CHAPTER.5

        ザアアアアアァァァァァァァ…

「…大雨洪水警報、か」
 パチン。テレビのリモコンの電源スイッチを押下し、溜息をついてソファーに沈み込む。
 夕方から愚図つき始めた天気はとうとう決壊し、今や雷を伴う大雨となり、
 雨粒が派手にガラス窓を叩いている。

 …時刻は九時。逃げるように食卓を後にし、リビングに来てからもう一時間以上が経つ。
 結果的に、後片付けを全てヒーに押し付ける形になってしまった。
 情けない話だ。昼間、あれだけ啖呵を切っておいてこの様か―――


       ―――――――――本当に?


 …違う。この期に及んで、まだそんな言い訳をするのか。
 俺は、逃げた。ヒーから。そして或いは―――自分自身から。

 ぼんやりとテレビのバラエティを眺めながら、俺はあいつのことを考えた。
 昨日までは、何を意識したこともなかったヒーが、
 たった一日でこんなにも気になる存在になってしまった。

 スーパーで泣き出しそうな顔を見た時。
 エプロン姿を初めて見た時。
 俺に料理を教えてくれていた時。

 俺は何度も、彼女の今まで知らなかった一面に気づかされていた。
 そして、揺らぐ感情を、気のせい、気のせいと振り払ってきた。

 けどそれは。本当に、気のせいだったのだろうか―――?

「………」
 意識を、廊下の向こう、台所と食卓に向ける。
 …ヒーが部屋を出た気配はない。いくら何でも、片付けは終わっているだろう。
 にも拘らず、いつもなら時間が空けばいの一番に
 俺の所に突撃してくるあいつが、動く様子がない。
 ………まいった。本格的に、避けられている。
 自業自得とはいえ、辛いものだ。

 …この大雨では、例え俺が送っていくにしても危険だろう。
 今夜は、あいつには俺の部屋に泊まってもらって、俺はここで寝るとしよう。
「…すぅ」
 深呼吸し、台所に向かうために意を決して立ち上がろうとする。途端―――、

 ――――――バタンッ。

「!」

「男おおおおおっ!すまん、長居してしまったな!!
 そろそろお暇させてもらうぞおっ!!」

 リビングの扉が盛大に開け放たれ、ヒーが飛び込んできた。
 先ほどのテンションの低さはどこへやら、いつも通りの暑苦しさを取り戻していた。
 …だが、何かが違う。恐らく、昨日までの俺なら素通りしてしまうほどの些細な違和感。
 それが、今、あいつの影にある。
「お暇って…帰るのか!?この雨の中をっ」
 いや、そんなことよりもだ。今、あいつはかなり無茶なことをいった。
 今尚、ガラス窓をばちばちと打ち付ける横殴りの雨の中、帰る、と、そういったのだ。
「ああ!何、心配するなっ!この程度の雨でどうにかなる私ではないぞっ!!」
 むん、と胸を張って断言するヒー。だが、やはり何かおかしい。
 その様子に、空回りのような薄ら寒さを感じ、俺は眉を顰める。
「馬鹿、よせって!いくらおまえでも、風引いちまうぞ!」

 傘など意味をなさないし、外は真っ暗。
 下手をすれば、事故や何かで命を落とすことも有り得る。
 ヒーがいかに無鉄砲で底なしのタフネスを持っているとはいえ、流石に見過ごすことは出来ない。
「侮るな男おおおおおっ!
 大丈夫だ、傘を忘れてずぶ濡れで帰るなど、私にとっては日常茶飯事だあああっ!!」
 …今この時ばかりは、この叫びが痛々しい。
 ヒー、おまえは、何を我慢しているんだ…?もしかして、俺のせいなのか…!?

    ドカドカドカッ

「おい、待てヒー!」
「はははっ、今日はどうしたんだ男っ!
 いつもなら私が何をしようと見ているだけなのになっ!」
 俺の静止を振り払って、ヒーはフローリングの床を踏みつけながら玄関へと向かう。
 声だけは笑っているが、もう顔をこちらへ向けようともしない。やはり、おかしい…!

 ガチャッ

「さあ、見ていろ男おおおおっ!
 この私の生き様、とくとその目に焼き付けろおおおおおーーーっ!!!」
 靴を履き、玄関のドアノブにヒーの手がかけられる。
 奴が少し手首を捻って体重をかければ、すぐさま外の雨風が中に吹き込んでくるだろう。
 そして―――、

 …いけない。今、ヒーを帰したら、俺はきっと後悔する―――!


                 「ヒーッッッ!!!!!」

 ―――――――――ピシャアアアアアアアアァァァァァァンッッッ

 バツン。
「!?」
 腹の底から、ヒーの名を叫んだ瞬間。
 雷鳴と共に何かが断たれるような音が響き、視界から光が消えた。
 …どうやら、停電したらしい。雷の音からしてどこかに落ちたのだろう、暫くは元には―――、

 ぼふんっ。

「…っと…?」
 突然。胸に、何かが寄りかかってくる感触を捉える。
 暗くて形が分からないが…心地よい柔らかさと、適度な重みが妙な安心感を与えてくる。
 反射的に両手を添える、と。

 ぴくんっ。

 触りなれた感触が指に触れた瞬間、俺に密着した何かは僅かに震えた。
 …そこで初めて、この状況で俺の腕と胸に収まりうる何かが〝ソレ〟であると悟る。
 恐る恐る、呼びかけてみる。
「………ヒー?」
「…な、なんだ。こ、怖くなんか、ないぞっ!」
 顔の下から聞こえてくる、塵ほどの覇気もない、弱々しい虚勢の訴え。
 間違いないらしい。俺が今抱いているのは、ヒーだ。
 いや、それは正確ではない。停電と同時に俺に抱きついてきたのは―――ヒーのほうからだった。
「えっと…おまえ、暗いの、駄目だっけ?」
「うるさいっ!か、かかか、雷なんて、ヘソさえ守っていれば恐れるに足らんっ!!」
 成る程。雷のほうだったか。
「ふぅん。…ところで、帰るんじゃなかったのか?やっぱり怖くなったか?」
「こ、こういう時は、くっついている方が安全なんだっ!!」
 何で覚えた知識なんだろう。…しかし。

「…ん」
 なんだか、変な感じだ。
 暗がりの玄関で、ヒーと二人、ただ抱き合っている。

 とくん。とくん。
 ヒーの鼓動と俺の鼓動が、互いに互いの生を伝え合う。
 これは、機会なのか?俺が、俺自身の気持ちを確かめるための…。

「ヒー」
「?」
 こうしていても始まらない。
 昼間はお約束の展開を仕組んでくれた神に愚痴を垂れたが、
 今度ばかりは、最後までお約束の展開を貫いてくれたことを感謝しよう。
 或いはこれは、戯れの誘いか。まぁ、どっちでもいい。
 俺はこの機会を、逃さない。

「とりあえず―――俺の部屋に行こう」

 ・ ・ ・

 ガチャッ

「あ…」
「すまん、手間取った。懐中電灯、電池切れてやがったから探して来た」
 居間の戸棚から非常用のライトを持って部屋に戻ってくる。
 ヒーは俺が出て行った時のまま、大人しく俺のベッドに座って待っていた。
 …借りてきた猫のよう、とはこのことだ。
 俺も毒気を抜かれ、さてどーしたもんかと冷静に状況を整理している。
「親御さんには電話したか?」
「…うん。遅くなったし外は危ないから、今日は友達の家に泊まるって」
 俺が下に行っている間に、心配しているだろう家族に連絡を入れるように言っておいた。
 どうやら、ちゃんと言うとおりにしたらしい。…普段も、これくらい素直だったらいいのだが。

「…は」
 何を、馬鹿な。…こいつは、いつも素直だったじゃないか。
 素直じゃないのは―――俺の方だ。
 斜に構えて、一度だってこいつの好意を正面から受け止めたことなんてなくて。
 それが、今日。こうして俺たちの間に溝を作ってしまった。
 普段から俺は、ヒーを女として意識せずに接してきた。
 だから今日、こいつを初めて女として意識し、動揺してしまった。

 そう、俺が認めていなかっただけで。
 こいつはただ真っ直ぐで、気持ちを抑えることを知らないだけの女の子なのだ。
「………」
「………」
 懐中電灯を部屋のテーブルに放り、ベッドに座るヒーの足元に胡座をかく。
 薄暗い部屋にはただ強くなる雨音ばかりが響き、俺とヒーは無言で時を過ごす。
 こち、こち、と、微かに聞こえるアナログ時計の音だけが、
 その無限とも思えるような時間が止まっていないことを示している。
「…電気、つかないな」
 ヒーの顔を見上げぬまま、呟く。
 返事はない。…当然だ。ヒーは空元気を装い、この大雨の中を無理にでも帰ろうとした。
 そこまでするほど居心地が悪かったこの場所で、一晩を明かさねばならなくなったのだ。
 口など開こうはずもない。
(…やっぱり、ちゃんと謝ったほうがいいよな)
 静かに嘆息し、謝罪を決意する。
 俺は目を閉じ、一呼吸を置いて口火を切ろうと―――


       「男っ!ごめんっ!!」

「――――――?」
 と。口を開こうとした矢先、先手を取られた。
 突然の大声に驚いて振り向き、見上げるとヒーが頭を下げていた。
 暗い上、前髪が目を隠しているため、こいつがどんな顔をしているかは見えない。
 …だが、その声は。激情に震えていた。
「ごめん、ごめんなっ!私があの時、変な風に固まらなければ、
 男が嫌な思いをすることもなかったんだよなっ!!」
「え…?」
 身に、覚えがない。
 だって、それは。ヒーが固まったのは、俺が米粒を取って食べたからで。
 それを俺が変に意識して、こいつがそうなったのは、その後で―――、
「わかっていたんだ、私はっ!
 私みたいな、暑苦しくて、感情の制御が出来なくてやかましい女は、迷惑なだけだってっ!」
 …違う。
「私がどんなに好きだって、男に求愛したって、
 男が私なんかを女として扱ってくれるわけがないってっ!」
 ……違う。
「だけど、私は幸せだっ!!
 友達の一人としてでも!男への愛を、例え相手にされなくても言い表すことが出来て、
 おまえの側に居られる、それだけでっ!そう思ってたっ!!」
 ………違うっ。
「なのにっ…ごめんなっ!
 あんな、こと、してくれると思わなくて…いつもみたいに、笑って誤魔化せばよかったのにっ!!
 嬉しくて、男を意識して、馬鹿みたいに黙り込んでっ!!」

 ―――――――――違うっ!

「だから…ごめん、な。私は…私はもう…!おまえに、付き…付きまと―――」

 ―――――――――ぷちん。
 …見えないはずのヒーの目に何かが光り、奴が取り返しのつかない一言を囁こうとしたその瞬間。
 俺の中で、何かが弾ける音がした。


    ボフンッ


「っん…!な、お、おと…」
 気づくと、俺は無言でヒーをベッドへ押し倒していた。
 肩の外に両腕をついて、覆い被さる形で彼女を見下ろす。
「男…なに、を…?」
「ヒー。一度しか言わないから、絶対聞き逃すな」
 猛り、燃え上がりそうな感情を僅かだけ言葉にして押さえ込む。
 俺はヒーの耳元に口を近づけ、そっと、強く告白した。

    ザアアアアアアアッ…

「え…あ、う…?」
 暗さにも、お互いいい加減慣れた。俺とヒーの視線が、上下に交差する。
 彼女は耳元から離れた俺の顔を見上げ、
 何を言われたか分からないという風にしどろもどろに狼狽している。
「ごめんな。突然で。でも俺は、もう後悔したくない」
 危うく。俺は、こんなにもいとおしい女の子に酷い傷をつけてしまうところだった。
 …自慢にもならないが、俺は今まで誰かを好きになったという経験がない。
 だから、今のこの感情がヒーが俺に持ってくれている〝好き〟と同じものなのかは分からない。

 でも、俺は今。初めて、女の子を前に、沸騰しそうなほど高ぶっている。
「男ぉ…すまんっ、今の、もう一度だけ、いってくれないか…?」
「やだ」
 頬を高潮させながら、たどたどしく通らぬ要求をしてくるヒーを手短に突き放す。
「うう…ずるいぞ男っ、私が今まで、どれだけ男に好きだといったと…!?」

 目に涙を滲ませながら俺を非難するヒーの上半身を、グイと抱き起こす。
 彼女は更に動転し、俺の顔を眼前に目を丸くして固まってしまう。
 だが、俺は構わずに彼女を求める。

「――――――教えてやるよ。叫ぶだけが、〝好き〟を表す手段じゃないって」

「ん…」
 乱暴に、ヒーの唇を奪う。
 自分自身でも、とても初めてとは思えない、粗暴で、攻撃的で、ロマンがなくて―――情熱的な、キス。
 それは俺の理性を徐々に蝕み、ヒーへの感情を激しく燃え上がらせる。
「んふ…おt…む…」
 ヒーの唇を強引に割り、舌を口内へ進入させる。
 互いの唾液がねちゃねちゃと静かに音を立てて混じりあい、蠱惑的な匂いが五感を支配し始める。
 彼女は俺のされるがままに、抱きしめられながら熱い息を漏らす。
「ぷ、は…!」
 数十秒に及ぶ、長く熱いファーストキスを終える。
 俺とヒーの口を透明の糸が結び、口付けの荒々しさを物語っている。
「はぁ…ふぅ…」
 瞳を潤ませ、最早抗議することもせずにただ俺を見つめるヒー。
 そんな彼女に、もう一度だけ軽く口付け、押し倒す。
「ひゃっ…!ふぁっ、男っ、何をっ…!?」
 しゅるり。ヒーが途中で逃げられないように押さえつけ、胸のリボンを解く。
 衣擦れの音を耳にしながら、俺は一本の布切れとなったリボンを床に放り、制服をたくし上げる。
「うあっやめっ…」
 ヒーは取り乱し抗議するが、もう遅い。
 色気のない灰色のスポーツブラが、制服の引っ掛かりから逃れ、躍動して現れる。
「み…みるなぁぁぁぁぁっ!」
 恥ずかしさの余りか、弱々しく絶叫しながら顔を手で覆おうとするが、
 手を俺に押さえつけられて出来ない。
(…意外と、でかい)
 へそ下から鳩尾に至るまで、無駄のない引き締まったヒーの体。
 そこに唯一、彼女の運動を妨げる以外の何者でもない双丘が、でん、と居を構えている。

 否、そうではない。ヒーの体がスレンダーだから一際目立つのであって。
 胸自体のサイズは、平均よりやや大きめ程度。男の手で包んで、少し足りないくらいといったところか。
「ふぁっ」
 むにゅう。徐に、自由になるほうの手で、スポーツブラの上からヒーの乳房に触れる。
 心地よい弾力が、埋没した掌と指を押し返してくる。
「………は、あ」
 忘れていた呼吸を、一度だけ再開する。
 そして、ヒーの顔を見下ろしながら、問う。
「ヒーの胸、見たい。駄目か?」
 直球。残念ながら、今の俺に気の利いた口上を考えている余裕はない。
 ヒーは、う、と何だかわからない声で反応を示したが、
 やがてごにょごにょと、小さな声で何かを呟き始めた。
「え?すまん、よく、聞こえない」
 俺が顔を寄せると、ヒーは眉毛をハの字に曲げて、おずおずと主張した。
「…見ても、いいから。手を、離してくれぇ…う…痛いぞ」
「あ、すまん」
 気づけば、ヒーの胸に興奮して、彼女の腕を押さえる手に力が入ってしまっていた。
 慌てて、彼女の両腕を解放する。
「う…ん」
 解放された腕を、どうしていいか分からないと言う風に間誤付きながら、
 ヒーは所在なさげに目を泳がせる。
 …こうしているのを見ると、弱気なヒーも可愛いのではないか、
 などと勝手な嗜虐心が起こって来る。
「じゃ、いくぞ」
「え?ちょ、待ってくれ、心の準備がっ」
 ぐいっ、たゆん。
 力任せにスポーツブラを上にずり上げ、束縛から解放されたヒーの胸が元気に震える。
(う、わ…)
 どくん。ヒーの女としての部分を直接目にし、自身の鼓動が一層高鳴るのが分かった。
「ひゃぅっ!!」
 むにゅうっ。考えるより先に、手が動いていた。
 本能の訴えるまま、双丘を両手で鷲掴みにして揉みしだく。

「おと、おと、こ!そんな、乱暴、に…っ!」
 むに、もにゅもにゅ、ふにゅうっ。
 昆虫の足のようにリズミカルに、十の指が乳房に埋没してゆき、その形を自在に変える。
 目測通り、手で包むとほんの少しだけ物足りないので、つい、力が入ってしまう。
 ヒーは抗議しているが、自由になった腕で俺を阻止しようとはしないし、何より、
(…乳首、硬くなってる)
 手の平の真ん中あたりで、先端がコリコリと自己主張を始めているのが分かる。
 …俺は彼女に気づかれぬように、そっと指の位置を変えてゆき、
 先端が、人差し指と親指で作った円の真ん中に来るように調整する。そして―――
「…ん」

 ぺろり。
 突き出した下の先端で、片方の乳首を軽く舐め上げた。途端。

「ひ…ひぅぅぅぅっ!!」
 びくびくんっ。電気が走ったように、ヒーの体が軽く跳ねた。
 うむ…どうやら。
「ヒー…もしかして、イった?」
「………う、く」
 俺の問いに、羞恥で顔を真っ赤に染め上げるヒー。
 それが何だか、妙に嬉しくて、少し意地悪をしてしまう。
「…敏感なんだな。胸だけでイクなんて」
「お、男が、沢山、いじるからだぞっ…!」
「初めては、鈍いって聞いてたけど…もしかして?」
「…!!」
 俺の言わんとすることを悟り、ヒーは瞳に涙を滲ませ、ぷるぷると震える。
 しまった、やり過ぎた。
「ごめんな。もういわないから」
 ぎゅっ、と、横たわるヒーを優しく抱きしめながら謝罪する。
 彼女は悲しんでいいのか喜んでいいのかわからない、という風に、口元を芋虫のように歪ませる。
 そんなヒーがおかしくて、俺は本音をしっかりと、伝えてあげる。
「うん。大丈夫。そういうの、嫌いじゃない」

「…本当か?」
「ああ。ヒーがエッチだと、俺は嬉しい」
 エッチ、という耳慣れない低俗な言葉が気恥ずかしいのか、
 ヒーはやっぱりどう反応していいかわからないでいる。
 だが、その間にも、俺のヒーへの欲求は押し寄せてくる。
「…なぁ。ヒーの大事なところ、見たい」
「――――――え?」
 一瞬、いわれたことを理解できずにヒーは間抜けな声を上げる。
 だが、見る見るうちに顔が羞恥の赤に染まり、言葉を失う。
「~~~~~っ!!」
「嫌か?」
 重ねて問うが、ヒーは視線を泳がせながら、おろおろするばかりである。
 …おそらく、今ヒーの頭の中は真っ白に違いない。
 多分、俺が女で同じ状況でも、こんな反応しか出来ないだろう。ならば。

 グイッ

「ふぁっ!!?」
 ヒーの両足を揃えて持ち上げ、そのまま九十度横に倒す。
 自然、彼女の上半身もこてっと横倒しになり、ヒーは頭だけでも、
 と無理矢理顔をこちらに向ける。
「お、おtk…そんな、やめてくれっ」
 呂律の回らないヒーを無視し、制服のスカートを捲り上げる。
「う…あう…」
 上半身同様、贅肉がよく削ぎ落とされた綺麗な脚線美と、
 スマートな臀部が露になる、が…。
「…すごいな。ぐしょぐしょだ」
「うぅ…いうなあああぁぁぁぁっ」
 実況してやると、ヒーはとうとう手で顔を覆い尽くし、目をあわそうともしなくなった。
 彼女の真っ白で飾り気のないショーツは、彼女自身の分泌した愛液で
 最早下着としての用を成していない。
(綺麗だな…それに、やらしい)

 徐々に、下卑た欲望が俺の中を埋め尽くしてゆく。
 自身でも分かるくらいに息を乱し、ヒーを汚したくて、仕方がなくなる。

   ジュルッ

「ッッッ!!」
 一気にショーツをずらし、ヒーの股間のぬめりを口で啜り上げる。
 視界を覆ってしまっていたせいで俺の動きを感知できなかったヒーは、
 思いがけない不意打ちに体を跳ね上がらせる。
 …冷静に考えれば、自分がどれだけ突拍子もない真似をしたかわかったのだろうが。
 生憎、今の俺にそんなことを分析している余裕なぞ、ありはしない。
「ん…はぁ」
 ちゅ、じゅるる、ぷちゅっ。
 淫猥な水音を立てて、獣のようにヒーの秘所を舐め、啜り、貪る。
「ふ、はぁ…はぅ、う…!」
 次第に、ヒーの呼吸に熱が混じり始める。
 俺も、ゆっくりと行為の幅を広げていき、割れ目を、陰茎を、膣内を、
 指も駆使して舐ってゆく。
「おと、こぉ…そん、なに、したら…また…あぅっ!」
 視界の戒めを解き、窮屈そうに体を僅かだけ起こして俺を見下ろしてくるヒー。
 がくがくと体を痙攣させ、足腰立たないくらいに感じているようだった。
 …本当に敏感なんだな。
「ん」
「!!っつ!」
 ずじゅるっ。一際強く愛液を啜り上げ、秘所から口を離す。
 ねっとりとした感覚が口内に残り、それだけで理性がぶっ壊れそうになるが、
 努めて平静を装う。
「ヒー。…おまえの初めて、もらうぞ」
「!…」
 俺の短い問いに、ヒーはこくん、と無言で首肯してくれた。

 ・
 ・
 ・
 再びヒーの足を持ち上げて支え、正常位でベッドに横たえる。
 すぐさま、取り出された、張り詰めた男根を彼女の陰唇にあてがう。
「ん…!!」
「くぁ…!」
 亀頭を、ぐい、と膣に進入させる…ぐ、ううっ!
(あっつ…!それに、き…っ!!)
「おとこぉぉ…!」
 ヒーの膣を、俺のモノが裂き、押し広げていくのがわかる。
 激痛に顔を歪めるが、俺はそれどころではない!
 本人の気性に負けず、俺のモノを溶かさんばかりの熱量で包み込み、
 更に凄まじい圧力で絞りあげてくる膣…!ぐぅ…!ちょっと、ま…うくっ!
「ヒーっ、力、ぬ、て」
「うぅ…やって、る、ぞ…!!」
 尚もぎゅうぎゅうと俺のモノを圧迫するヒーの膣と、絡み付く襞。
 そういや、体動かしてる女の膣は名器だとか聞いたけど…って、考えてる暇ねぇぞっくそっ!!
「はぁ、はぁ、はぁっ!」
「おとっ、そ、にっ」
 襲い来る快楽に脳を侵され、ケダモノのようにヒーを貪る。
 腰を鷲掴みにし、凄まじい圧力をかけてくる膣肉を力任せで貫く。
 がっしりと固定し、全体重で以って子宮口をノックする。

「ヒー、ヒー、ヒィィィィッ!」
「んんんっ!!」
 バシンバシンと、本能に任せて腰を何度も打ちつける。
 獣の本能に支配され、熱に浮かされて快楽に溺れる俺の体の下で、
 ヒーが口を真一文字に噤んで唸っている。
 目には涙が滲み、先ほどとは打って変わり、
 彼女には毛ほどの快感も齎されていない事は一目瞭然である。
(あ――――――く)
 激しい前後運動から、やがて下腹部を何かが上ってくる感覚に見舞われる。
 もう…耐えられないっ!!
「ぐ―――あああああぁぁぁぁぁっ!!!」

 ずるっ―――――――ドグンッ!ドクッ、ビュクビュグッ、ブビュッ!!

 最後に残った理性を振り絞り、極限まで膨れ上がったモノをヒーから抜き放つ。
 直後、青筋の立ったペニスの先端から、マグマのように滾った灼熱の液が迸る。
「は…は、う…」
 ヒーはすでに気を失い、微かなうめきを漏らすのみである。
 …幸いなことに、凄まじい勢いで噴射された白液は一発たりともヒーの陰唇に命中することはなく、
 彼女の腿や雄大なヒップに降り注ぎ、射精は終了した。
「………はぁ…ふぅ」
 津波のように襲ってきた快感が去り、俺はとりあえずヒーにぶちまけてしまった精液をふき取ってやり、
 心地よい充足感に満たされたまま、彼女の横で眠りに付いたのだった。



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最終更新:2007年07月26日 18:22
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