RUN!RUN!RUN! ◆raKlsc2Jzo
「なぁ、そろそろ笑えとは言わないけど機嫌良くしちゃくれねぇか?」
「良くなる訳ないダロ。ていうかどっかイケ」
イライラを隠しもせず早歩きで進む私の後ろから軽薄な声が飛んでくる。
それをまた、声色にも語調にもあらん限りの不愉快さを含ませた言葉でいなすも声が止む様子はない。
ついでに言えばその声の主が私についてくるのを止める素振りも無かった。
傍目から見れば間違い無くストーカー、あっという間に憲兵にしょっぴかれるような光景だが生憎ながらここにはそんな人物はおらず。
それどころか、人殺しを強制された無法地帯なのだが……そんな緊張感の欠片も持たない男は飽きもせずに口を動かし続けていた。
確かイトウ・マコトって言ったっけか。ミヤフジ達と同じ扶桑の男らしい。確か扶桑じゃなくてニホンだとか言ってたような気がするけど、まあそんな細かいことはどうでもいい。
そいつと私が出会ったのはここに飛ばされてから間もない頃だった。
あの青狸は私たちに殺し合いをさせるつもりとかほざいている。巻き込まれるのが私だけならまだ良い。
けれどももしサーニャまでもがここにいるのなら、当然私としては方って置くわけにはいかない。
いるかどうかも分からないけど、それでも探さない選択肢なんて私にはないのだ。それにいないのならいないで、こんなとこからは一刻も早く脱出してサーニャの元に戻らなきゃならない。
そう決意した直後だった。イトウのヤツが私に接触してきたのは。
まるで口にマシンガンでも仕込んでるのかのごとく、私の容姿やら髪の毛やらを矢継早に褒めちぎる姿にはさすがの私も面食らう他なかった。
ただ、ヤツはそれどころか私の手を取ると私の騎士にさせてくれだの何だのと歯の浮くような言葉ばかり並べ立て始めたのである。
早い話が私をナンパしよう、という魂胆だったらしい。状況を理解していないのか、そういう人間なのか……神経が図太いことだけは確かだろう。
もちろん私はそんな戯言に付き合う気なんて毛頭なく、付き合え切れないとばかりにオサラバすることにしたのだがイトウは諦めることもなく。
何度したか分からないやり取りを経て、現在に至るというわけだ。
「いやいや、一介の男としてこんな美少女を放っておく訳にはいかねーって。それより……」
大体私はなんでこんなヤツとコントを続けてるんだろう。サーニャの安否を確かめなくてはならないというのに。
そう思うとふつふつとこみ上げてくるものがあり、それに構わず下らないセリフを投げてくるイトウにぶつけずにはいられなくなる。
「だあっ、もういい加減にシヤガレ!」
イライラに耐え切れなかった私は、思わず肩にかけていたデイバッグをイトウに投げつけてしまった。
中には色々入っていたはずだが不思議なバッグだからか何なのか、投げられたバッグはいともたやすくイトウに受け止められる。
その後で、癇癪を我慢できなかったとはいえとんでもないことをしでかしたことに気づく。
みすみす他人に荷物を明け渡したようなものである。我に返り、きょとんとした顔のイトウから荷物を取り戻そうと手を伸ばした。
――直後、イトウの眼の色が変わった。その不意な変貌に手が止まる。
「な、何かあったのかヨ」
思わず声が上ずる。だが誠はそんな私に言葉を返すこともなく。
「っしゃあ、美少女2号発見! ちょっち口説いてくるわ!」
「なあっ!?」
それどころか突如きびすを返して、私たちが歩いていた方向から全く明後日の方向へと走りだした。
数瞬呆気にとられた後、怒りで顔が一瞬にして熱くなる。あんなヤツにわずかでも気を許した私がバカだった!
つまりあいつは誰かにうまいこと取り行って、荷物をかすめ取ろうという算段だったのだ。
仮にあいつがそこまで考えてなかったとしてもその態度が不躾で無礼なことに代わりはない。
「てっめ、待ちヤガレー!!」
とにかくあの中には武器や食料が入っている。みすみす持ち去らせる訳にはいかない。
私はイトウのやつを追うべく、急いで足を動かし始めた。
■
その光景を遠くから見つめる小さな影がいた。
冷徹な視線を眼に宿し、ぽつんと館の前に立ち尽くす少女――星光の殲滅者。
闇の書の破片であり分身であり、そして闇の書の復活を目論む「マテリアル」の一人である。
そこには情もなく、ただ「理」を持って目標を成すのみ。
目標とはこの殺し合いの参加者を排除し、元の世界へと戻って闇の書復活を再び目指すことである。
そう、首輪という枷をつけられ、殺し合いを命じられようとも彼女の指針は何ら変わることはなかった。
ただ戦う相手が魔導師や守護騎士以外にも増えたというだけのことである。
余談を言えば、「ドラえもん」とやらが言う願いに感銘を得た訳でもないがそんな力があるのなら闇の書復活に役立てようとも考えていた。
そう、誠は確かに美少女を見つけてはいたのだ。
けれどもその端正な顔立ちに宿す冷酷な視線に、彼は本能的に危険を悟っていた。
事前にそういった危険を宿さないエイラという他の人間に出会っていたからか。
いずれにせよ星光の殲滅者はその片手に持つ、彼女の姿の元となった少女が使っていたデバイスを構えようとしており、あと少し二人が駆け出すのが遅ければその先から容赦のない魔法攻撃が飛び出したことだろう。
結果的に誠が機転を効かせたことで、気取られるとは思っていなかった星光の殲滅者の不意がつかれ奇襲は失敗に終わった。
「なかなかの慧眼ですね。判断も素早い、あれで魔導師であれば私の心もより踊ったというものです」
顔色一つ変えずにそう呟く。そして彼女もまた、戦いを始めるべく動き始めるのであった。
【E-7 初日 深夜】
【エイラ・イルマタル・ユーティライネン@ストライクウィッチーズ】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]なし
[思考]
基本:殺し合いをする気は無い
1:荷物を取り戻す。
2:サーニャを探して守る。
3:サーニャの元へと戻る。
【伊藤誠@SchoolDays】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]支給品一式×2、不明支給品(2~6)
[思考]
基本:殺し合いをする気は無い
1:危険そうな少女(星光の殲滅者)から離れる
2:可愛い女の子は守る
※やる夫スレ的改変(綺麗な誠)あり。
【D-7 橋 初日 深夜】
【星光の殲滅者@魔法少女リリカルなのは】
[状態]健康
[装備]レイジングハート@魔法少女リリカルなのは
[道具]支給品一式、不明支給品(0~2)
[思考]
基本:参加者を全て排除し、闇の書の復活に戻る
1:2人(エイラと誠)を追う?
※PSP1作目、魔法少女リリカルなのはA's PORTABLE -THE BATTLE OF ACES-からの参戦です
【レイジングハート@魔法少女リリカルなのは】
魔砲少女…いや、魔法少女である高町なのはが愛用するインテリジェントデバイス。
待機状態では赤い球体で、なのははネックレスにして持ち歩いている。起動すると杖の形となる。
最終更新:2013年05月03日 17:29