少女らは愛しき人の夢を見るか ◆a2zhksM50w
『誰か……誰か助けて!!!!!!』
マイクの性能が良いのか、こなたの声はキャスターの思った以上に、響いていた。
爆弾を括り付けられた当初こそ、驚愕のあまりか、無言で顔を青ざめていただけだったが
時が経つにつれ、次第に助けを求める声は大きくなっていく。
これなら1エリアとは言わず、2、3エリア程届いていても可笑しくは無い。
(とはいえ。もう十分は経ったのに、誰も来ないとは)
声を出来る限り広くを轟かせる為に、あえてビルの屋上を選んだというのに未だに人の気配は無い。
まさか、この辺りにはまったくといっていいほど、人が居ないのだろうか。
あるいは声を聞いてはいるものの、参加者が集まると警戒している用心深い者しか居ないのか。
(まあ、まだ残り時間も十分ですし、焦る必要もないんですけどね。……それにしても、やっぱ気分が良いものじゃないですね)
今のこなたの顔は、最初見たときは違い酷く歪んでいる。
そこへ涙や垂れてきた鼻水によって、更に顔を醜く飾っていく。
その様が、キャスターをとても不快な気分にさせた。
「でもしょうがないですよね(マジキチスマイル)」
「でもしょうがないですよね(マジキチスマイル)」
何処かの野球選手を思わせるような、笑みを浮かべながら、キャスターはそう言いのける。
確かに可哀相ではあるが、愛しのご主人様に比べれば、いや比べるまでも無い。
「って、あれ?」
「って、あれ?」
ここで、キャスターは異変に気付いた。
とても無機質で感情の込っていない少女の声が、背後からキャスターの台詞をそっくりそのまま真似ている。
この場には、キャスターしか居ない筈。しかし、聞こえない筈の声が耳を鳴らす。
つまりそれが意味するのは、今キャスターは不覚を取り、別の参加者に背後を取られてしまったということ。
「何の真似です?」
静かに、気付かれないように、懐へ手を伸ばす。
スタングレネードで相手の目を潰せれば、まだ勝ち目はある。
無論、相手が戦闘を避けている、殺し合いに乗っていない参加者の可能性も僅かだがあるので
スタングレネードを手に取るまでの時間を稼ぎつつ、相手の出方を伺うのも忘れない。
「――スタングレネード」
「なっ!?」
手を読まれた? キャスターの焦りが増す。
「何の話です?」
「最初から、貴女の事は見ていた」
最初から、つまりそれはこなたを襲い、爆弾と共に括り付けビルの屋上へ放置したという事まで、全て見られていたという事か。
スタングレネードの名を出した事から、そう考えるのが妥当だ。
「私は、貴女と手を組みたい」
「手を組むですって?」
「ええ」
「……最初から見てたと言ってましたね?
という事は、私が殺し合いに乗ってる事ぐらい、分かってるんでしょう?」
「私も貴女と同じ。でも、一人で参加者を殺しきるのは難しい。
だって現に貴女、既に死んでるもの」
「!?」
背中、位置的には心臓の辺りを鋭利な物がつついている。
恐らくは剣やナイフ等の刃物等だろう。
確かに、最初から殺す気なら、既にキャスターはこの場には居なかったかもしれない。
「だから、一人より二人の方が有利」
一理ある。
ここで手を組むというのも、あながち悪くは無い。
それにどちらにせよ、拒否権は無いのだろうから。
「……良いでしょう。私も、一人じゃきついとは思っていたところですから」
「良かった。話の分かる人で」
キャスターはそう言うと後ろを振り向いた。
「人形?」
そこには手に水晶の剣を持った少女人形が浮いていた。
「私は薔薇水晶」
どうもこの場には人外が多いようだ。
自分の様にサーヴァントが呼ばれたかと思えば、動く人形まで来てるときた。
「私はキャスターです」
まあ、この程度の事は驚く程じゃない。
自分の様に妖狐だって居るのだ。動く呪い人形が居たって不思議じゃない。
「名乗りも終えたところで、貴女の事を少し教えて貰いますよ」
それよりも、先ずは情報交換だ。
手を組む以上、情報は共有するに限る。
薔薇水晶も特に嫌がる様子も見せず、それに応じた。
「――そうですか。あの場には貴女の知り合いが、首輪で死んだ娘を含めて5人居て
ここに来てから会ったのは私が初めてと」
「あと、水銀燈と真紅は強い。警戒するべき。
それと翠星石と蒼星石は、少なくとも個別で戦うのなら、倒せない強さじゃない。私が知ってるのはここまで」
殺し合いはまだ序盤、予想はしていたが、情報といえる情報は得られなかった。
とはいえ、ここに飛ばされる前に見たという、水銀燈、翠星石、蒼星石、真紅という参加者の情報を得られたので良しとする。
「さて。情報交換も終えたところで、今何分ですかね?」
忘れかけるところだったが、こなたの時限爆弾の残り時間を確認する。
すると爆破まで残り五分を切っていた。
(この様子じゃ、人が来る可能性も少ないし。今の内に彼女と今後について、考えておいた方が良いかもしれませんね)
【H-5 初日 深夜】
【キャスター(Extra)@Fateシリーズ】
[状態]:健康、着物が一部欠けている
[装備]:なし
[道具]:支給品一式×2、大縄(1/2)@現実、スタングレネード×2@現実、ランダム支給品(0~1)
[思考・状況]
基本:優勝し、マスターの元へ帰る。
0:薔薇水晶と手を組む。
1:こなたを監視し、善意の参加者が助けに来るなら妨害する。
2:こなたが爆死するか、適当に時間が経ったらこの場を後にする。
3:他の参加者同士の戦いを煽る。極力自分では戦わない。
4:水銀燈、翠星石、蒼星石、真紅を警戒。
※水銀燈、金糸雀、翠星石、蒼星石、真紅の情報を得ました。
【H-5 ビル屋上 初日 深夜】
【泉こなた@らき☆すた】
[状態]:健康、倦怠感、拘束、狂乱、爆弾に恐怖
[装備]:大縄@現実、時限爆弾(残5分)@現実、マイク@現実
[道具]:なし
[思考・状況]
1:誰か助けて!!!
※足元に焼け焦げたキャスターの着物の切れ端が落ちています
偽りのローゼンメイデン第七ドール・薔薇水晶としてアリスゲームに参加。
結果、六つのローザミスティカを取り入れたものの、体が耐え切れず自壊してしまった。
薔薇水晶が、ここに来る前に覚えていた最後の記憶がそれだった。
(私の体では……ローゼンメイデンを越える事は出来ない……!)
それは薔薇水晶の父・槐がローゼンより劣っているという証明。
自分が不甲斐ないばかりに、お父様はローゼンを越える事が出来ない。
(必ず私はローゼンメイデンを越え、お父様がローゼンを越えた事を証明します)
これは、自壊した自分に巡ってきた最後のチャンスだ。
何故、あの狸は自分を再生させたのか、同じく死んだ筈のドールズ達も同様に再生されたのか、そもそもどうして殺し合いを開いたのか。
そんな事はどうでもいい。
必ず優勝し、その賞品を利用しローゼンメイデンを越える体を手に入れ、お父様の下へ帰る。
薔薇水晶の中にあるのはそれだけだ。
(だから、もう少しだけ。もう少しだけ待っていて下さい。お父様)
【H-5 初日 深夜】
【薔薇水晶@Rozen Maiden】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本:優勝し、ローゼンメイデンを越える体を手に入れ、お父様の元へ帰る。
1:キャスターと手を組む。
※トロイメント死亡後からの参戦です。
最終更新:2013年03月26日 00:50