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第一段2

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第一段2【だいいちだんに】


授業の終わりを告げるチャイムが鳴る
俺はすぐにでも里穂と話がしたくて公輝の元へ行こうとした(公輝と里穂は席まで隣同士だ!)

「待って斗真」
エマが俺に声をかける
「何?」
「…今、時間ある?」
「別に…いいけど、何?」

「ここじゃ話せないの」

なんだか外が騒がしくて、女子の悲鳴が聞こえたりした。

「前田ー!出てこいやぁ!」

別の制服の男が5人ぐらいいて、うちのクラスのドアを開け叫ぶ

「…うわ、やっべー…」

公輝の方を見ると頭を抱えていた
クラスのみんなは驚きのあまり立ち上がり後ろへ集まった
席に残ったのは俺と公輝だけ

「なんだね君達は!早く出て行きなさい!」
「あぁ?黙ってろ」

先生は悲鳴を上げるように教室を出て走り去った

そいつらが公輝に近づく、公輝の少し後ろには里穂が居た
公輝だけじゃなくて里穂が危ない
そう思った俺はそいつらに近づいた

「あの、誰っすか?」

「あぁ?俺は前田と遊びに来たんだよ。お前こそ誰だ?」

「このクラスで公輝の友達ですけど
勝手に入ってこないでくれますか?」

「んだよ、お前には関係ねーだろ」

「関係なくない!親友が困ってる時に親友を守るのは当たり前だろ」
「へいへい、美しい友情ですねー」
ぎゃはははと何人かが笑う
「そんな事どうでもいい。おい前田ーあーそびーましょ」
その5人の中で一番リーダー格な人が俺をどけよと無理やり押し退かしてそう言う
大丈夫?と里穂がかけよってきてくれて、ちょっと幸せだったりした

「あれ?この女前田の女じゃねーの?何前田振られたの?」
「ちげーよちょっと釣り目の女だろ?」
「胸のデカイ女じゃねーの?」
「何だよより取り見取りか。おい前田ー一人くらいわけてくんねー?」
「俺そこに居る子でもいいぜー」
4人が下品な笑いを浮かべて言う
そのうちの一人が里穂を指差して言う
守るように里穂を俺の後ろに庇う

「…どの子もそういうんじゃねーって」
公輝が諦めたように溜息ついてから言う

「へっへ全部振られたんだろ。可哀想に」
「だろー?…で、芝田達何しに来たんだ?」

「お前をぶっ殺しに」
一番リーダー格の人が言いながらいきなり公輝をぶん殴りにかかった

「そういうの、やめた方がいいんじゃない」
気付いたら体が勝手に動いて、その手を掴んでいた

「あぁ?てめーには関係ねーっつってんだろーが」
「でも暴力はいけないと思うよ」
「あ?てめー芝田さんの邪魔してんじゃねーぞ」

「そんなに公輝を殴りたいんなら俺が相手してやるよ」

「それじゃてめーの相手は俺がしてやるよ」
リーダー格とは別の奴が出てきて、俺に殴りかかった

きゃっ!と言う声が近くで聞こえ、里穂が俺と公輝のそばに居た事を思い出す

「里穂、下がってて」
「うっうん…」

里穂は素直に従って後ろに居るクラスメート達と同じぐらい後ろに下がった

「斗真、大丈夫なのか?」
公輝が傍で俺に問う

「ケンカはあんまり好きじゃないけど、何とかなると思う」
「ん、じゃあ頑張って」
公輝がへらりと笑って言う

「おい何喋ってんだてめー等。かかってこいよ」

言われなくても、と殴りかかかる
相手はそれを簡単に避ける

くっそ…やっぱり簡単には勝てないか…

チラリと横目で公輝を見る
公輝はリーダー格の男と俺が相手している男以外の3人を相手していたようで、3人は簡単にやられてしまい床でのびていた

「余所見してんじゃねぇ!」

パンチをまともに食らった
痛い
正直ちょっと泣きたい

けど、里穂が見てる

「へっ…大した事ねぇな」
「あぁん?強がってんじゃねぇぞ!」

パンチがまた飛んでくる
それを何とか交わしながら自分もパンチを繰り出した

何度もパンチを繰り返して
お互いに同じぐらい食らって、同じぐらいダメージを受けた

「すげー超格闘漫画とか見てー」
「青春だねえ」

お互いフラフラになった頃、隣からそんなマヌケな声が聞こえてきた

「公輝…?」
「芝田さんも…何でそんなのほほんとしてるんすか」

「俺、超優等生だからケンカなんて出来ねーの」
「ははっよく言うぜ前田のくせに」
「何だよ前田のくせにって」

前田と芝田さん(と呼ばれていたリーダー格の男)が楽しそうに会話する

何が何だか分からない
どうして俺達はこんなボロボロになってるのにそっちは楽しそうなんだ

「芝田さぁん…」
「おお、悪い悪い。続けていいぞ」
「いやいや続けられねーだろ!」
思わず突っ込みを入れてしまった
「ははっそうかいそうかい」
「そんじゃもうやめとけ、俺等みたいに」
「そうそう、バカらしくなってくるぜ」

ノビている3人が目を覚まし、俺の相手した男がフラフラなのを芝田さんが支えながら5人は帰って行った

「斗真、お前超ボロボロじゃん。大丈夫か?」
「大丈夫なわけねーだろ…何でお前ケンカしてねーんだよ」
「言ったじゃん?俺は超優等生で通ってんだって」

ぶっ殺しにきた、と言ったあのリーダー格の男を、今度はケンカなんてバカらしいと言わせるなんて一体どんな手を使ったのだろう

「おい里穂ー斗真保健室連れてってやってよ」
「うっうん…公輝は大丈夫なの?」
「俺?余裕余裕」
「そっか…生田く…えっと、斗真、立てる?」
「うっうん…いや、一人で行けるから大丈夫だよ」
「ううんっ!里穂が連れてく!」

ハッキリとそう言われて、かっこ悪いから嫌だったのだが仕方無く連れてってもらうことにした

「斗真君、大丈夫?」

保健室に着くと、そこに先生は居なかった
里穂が保健委員の経験があるらしく、手当てをしてくれると言った

「大丈夫だよ。…ちょっと痛いけど」
消毒液を傷につけられて、ちょっと染みる
「ビックリしたね。また公輝が誰かの彼女奪っちゃってキレさせたのかと思った」
「え?公輝そんな事してるの?」
「うーん…してるって言えばしてる、かな?まぁ公輝が悪いんじゃないけどね」
「ふーん…」

また、“里穂だけが知ってる公輝の話”だ
…本当に、二人は仲いいんだ…
やっぱり、嫉妬してしまう

「公輝、愛美ちゃんの事好きだから他の子なんて興味ないのに」
「え?」
「え?…もしかして、知らなかった?」

あんなにライバルだと思っていた公輝が、伊倉さんを好き…?

「知らなかった、公輝は里穂かと思ってた。」

「えー?公輝とうちは……」
と里穂が言った所で保健室のドアが開いた


「斗真大丈夫?」
そこに居たのはエマだった。
そう言えばエマに話があるって言われてたんだっけ

「大丈夫だよ。あの、さっきの話何だけど…」

「あ、ここじゃ話せないから、ちょっと来れる?」

「いいけど…」
チラリと里穂を見る
すると、里穂は視線に気付いて
「あ、じゃあうちは教室戻るね。公輝の方も心配だし」
と言った

「そっか、それじゃちょっと行ってくる」

「うん、行ってらっしゃい」

ごめんね里穂ちゃん。借りるね、それじゃお先に」

借りるって俺は物か
突っ込もうと思ったが、あえてやめておいた

「…うん、じゃあまたね」

保健室を出る時にチラリと振り返ると、里穂は少し寂しそうな表情をしているように見えた

―――

「で、話って?」

向かった先は屋上で、辺りには誰も見当たらなかった

「あ…えっとね…その…」
「何だよ、早く言えよ」
「うっうるさいな…えっとね…その…さっき…さ、斗真と里穂ちゃん、ラブラブだったね!」
「そう?」

そうやって言われると、何だか嬉しい
口元が緩んできた

「…斗真、里穂ちゃんの事好きなんだよね…?」
「うん。さっきも紙に書いただろ?」
「うん………」

話が途切れ、沈黙が流れる

「…それがどうかした?」
沈黙に耐えられなくてそう言うとエマは一度俯いて、そしてまた顔をあげた

「私…さ、斗真の事好きなんだ」
「えっ?」
「へっ返事はいらないから!何かごめんね!こんな事のために里穂ちゃんとの時間奪っちゃって!早く里穂ちゃんの所行ってあげて!」
「え…あ…うん…」
「ごめんね変な事言って!それじゃあね!」

エマは少し早口でそう言うと走って去っていった

エマが…俺を…?
「嘘だろ…」

「ヒュー♪やるねー色男」
突然上から声が聞こえてそちらを見る

そこには何と瑛士君が居た

「えっ瑛士君!いつからそこに…」
「ずーっと前から居たさ。いやー良いもん見たわ」
青春だなー、と瑛士君は笑っていた

「…瑛士君、俺…どうすれば…?」
「どうもしなくていいんじゃねーの」
「でも…」
「ほら、本人も返事はいらないっつってんだし、何もしなくていいって」
さーて次の授業は真面目に受けるかーなんて言いながら、瑛士君もまた去っていった

教室に戻ると、皆が「大丈夫?」と心配してくれた

自分の席に着く気になれなくて、それで居て里穂と話す気にもなれなくて、クラスメートと楽しそうに話している公輝の元へ行く

「あ、斗真。お前大丈夫だったか?」
「ああ。そんな事より公輝に相談があるんだ」

来てくれないか、と言うと公輝は何かを察したように「ああ」と短く返事をして俺ね後をついてきた


「告白されたぁ!?」
「バカ、声でけーよ」
「あ、わりい。つーか、まじで?どーすんだよ」
「こんな嘘つくわけねーだろ…どうしていいか分かんねーから公輝に相談してんだろっ?」

今度は中庭に来て、ベンチに2人並んで腰掛けた

「そっか…エマが斗真を…」
公輝が腕を組んでまるで自分の事のように真剣に考え出した

「あ、そういえば話変わるけど、公輝、お前って愛美ちゃんの事好きなの?」
「………………は?」
公輝がバッと俺を見て、物凄く驚いた顔をした
「あ、その反応図星なんだ」
「や、ちがっ…っつーか誰に聞いたんだよそんな事」
「里穂が言ってた」
「あー!やっぱりなー。何だよアイツ俺の事口軽いとか言っといて自分こそ口軽いじゃねーか」
不満そうに口を尖らせる公輝を見て、羨ましくて少し嫉妬したけど何だか微笑ましく思った

「…何笑ってんだよ」
「いや…ホントに公輝と里穂って仲良いなって思って」
「…そんな事言って、いいのかよ?もし俺が里穂の事好きになったりしたら」
「公輝は里穂を好きにならない。最近そう分かったし、大丈夫」
そう言うと公輝はまた不満そうにしていた
「…そんな事よりお前、ホントにどーすんだよ?つーか、エマの事どう思ってんの?エマに好きって言われてどう思ったんだよ?」
「うーん…嬉しかったし俺もエマの事は好きだけど…」

「幼なじみとしてだよな?」

「ああ。里穂の好きとエマの好きとは違う」

「じゃ、返事はいらないにしてもエマにそのこと言った方が良いんじゃねーか?」

「……それってエマを傷つけることになるんだよなー」

「そうだけど、斗真自身の気持ちが大事だと俺は思うぜ?」
そう言われて少し気持ちが軽くなった。エマに言おう

「そうだよな。ありがとな」

「おう。あ、やべー授業終わる時間だし」
公輝が時計を見て、気づいた。俺たちそんな話してたんだ

教室に戻ると授業は終わっていて、みんな帰り支度をしていた


「あ、公輝ー!どこ行ってたの?
うち当てられて大変だったんだから!」
公輝の席へ行くと、里穂がそう言った

「悪い。悪い。ごめんなー」

「まぁ。良いけどさ、はい、必要でしょ?」
そう言って里穂は公輝に授業のノートを渡した

「あ、サンキュー」

俺はそのやりとりを見てるしかなかった

「斗真はノートどうする?」
公輝が聞いてきた、俺はチラっと里穂を見た。

「俺も……」

「斗真くんはエマちゃんに見せて貰いなよ!」

俺の声を遮るように里穂がそう言った

ふとさっき俺が里穂を置いてエマと話に行ったことを思い出す。

里穂、何か勘違いしてるな…


―――

「何でだー!!!!」

「斗真うるせー」
「いちいち叫ぶなっつーの」

今日も昼休みに屋上で
公輝と瑛士君と一緒に居る

「うるせーてめーらにはこの辛さ分かんねーだろうがー!」

あれから今日までの数日間
俺は里穂に避けられるようになった

後ろで「アイツ何があったの?」なんて瑛士君の問いに、「好きな人に避けられてるかもってさ」と公輝が答えているのが微かに聞こえた

多分
里穂は完璧に勘違いしてて
それから俺は
何か言い出すタイミング無くて言えなくて

気付いたら今のように妙によそよそしくなっていた

今朝も
「おはよー里穂」
「あっおはよう!あっエマちゃんだっ!勘違いさせちゃ悪いから里穂先行くね!」

と里穂は逃げるように俺から去って行ったのだ

「俺が好きなのは里穂だー!」

「うわっ言ったねー
もうさーこの際告白すればー?」

「俺もその方が良いと思うよー」

公輝と瑛士くんは簡単に言うけど、今のこの関係でできるかっつーの
だいたいエマのことも微妙なままなのに……

「ってか斗真って里穂ちゃんが好きなんだー」
あ、瑛士くんにバレた…

「……誰にも言うなよ」

「分かってるってー
へー。斗真が里穂ちゃんをねー。まぁ確かに可愛いよなー
公輝、里穂ちゃんの好きな人知らねーの?」

「んー知ってるけど口止めされてるから無理ー」
「斗真も男なんだからさー、こうグッと…あ」
「あ」
「あー!」

瑛士くんが話し出した瞬間、屋上に女子が三人

「やーだぁ、男三人で何してんの?」
「何って…セック、」
「あー!あーあー!愛美、俺待ち受け変えたんだー」
仲良さそうに話す瑛士くんと公輝と、愛美ちゃん

そして残されたエマと里穂と、俺

きっ気まずい…

「…」
「…」
「…」

今すぐにでも里穂に話しかけたい
が、最近避けられ気味

エマには話しかけにくい

どうしようか

「…うち、喉乾いちゃった!飲み物買ってくるね!エマちゃんと斗真何か欲しいものある?」

沈黙を破ったのは、やっぱり里穂だった

「ううん、エマはいいよ。ありがとうね」
「俺も。ていうか俺が行こうか?」
「ううん!二人共いらないみたいだしうち一人で行ってくるね!」

里穂は逃げるようにして行ってしまった

エマと2人だけにされて(そばに公輝達3人も居るが)、気まずさが増す

「…ついて行かなくて良いの?」
エマが、まるで独り言のように言った

「えっ?」
「里穂ちゃんの事好きなんでしょ?何私なんかに気遣ってんの」
「別に気を遣ってなんか…」
「私、斗真の事好き。でも里穂の事も好き。好きな人には幸せになって欲しいし、気を遣ってくれるせいで2人が気まずくなるの嫌なの」

「エマ…」

「それにめちゃくちゃ頭良くてかっこいい彼氏作ってみせる!いつか斗真に後悔させてやるんだから!」

ほら、いってらっしゃい

エマはそう言うと俺の背中を押した

「いってぇな」
「斗真にはこれぐらいがちょうどいいんじゃなーい?」
ニヤリと笑うエマに、小さく「ありがとう」と礼を言ってから

里穂を探しに屋上を飛び出した

飲み物を買いに行くと言っていたから、きっと校内にある自販機に行ったはず

そして、里穂の事だから戻るのが少しでも遅くなるちょっと遠くの自販機へ行っているはず


「里穂!」

俺の読みは当たっていた

「へっ?斗真?何で…エマちゃん、は…」

言葉の途中で抱きしめる

「エマが、行ってこいって」
「えっ?そんな、うち飲み物買いに来ただけだよっ?」

「里穂に、聞いて欲しい事があるんだ」

「聞いて欲しい…事?あっもしかしてエマちゃんと付き合うことになったとかっ?だったら今のこの状態見られたら勘違いされちゃうね!」

そう言って離れようとした里穂をギュッと抱きしめて、離れさせない

「斗真?」

聞いて欲しい事がある
そう言ったのは確かに俺だけど

何故だか何も言えない

早く、言ってしまえ
そう思う度に抱きしめている手が震えた

「斗真、苦しい」
「あっごめん」

慌てて離れる
里穂は俺をじぃっと見ていた

「聞いて欲しい事って、何?」

小首をかしげる里穂が、とても可愛かった



「好き、です」

「えっ…?」
「俺、里穂が好きなんだ。だから今もエマじゃなくて里穂と一緒に居たい」
「………」
「最近避けられてるみたいだったから里穂は俺の事嫌いなのかなってちょっとガッカリしてたけど、やっぱ気持ち伝えるだけでも伝えなきゃ諦めきれないって思っ…て…」

今度は、俺が抱きつかれた

「斗真…本当だよね?…信じていいんだよね…?」
「…うん」
「うちも、斗真が好き…です」

里穂は少し赤くなって
嬉しそうに泣いた

「…見ーちゃった見ーちゃった」
「ぜーんぶ見ーちゃった」
「せーんせーに言ってやろ」

俺が見える範囲に人が三人、公輝と瑛士くんと愛美ちゃん

「…あーあ、あーんな熱いハグ見せられちゃったら、あたしも人肌恋しくなっちゃうなー」

後ろからエマの声

「斗真、里穂、おめでと」
「公輝ー、まなも抱っこー」

「エマちゃーん、俺と熱い抱っこー」
「え、やだ、」

俺達の周りで幸せそうに笑う仲間

「…みんな楽しそうだな」
「うちも楽しいよ?…あ!ほら雪、雪雪!」

里穂が指差す外には白い雪

「うわー、凄い」
「時期早くね?…うっ、さみい」
「よし、雪のベッドで俺とエッ」
「しないよ?変態」

それぞれが笑顔で、なぜか暖かくて

「雪が溶けたら、何になると思う?」
そう言い出したのは里穂だった

その質問は、随分前に誰だったかから聞いた事ある質問

「何って…水?」
瑛士君がマジメに答える
「ぶっぶー不正解」
ある意味正解だけどーなんて言って里穂は楽しそうに笑った
「あー俺それ聞いた事あるわ」
「えっ何々?公輝教えてよー」
「私も聞いた事あるかも。っていうか何かの本で読んだのかも」
エマと公輝は知っている様子で、あえて答えを言わなかった

「答えはね」

その時、ふと思い出したんだ


「春になる」

「え?」
里穂が驚いたように俺を見た
皆がそれに続くように俺を見た
「あーそっかぁ!なるほどねー」
「里穂ちゃんらしいな」
知らなかった二人がそれぞれそう言った

「春になったら、皆で花見でも行こっか」
俺が何気なく提案する
「いいねそれ!トリプルデートだね!」
里穂がそれに賛成した
「公輝、一緒にデートしよー」
「おーいいぜ」
「ちょっと愛美ちゃん、愛美ちゃんはそれでいいかもしれないけど私、誰とデートするの?」
「勿論俺に決まってんだろ?」
「えーやだー!」
「そんな本気で嫌がらなくても…」

笑い声がただ響いていた

何気なく、さり気無く、どちらからでもなく里穂と手を繋いでお互いに微笑み合う

「あーあ、いいなー里穂ちゃん。マナも恋人欲しいなー」
伊倉さんがチラリと公輝を見る
公輝は暢気に「愛美ならすぐ出来るんじゃねーの」なんて言っていた
お互いに好き同士なのに、公輝が伊倉さんの気持ちに気付くのはもっと先のようだ
「私もかっこよくて頭いい彼氏欲しいなー」
「おっとその条件まんま俺じゃね?」
「…私も公輝君狙っちゃおっかなー」
エマが瑛士君の言葉をシカトして言う
そのエマの言葉に、公輝は「『も』って何だよ」と笑って、伊倉さんが「ダメ!公輝はマナのなのー!」と言った
勿論二人共エマが冗談な事は分かっていながら

「さっきからエマちゃん俺に酷くね?」
「気のせいじゃない」
「エマちゃんだけじゃないわよ。マナと里穂も瑛士には冷たくしてるんだから」
「えー!?」

笑いが、溢れて


ああ、今みたいな状況を幸せって言うんだろうな



雪が溶けて
俺にも春が来たようです



おわり

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