序
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戦術(Tactics)―由来:ギリシャ語のtakikaより。1a:戦闘における戦力の運用と機動についての科学と技。―ウェブスター新大学辞典第9版
「合衆国軍野戦教範100-1、作戦」より:戦争の戦術的段階は戦闘と交戦の執行に関係している。戦場において、指揮官が第一に注目することは戦闘に勝利することと特定の目標を達成するため機動と射撃を行うところである交戦である。
戦術は戦闘において装備と人員を配置する基本的な方法である。戦争の戦術的段階は大まかに単一の部隊から軍団(最大約3万部隊)までの範囲に限定されるが、このガイドではSPWAWの観点から大隊レベル(最大1千部隊)までに注目するものとする。付記すると戦争の作戦的段階は軍と戦線(例:第3軍、西部ヨーロッパ)についてで、戦争の戦略的段階は全世界規模における国軍についてのものといえる。
辞書的な定義の通り、戦術は科学と技術である。弾頭と目標の相互作用は物理法則に支配されるため科学を含むといえるが、人間的側面はそう簡単には定量的な法則には帰納できないため、技術というより柔軟な用語も用いられることとなる。大まかに言えば戦術の人間的・技術的側面こそがより重要とみなされている。どれだけ兵器が強力であろうとも、そこには越えられない限界がある。人間の創意と忍耐力はそう簡単には伸ばせない。対戦車砲はある程度の装甲までしか貫徹できず、それより分厚い装甲の目標を撃破する能力はない。一人の兵士が最も強力な戦車を撃破する可能性は低いが、それは時折起こりうる。戦術の科学と技術という二つの本質により、このゲームのプレイヤーは配置された(双方の)装備の物理的能力、そしてほとんど限りのない人間の能力と相手のとり得る狡猾さに意識を払わなければならない。AIと対戦するときでもこのことに注意しなければならない。AIは人間によってプログラムされ、思わぬことがプログラムされているかもしれないからである。
基礎―戦いの原則
あらゆる詳細について議論する前に戦争の原則について考える必要がある。数千年にわたって人々は戦争について研究を行い、いかなる状況にも適用できる黄金則を定義しようとしてきた。戦争について書かれた最初の文章の一つが紀元前500年ごろに書かれた「孫子」である。19世紀にはクラゼヴィッツの「戦争論」に見られるような科学的分析を戦争に適用する試みが行われた。戦争の定量化は依然として続いているが、合衆国軍は9つの戦争の原則を認めた。目標・攻撃・集中による物量・戦力の経済的使用・機動・統一・警戒・奇襲・簡潔である。
- 目標。全ての軍事作戦にはっきりと定義され、重要かつ達成可能な目標を狙わせよ。
- 攻撃。主導権を奪取、保持しこれを活用せよ。
- 集中。圧倒的戦闘力の効果を重要な場所・時間に集中させよ。
- 戦力の経済的使用。利用可能な全戦闘力を可能な限り最も効率的なやり方で運用せよ。最小限の必要戦力を二次的な活動に割り当てよ。
- 機動。戦闘力の柔軟な適用を以て敵を不利な地点に置け。
- 統一。いかなる目標に対しても指揮の統一と活動の統一を追及せよ。
- 警戒。敵が予想外の優勢を得ることを決して許すな。
- 奇襲。敵をその予想外の時・場所・やり方で攻撃せよ。
- 簡潔。分かり易く複雑でない計画と合意を通じた簡潔な命令を準備せよ。
残念ながら戦争は非常に複雑なためいかなる状況でも成り立つほど一般的な法則はことごとく曖昧すぎて個々の特定の用途には役立つものではない。加えて、研究によって発見された「原則」と呼ばれるものは我々が見る歴史とは何かとどのようにそれを見るかにしばしば依存している。The Infantry Journalよりこのような記述がある。
やや似た状況で他人がどうやっていたかを必死になって思い出そうとする指揮官は深い轍の付いた破滅への道に既にその足を降ろしている。
筆者はこれら9つの原則は4つまで減らせると考えている。
最初の二つは最も重要な目標にほとんどの兵力を、より重要度の低い目標にはより少ない兵力を集中させることを求めるものである。これこそが最も基礎的な戦争の基本であると筆者は考えている。最後の二つは人間が、限界のある人間が戦争をやるがゆえに重要になる。複雑すぎる計画は予期した通りには実行されず、複数の指揮官が複数の、互いに相反する実行不可能な命令を生むことになるのだ。このことを心にとめて、以下が戦争の9つの原則についての筆者の意見となる。
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目標
攻撃
集中
戦力の経済的使用
機動
統一
警戒
奇襲
簡潔
最終更新:2014年05月07日 01:52