスキュラ、まあ珍しいものではい。
が、この地方だけで見られる敵も、
いないわけではない。
今から教える。
まず、ヒトウバンだ。
こいつは熊本に出現していた浮殻科幻獣だ。
人の頭を貼り付けて飛ぶ悪趣味な敵だ。
視界が広いから偵察用として使われる。
つきまとわれると厄介だ。
見つけ次第始末しろ。
次にバジリスク。
装甲の厚い小型幻獣だ。
敵の射程は短いが、まあそんな事は
どうでもいいくらい硬いから、
どう戦うかが難しい。
最後にオウルベアー。
こいつはでかい。
とてもまともには戦えない。
勝つとしたら絢爛舞踏くらいのものだろう。
ふっ、冗談だ。
本気にするな」
幻獣2
「幻獣というものは、軍を形成している知性体だ。
バカではない。
何が嫌がらせか、良くわかっている。
……と言う事はだ。
付け入る隙もあるかも知れんという事だ。
知能がある敵はペテンにも引っかかりやすい。
まあ、この辺は頭のいい奴が考える所か。
上手くやれ」
山岳戦術1
「山岳騎兵の武器は山と森、川だ。
我々は山に登る事が出来る。
我々は森で特別な防御効果を得られる。
我々は自在に渡河出来る。
戦闘ではそれっを使え。
敵の後ろに回りこみ、攻撃を行え。
間抜けな侵略者どもに死をもって教えてやれ。
我々が殴られっぱなしでない事を。
我々最大の武器は日本の、この国土だ」
山岳戦術2
「山岳騎兵は動物兵器から降りて独自戦闘
させる事で見かけ上兵力を倍に出来る。
我々は2つで1つの戦闘部隊だが、単独
でもそれぞれ戦闘能力がある。
上手く使え。
通常の小隊編成なら出来ない芸当でも、
我々にとっては何の問題もない。
それを良く考えろ」
最終更新:2006年09月13日 18:23