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チョコ妖精【10】 - (2006/01/22 (日) 12:42:08) のソース

<h2>チョコ妖精(10)</h2>
<p align="right">著者不詳</p>
<p>
おやつを食べて一息ついたそのタイミングで、妖精がなにか耐えかねたように切り出した。<br>

「おにーさん、暖房、つよくない?」<br>
そうか? 設定温度は23度。冬の暖房ってこんなもんだと思うんだが。<br>

「この室温、ぼくにとっては、かなり高温なんだよ。だから、おねがい。下げて?」<br>

「断る。寒いのはキライだ。そんなに寒いのが好きなら、ひとりで外に行って来い」<br>

「おにーさんのイジワル! …えっとぉ、ぼく、暖房に当たってばっかりいるとね、脂が浮いちゃうんだよ」<br>

・・・。<br>
「は? 脂?」<br>
なんで?<br>
訝しげにするオレに、さっきまで食べてたチョコのパッケージを突きつける妖精。何? 読めって?<br>

<br>
「高温でやわらかくなったチョコレートは冷えて固まると白くなることがあります(ファットブルームといいます)。これはチョコレートの中の油脂分であり、召し上がっても身体に差し障りはありませんが、風味は劣ります」<br>

<br>
ふうん? ファットブルームねぇ?<br>
「わかった? おにーさん。ファットブルームがおきちゃうんだよ」<br>

冗談だろ? そこまでおまえはチョコと一緒なのか。<br>
「そうなったらもうタイヘンでね? ベトつき肌&乾燥肌のわがまま肌になっちゃってもうヒドイんだから」<br>

そんなこと力説されてもな……<br>
「だーかーらぁ、暖房は切るー」ぷちっ<br>
っあー! バカ! このバカ!</p>
<p>……。…………。寒い。<br>
「寒い、ね、おにーさん……」<br>
オマエも寒いのかよ。思いっきり震えてんじゃん。<br>
「ねぇ、寒いから、ぎゅってして?」<br>
「ファットブルームは?」<br>
「お口で溶けて手で溶けない」<br>
……。M&M'sか?<br>
「わかったよ。ほら、こっち来い」<br>
わーい、とパタパタ駆け寄ってくるチョコ妖精。幸せそうな面しやがって。<br>

さて、妖精ごときじゃ寒いのはどうにもならん。布団でもかぶるか。<br>

あ、今日は見かけないと思ったら、こんなとこに隠れてたのか。悪魔。まぁいいや。<br>

こらバカ!妖精! 布団に入ったからってはしゃぐんじゃない! っこら、ソコは……! やめ……</p>
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