*待機児童
出典
※認可保育所(園)への入所を希望する待機児童(2010年10月現在)は全国で約4万8千人に上り、過去最多を更新した。厚生労働省の調査によると、県内は3市町で「64人」にとどまる。だが、調査でカウントされなかった“実質待機組”は県内全体で千人を超えるとの見方も。表向きの数字の裏側に、不況の影響に加え、保育士の確保や運営に悩む保育現場の実情が見えてくる。県によると、県内の待機児童の内訳は▽大分市 44人▽豊後大野市 12人▽日出町 8人。他の15市町村は「ゼロ」だった。大分市では公私立65の認可園(定員6136)に7137人=2月1日現在=が通う。市は定員を毎年数十人ずつ増やしているが、「不況もあって共働きを余儀なくされる家庭も増え、定員が入所希望に追い付かない状況」(市子育て支援課)という。「数字として出てこない待機児童は、最も少ない4月でも市内で500人はいる」と同課。厚労省の調査では、「他に入所可能な認可園があるのに特定の認可園を希望している」「保護者が求職中」などのケースは待機児童としてカウントされないためだ。豊後大野市でも入所希望の低年齢化が進み、0、1歳児も増えている。同市は年度途中で、パートを含め保育士を募集したものの、国の基準で低年齢児の増加に伴い必要となる人数が集まらなかった。「定員を増やすに増やせない。待機児童を減らすためには、保育士の待遇改善が不可欠だ」。すがお保育園(同市三重町)の土谷修園長は「保育士が確保できなければ受け入れも限られ、園の運営はさらに厳しくなる。そうなると待遇も下げざるを得ない。まさに悪循環だ」と訴える。県保育連合会の佐藤成己会長は「定員が増えると園児1人当たりの補助金が減る現行の補助制度では、どの認可園も定員増に二の足を踏む。制度を改正しなければ待機児童は解消されない」と話している。<ポイント>認可保育所(園)の入所 保護者からの申請に基づき、就職や出産など保育ができない理由に応じて市町村が入所者を選考する。保護者が日中に保育ができない度合いを世帯・就労状況から判断。大分市によると、就労状況別の優先度は「産休・育休後の現場復帰」が最も高く、「就労中」「就労予定」「求職中」と続く。保育料は子どもの年齢、所得税・市町村税の額によって決まる。
不況で増える待機児童 定員拡大追いつかず[2011年07月22日 16:04] 大分市の認可保育所・園(66施設、定員6226人)の待機児童が増加している。今年4月1日現在で22人。昨年同期に比べ10人増だが、保護者が求職中で入所できなかったり、希望の認可保育所に入れなかった児童を合わせた数は約540人に上る。市は本年度から認可保育所の定員を増やし、増加する保育ニーズに応えようとしているが入所希望者の増加に追いついていないのが現状だ。 市の待機児童の数は、2009年度は3人、10年度が12人と増加傾向。市の認定基準では保護者が求職中の場合「週4日以上4時間の就職活動」の要件を満たさないと待機児童に参入しない。この要件に当たらず入園できなかった児童は前年より45人増の239人。 加えて、家や職場の近くの第1希望の認可保育所に入れなかったため入所を見送ったケースも多い。 市は経済情勢の悪化で共働きをする夫婦が増えたことが待機児童増加の原因と分析。本年度、認可保育所の増築や分園の新設で、定員を90人増やした。だが、1月末の時点で新規入所申し込みは1433人で前年より230人多かった。 こうした状況を打開するため市は、自宅などで少人数の乳幼児を保育する家庭的保育(保育ママ)事業を来年2月をめどに開始。認可保育所の定員も本年度中にさらに40人増員し、13年4月には認可保育所を1カ所新たに開設する予定。 市子育て支援課の戸高克彦課長は「待機児童の解消を図り、保育所の入所希望者、子育て世帯の需要に応えたい」と話している。