ネクロス領
中央霊山の東の麓に領地を置く小さな国家。
ネクロス家によって治められており、その規模から領と呼ばれる。
昔は移動民族で世界を旅していたが、人間の時代に入った頃にこの地に落ち着いた。
形式上は国家であるものの雰囲気は一地方とその領主と言った方が近く、
ネクロス家と数千人程度の領民が国民の全てという小さな国。
限定区間内のライフストリームを移動する特殊なゲートを開発しており、
これにより死者の国ゼーレとの行き来に加え、密かに東の骨海と繋いでいる。
しかしこのゲートは“命無き者にしか使えない”。
死神の加護を受けずとも使える分だけ便利になっているが、それでもやはり使いづらい。
アンデッドと化した者が多いネクロス領ならではの設備である。
国家関係
死者の国ゼーレと国交があるおそらく唯一の国であり、
たまにいさかいが起きる事もままあるが、それなりに国交が成り立っている。
他に人間以外には寛容な一面を持つクレメアや、
魔族や竜族の住まうセフィロトなど、人間以外の国家とは僅かな国交が有る。
神の教えに反するとして一部の宗教国家や団体からは敵視されているが、
宗教国家にとって侵略して見込める利益が殆ど無く(屍霊術の奥義は意味が無い)、
放っておけば無害な上、地理的な要害と国家バランスに守られ、侵略を受けた事は無い。
セフィロトやクレメアを刺激する事による危険も大きいのだろう。
鉄道網の中心であるファテーブルも近いが、鉄道で軍隊は運べないのである。
税金も安く温泉も涌いている為、色々と慣れる事さえ出来れば過ごしやすい地と言える。
(実は集団戦闘における屍霊術の怖ろしさも警戒されている。
生きた兵を殺しても生前より強い特殊なゾンビになり、そのゾンビを浄化しても、
その間に1人やられていればそれもゾンビになって相手に寝返る計算になるのだ。
敵対するアンデッドに命令する事は領内で違法だが、戦争中は別である)
ネクロス家
屍霊術の研鑽を目的とした一族であり、死後に上位アンデッドへ転生する者も多く、
“活動している死者”の数が生者より多いという殆どアンデッドの家である。
領内でも骨組みの小鳥が空を飛んでいたり抗菌処理済のゾンビが畑を耕していたりする。
かつては移動民族として世界中の屍霊術の技術とアイテムを蒐集していた。
その為、こと屍霊術に限っていえばこの地の右に出る国は無いと言える。
一族としての性格は比較的穏健で、生者を意味無く殺害したり死者を苦しめる事は禁忌だが、
それを破った者に対する処罰も単に追放するだけであり、その後は我関せずの態度をとる。
ネクロス家の他の誰かの怒りや義憤を買っていて追撃、浄化される事も少なくはないが、
そのまま放置され野に放たれることも間々あるようである。
転冥の紋
ネクロス家の者はある秘術を会得した時に一人前に認定される。
それは高位アンデッドに転生する秘術であり、これを自ら紋様として体に刻む事で、
死亡時に自動的に術が発動し高位アンデッドに転生する事が出来る。
顔に刻むのがならわしだが他の場所に刻んでもよく、どちらにせよ大抵の者は隠している。
これを転冥の紋と呼ぶ。
輿入れ
最近のネクロス家は生者の数が少なくなり子供を残しづらくなってしまった。
屍霊術に適した血筋を残す為には生者が要るのに、死者ばかり多いのである。
その為に生きている領民や他国からの『輿入れ』を行う事がある。
しかし畏怖されているネクロス家に嫁ぐ者はあまり居らず、
それは何らかの取引の見返りとして半ば生贄のような形での婚姻となる。
ネクロス家の者達は彼女(彼)を歓迎するが、適応出来るかは別の問題だろう。
名前の法則
ネクロス家は元移動民族であり、蒼炎皇国などの文化も僅かに混じっている。
その事はネクロス家の者の名にも現れている。
レイシは霊子や霊死、メッセは滅世など当て字が本名として有るのである。
(霊子、霊死など言葉遊びの様に複数の字が当てられている事もある)
といっても日常において漢字の名を使う者は少なく、半ば形骸化している。