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病んで

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病んで【やんで】

病んでるシリーズ。タイトルではない。作者もバラバラである。


何で
何で

何であんたは奪ってくの


――――大事な大事な凛のモノ



ことちゃんはね、俺のなの
だからね
公ちゃんにも瑛士君にも斗真君にも、もちろん次元にだって
あげないんだから



これからずっとずーっと
ことちゃんと一緒だよ


だから先にあっちの世界で待っててね
俺もすぐに向かうから


ことちゃん
だーいすき。



薄暗くどこか寒い部屋に
壊された男独り


「…た…すけ、て」

裸で白いシーツのベッドに横たわり出した小さな悲鳴も誰にも届きはしない。ジャラジャラと鉄の鎖で繋がれた赤い右手首を見せても、誰も信じてくれはしない。その前に、俺は此処から出られるのだろうか。なんて考えてると、あぁなんて俺はこんなに弱いんだ、と情けなくなり口元を緩める。

寒い、痛い。縮めても癒されず震えている体を左手で抱え込む。今すぐ誰か俺を暖めてください、布団をください、温かいスープも飲みたい。

カツカツと迫る足音を聞きながらまた大きく震えだした。

「…大丈夫?」

スーツに身を纏いベッドに腰掛ける。あんなに優しかった、あんなに楽しかった、なのに。

「ここから、出して」
「まだ三時間なのに?」
「こんなこと…」
「可哀想に、こんなに震えて。」

冷たい笑みを見せ俺の体を撫でる。冷えた手に体を跳ねさせると覆い被さってきた暖かい感覚に涙が出た。

「俺は瑛士の事、大好きだよ。」
「……………」
「瑛士は?」
「…すき、です」
「よくできました」

俺の大好きな笑顔が鎖を外してくれた、どんなに酷くても嫌いになれない。

明日この手首の痕をなんと言おうか、斗真には絶対聞かれるなぁ。

「瑛士、俺はね」

なんて俺は馬鹿なんだろう。

「瑛士の愛が知りたくて」

今だって、こんなにも

「壊してしまいそうなんだ」

安心している。


稜駿瑛士
剥き出しの白い首に噛み付きたくなる、今俺だけに見せているのに甘い声を漏らす唇から俺を求める言葉は決して出てこなかった。酷く憎くて、強めに腰を打ち付ける。恐怖感からか、それとも寂しさからなのか瑛士さんは瞳を濡らして俺を見つめる。

「瑛士さん、僕のことどう思います。」

幻滅したかな、嫌われたかな、今更、胸が痛くなった、後悔とかいうやつ。繋がったままの身体を動かす事なくただ目の前にいる愛しの人を見つめる。首に腕を回されぐっと抱き寄せられる、苦しいぐらい強くて胸が高鳴った。

「・・・ごめんね、俺が好きなのは」

小さく聞こえた言葉と名前を受け止められず、もうどうにでもなれと願い、また強く瑛士さんを愛した。

いつか、俺の名前を呼んでください。

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