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効果抜群

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効果抜群【こうかばつぐん】



「おはよう!なぁなぁ凜!」
学校に着いて、すぐ


「この雑誌見た?K-POP特集やっとってさー」

凜と同じK-POP好きなお友達、寿々歌
K-POP好きという共通点から今じゃ毎日一緒に居るくらい仲良しになった

「寿々歌、そこ俺の席なんだけど」

そう言ったのは凜の隣の席の稜駿
彼もK-POP好き
と言ってもあまり詳しくないので一応、である

「ヴァンダムおはよ!ええやんちょっとだけやからー。あ、稜駿もこの雑誌見た?てゆうか見て!」
「何ー?何の雑誌?」
「女性誌やねんけどな、K-POP特集やっとってさー!」

隣で寿々歌が雑誌を広げながら稜駿にあれやこれやと説明付きで話し始める
あーあ、また稜駿に取られちゃった…


「寿々歌、朝からめっちゃ元気やなぁ…」

そう言ったのは稜駿のお友達で寿々歌と同じ関西弁の崚行

「元気で明るいのが寿々歌の良いところでしょっ」
「はいはい。そこが可愛くて大好き!なんやろ?」

崚行がからかうように言う

そう、凜は寿々歌が好きなのだ
だけど凜達は女同士で友達同士
凜が寿々歌の事好きだなんて知ったら、きっと寿々歌は気持ち悪がるだろう

「また今日も稜駿に大好きな寿々歌ちゃん取られちゃったんやな」
「…違うもん。譲ってあげたの」

寿々歌とはそういう話した事無くて直接聞いたわけじゃないけど、きっと稜駿の事が好きなんだと思う
今だって楽しそうだし、「スズチン様」「ヴァンダム」とお互いだけの特別な呼び方で呼びあう事がある

大体スズチン様って何なの?ダッサイ呼び名!
…寿々歌は、気に入ってるみたいだから絶対そんな事言えないんだけど

「…崚行、稜駿誘惑してどっか連れてってよー」
「ええ?誘惑してって…嫌やん、俺と稜駿はただの友達なんやからー。凜達とは違うのー」
「もー…何で崚行は稜駿の事好きじゃないのっ」
「何でって言われてもなぁ…好きは好きやけど、友達やし?そもそも俺は年上が好きなんやけど」

…使えない奴
心で毒づいてやると崚行はまるでそれが聞こえたように苦笑を浮かべた

「凛も何でよりにもよって寿々歌みたいなたらこ唇」

言い終わる前に一発殴った

「いったぁ!凛暴力はあかんて!」
「崚行が寿々歌の悪口言うからいけないんでしょ!」
「凜ちゃん自分が今どんな顔してるか分かっとる?めえぇぇぇぇっっっっちゃ恐い顔してんで」

こんな風にーなんて大袈裟に凜の真似をする崚行を軽くではあるがもう一度殴っておいた


「二人、仲ええなぁ」

そう言い出したのは寿々歌で
どうやらいつの間にか凜達を見ていたようだった

会話は聞こえないように小声だったからきっと聞こえていないだろうけど、もし聞こえていたら大変だ

「えぇ?そうかなぁ?凜には寿々歌達のが仲良さそうに見えるよ!」
「ええええ!?そんな風に見えてんのっ!?」
「見えてるよーすっごいラブラブに見えるもん!」
「ええええ!?」

寿々歌ってばわっかりやすーい
そんな赤くなって照れちゃって…

「ラブラブはありえないでしょー。だって俺、たらこ好きじゃないもん」
「誰がたらこ唇やー!」

すかさず突っ込む寿々歌
その辺は関西人だなって感じがして感心した

「ほら、稜駿もたらこ唇バカにしてるやん、殴らへんの?」

小声でそう言った崚行をちらりとも見ず、寿々歌達を笑顔で見たまま崚行に軽く蹴りを入れておいた

「稜駿と寿々歌だったら、凜も嬉しい!見てるこっちが幸せな気持ちになっちゃいそう」

口から出たのはさらさら思ってもいない言葉で

「ええー…やめてよぉ、うちやって稜駿なんか…」
「なんかって何だよ失礼だなスズチンは」
「やって…ヴァンダムには菜々香が…」

そうよ
ヴァンダムとか言う鈍感男は脇さんと付き合っちゃえばいいのよ
そしたら寿々歌は泣いちゃうかもしれないけど凜が慰めてあげて「凜…うちにはやっぱり凜しかおらへん…」ってなるのに!

「何で菜々香?」
「だって仲ええやんかー!」
「菜々香とはただの友達だよ。どちらかというと菜々香より寿々歌とのが一緒に居る時間も長いし仲良い方なんだけど」

あーあ
何このタラシ
寿々歌もあからさまに喜んじゃって

バッカみたい…


「…わぁ、凜大丈夫?」
「え?」
「体調悪いんちゃう?保健室行った方がええって!」
「え?凜大丈夫?」

突然何言いだしたのこのアホ言葉巧みなホモ

「ええから体調悪そうな顔しといて」
小さな声でそう言われたのでよく分からないけどその通りにした

「俺が連れてったるわ!ごめんな寿々歌、稜駿、先生には適当に言うといて!」
「凜、ホンマに大丈夫なん?うちが連れてこか?」
「ええってええって!寿々歌今日当たる日やろ?当たる日やからサボったと思われんの嫌やろ?な?な!」
「分かった、じゃあ崚行よろしく。もし聞かれたら俺が適当に言っとく」

稜駿が何かを察したようにそう言った
寿々歌は心配そうにしている。ああ可愛い。寿々歌に保健室に連れてってほしいぐらい。そして保健室で、

「ほら、行くで」

全く、何でこんなアホモ詐欺師なんかに連れてかれなきゃいけないの?
っていうか別に体調悪くなんてないのに



「で?いつから屋上に保健室が出来たのかしら?」
「あはー。ええやんか別に体調悪いんちゃうんやから」
「何であんな嘘ついたの?」
「やって、凜凄い辛そうやってんもん」
「は?」
「凜はホンマにめっちゃ寿々歌好きなんやなぁって、思ったよ」
「………」

なるほど
どうやら崚行は凜が二人のやりとり見て辛そうにしてたから嘘ついてあの場から連れ出した、と

「…別に、よかったのに」
「ま、俺もあの二人見とれんかったからって凜を口実にーってのもあるんやけどな」
「…崚行、何だかんだ言って本当に稜駿狙いだったの?」

一応冗談のつもりだったんだけど
もしそうならこれから自重しなきゃ

「だからちゃうって、稜駿は友達やって。それに俺が好きなんは年上やってば。ちゃって、そうやなくてめっちゃ痒ない?あの二人見てて」
「まぁ…そりゃあね」
「さっさとどっちか告白したらええのに。あそこまでイチャイチャしといて付き合ってないとか詐欺やろ」

言葉巧みな詐欺師と陰で言われてる崚行が何を言うのやら

「菜々香ちゃんの名前まで出して…寿々歌あんなにあからさまやのに稜駿アホやろ!って思う」

アホはアンタもでしょうが

「寿々歌も稜駿がヴァンダム呼びさせてるの自分だけやって気づけばいいのに。っていうか稜駿にしては珍しく『スズチンて呼べるのは俺の特権だし?俺以外に呼ばれて喜んでたら俺、怒るよー』なんてめっちゃアピールしとったのに気付かへんし」

ああもう何なんあの鈍感両思いカップル未満!
なんて崚行はつけたした

「…ホント、さっさとくっつけばいいのに」
「そしたら、凜がそうやってツライ思いせんで済むのに」
「…別に、凜は関係無いし」

「関係あるよ!だって俺等四人親友やん!」

崚行が突然大きな声を出した

「俺、一人でも悲しんで欲しくないもん。
確かに稜駿と寿々歌がくっついたら凜悲しむかもしれんけど、それ以上に凜はちゃんと祝福するやろうなってわかってるし。
最初凜の気持ち気づいた時稜駿と凜、どっちを応援したるべきかめっちゃ迷った!でも俺稜駿には幸せになって欲しいし、凜にも幸せになって欲しいねん。
それを考えたら、やっぱり二人にはくっついてもらって…」
「もういいよ、わかった、わかったから…」

崚行は、凜が思っているよりずっと色々考えてくれていた

仲良しの稜駿はハッキリと言葉にして崚行に相談していたのだ
なのに、持ち前の鋭さから凜の寿々歌に対する気持ちに気づいてしまった
崚行は凜の事も大事な友達と思ってくれていた
だから、どっちの応援もできずにいっぱい悩んでくれていたのだ

「…凜が、悪いんだ」
「そんな事!」
「ううん、凜が悪いの。凜、寿々歌が稜駿を好きなの知ってて寿々歌を好きになったんだもん」

この気持ちを、きっと稜駿は気づいている
だから、凜に遠慮して寿々歌に告白しないでいるのだろう
凜のせいで、寿々歌と稜駿は結ばれない
凜のせいで、崚行を悩ませた

「…怖がって、逃げてばかり居たからいけないんだよね」
「凜…」
「決めた。言う。寿々歌に、凜の気持ち、言う。稜駿も居る場で言う」

そして、潔く振られてやる

言葉にしなかったけどそれは分かりきっている変えようのない結果で

「…凜が振られたら、慰めたってもいいよ」
「何で崚行みたいなアホモ詐欺師に」
「ちょお何なんそのアホモ詐欺師って。俺詐欺師ちゃうし!」

否定するのはそこだけなの?と思いながらも何だかおかしくなって笑ってしまう

「…やーっと笑ったぁ」
崚行がそう呟いた事には気づけなかった



「凜!大丈夫なん?」

授業が終わって休み時間になった頃、崚行と共に教室へと戻る
次の授業は移動教室だ
皆は次の授業の用意を持ってそれぞれ教室から出ていく
凜も自分の席へと戻り次の授業の用意をしていると寿々歌がそばへと寄ってきた

「うん、大丈夫。ごめんねっ心配かけちゃった」

えへ、と笑ってみせたが寿々歌はまだ心配そうだった

「次、移動教室やね。一緒に行こ!」
「うん!あ、ねぇねぇ稜駿も一緒に行こう」

ちょうど準備が終わって自分も移動しようとして立ち上がった稜駿が、突然声をかけられて間抜け面をしてこっちを見た

「え?あ、ああ…いいけど」
「じゃあ俺も一緒にいこーっと」

崚行がやってきて四人そろう
気づくと教室には四人しか居なくなっていた

「ねぇねぇ寿々歌」
「何ー?」
「凜、寿々歌の事本気で好きだった」

そう言った時の寿々歌の間抜け面と言ったら、それはもう
寿々歌のそばに居る稜駿も同じように間抜け面をしていたから笑ってしまいそうだった

「………え?」

「だけど稜駿には勝てそうにないから諦める。だからさっさとくっついてよねー」

それだけ言うとぽかんと口を開けて間抜け面をしている寿々歌と稜駿を置いてさっさと歩き出す
凜の後ろを崚行がついてきた

「えぇ?普通あのタイミングで言う?」

崚行はそう言っておかしそうに笑った

「見た?あの二人の間抜け面。凄い酷かったね」

笑ってそう言ったすぐ後で、後ろから寿々歌と稜駿の「ええええええ!?」と言う声が聞こえてきた

「凜、よく出来ました、でしょ?」
「効果抜群、って感じやな」

くくく、と二人並んで笑う

「寿々歌ー稜駿ー授業遅れるよー?」
「俺が代わりに言うとこかぁ?二人はちょっとイチャイチャするため授業欠席です!って」

振り返るとそこには顔を真っ赤にした二人が居た

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