サンド・ギャンブラー




効果モンスター 
星3/光属性/魔法使い族/攻 300/守1600 
コイントスを3回行う。 
3回とも表だった場合、相手フィールド上モンスターを全て破壊する。 
3回とも裏だった場合、自分フィールド上モンスターを全て破壊する。 
この効果は1ターンに1度だけ自分のメインフェイズに使用する事ができる。 


砂漠の寂れた町らしき場所でバーテンの服装に身を包み、岩壁にもたれて格好をつけている男。それがサンド・ギャンブラーである。
何を思ってそんなことをしているのか誰にもわからないが、他人が口を挟むことでもないのでここには触れないでおく。

問題は彼のモンスター効果にある。
Sandと三度をかけたネーミングは結構面白いと思うが、効果の方は面白みも糞もない。効果の成功・失敗確率は共に12、5%ずつ。
残りの75%は何も起こらない、というギャンブラーと名乗るのもおこがましいようなみみっちい効果なのである。
何も起こらないと言っても、場には効果もない弱小モンスターが丸腰て突っ立っているという事実だけは残る。
召喚権を使ったという事実も残る。状況はじわじわと悪くなる。87、5%は悪くなる方向なのである。
まるで現代日本に残る、ケチな賭博のようであり、その悪夢のような感覚をデュエルの中で疑似体験できるという教育アドは評価に値するかもしれない。
だが少し待ってほしい。サンド・ギャンブラーのカードの精霊の声が聞こえないだろうか?
「常識的な考えで俺を扱おうと思わないことだな。俺はケチな賭博野朗じゃないぜ」
そう、今はっきりと聞こえた。
そして我々は理解した。サンド・ギャンブラーの本当のギャンブラー効果を。

昨今の環境において多くのデッキに入っているあるカード、エフェクト・ヴェーラー。手札から場のモンスター一体の効果を封じるという強力なカードである。
こんな状況を想像してみてほしい。こちらの場にはモンスターが4体。バトルフェイズ、しかしこちらの攻撃はバトル・フェーダーに止められてしまった。

返しの相手ターン。場に颯爽と現われたのはサンド・ギャンブラー。効果を発動しようとしている。
こちらは考える。もし相手の手札にブラック・ホールがあるならモンスターを召喚する前に使用するはず。しかし実際にプレイされたのはこのギャンブルカード。
つまり対戦相手は万策尽きて、こんなカードにさえ頼ろうとしているのだな。
我々がそう思ったとき、手札からエフェクト・ヴェーラーがこちらを眺めている。
この局面こそサンド・ギャンブラーが対戦プレイヤーに課す究極のギャンブルなのである。

たかだが12、5%のためにエフェクト・ヴェーラーを発動するのか?
しかし万が一ということもある。
だがもしこれがブラフだとしたら?

ゴミギャンブルカード一枚が心理プレッシャーを我々に与える。これが時の魔術師なら迷うことなくエフェクト・ヴェーラーを使用できただろう。
これは外れ(こっちからすれば当たり)確立87,5%の極端に偏ったギャンブルだからこそ起こりうる葛藤なのだ。

もしここで臆病風に吹かれてエフェクト・ヴェーラーを使っても失うものはそれ一枚だけ。こんな所で意地をはるより確実な勝利を。
我々の多くはヴェーラーを場に広げるのだ。
その数秒後、対戦相手の手札から現われるのはライトニング・ボルテックス

我々が失ったのは決してエフェクト・ヴェーラーだけではない。勝負師・決闘者としての矜持、そしてこのデュエルにおける冷静な思考。
時の魔術師なら、「あ、やられた」で済む。しかしサンド・ギャンブラーが相手だとそれでは到底済まない。
場に残ったのはサンド・ギャンブラーのイケメンドヤ顔。これはサレンダー必至だろう。
そう、サンド・ギャンブラーとのギャンブルは額面の効果以上にハイリスクなのだ。

さてこれで分かってもらえたように、サンド・ギャンブラーは少々危険なカードである。このカードを操るには生易しいデュエルを捨てる覚悟が必要だ。
零れ落ちる砂のような決闘の機微をも見極めうる者、そんな人物こそこのカードにふさわしい。
あいにく私はサンド・ギャンブラーは一枚も持っていないが、持っている人がいたら気をつけたほうがいい。
7スレ目 381 :名無しプレイヤー@手札いっぱい。:2013/09/28(土) 20:13:38.56 ID:kQWC0t390
  • 魔法使い、☆3、光属性とサポートにも恵まれてるな



最終更新:2018年07月14日 17:36