死神


人間は、みんな体の中にこの位のガラス玉が入っているんだ。
そのガラス玉の中は空洞で、その空間は液体で満たされているんだ。

ほとんどの人間は、ガラス玉が割れないうちに一生を終えるんだけど、
僕のは割れちゃったんだよ。

僕のガラス玉の中の液体は、毒だったんだ。


◆ ◆ ◆


佐川睦夫は傭兵だ。
日常的に人を殺し、血を啜り、体内の血を入れ替え続けている。

血が砂にならないように。身体の毒を消し去るために。

「――そうか。そんな過去があったんだね」

睦夫の言葉に鶴見は耳を傾ける。

「悪いのは君じゃない。もちろん、お父さんでも弟さんでもない。
 君は運が悪かっただけなんだ。たまたまガラス玉に毒が入っていただけなんだ」

その言葉に睦夫は涙を流した。

「あ、ありがとうございます……。あなたにそう言ってもらえただけで、僕は、僕は――――」

佐川睦夫と鶴見篤四郎はひっしと抱擁を交わした。

「睦夫君、君のことは私が守る。だが、もし私に何かあったら、君も私を守ってくれるかい?」

「もちろんです。もちろんですッ……!」

睦夫は何度も、何度も首肯した。
その姿に、鶴見は慈愛そのものの笑みを浮かべる。

「さあ、行こうか……! 私たちはとりあえず、他の参加者を殺そうとするような悪人を狙って狩るとしよう。
 睦夫君が教えてくれたこのタブレットで確認したところ、私の部下の宇佐美も来ているようだ。彼は頼りになるぞぉ」

「はい」

睦夫は大人しく鶴見に付き従う。

だが、鶴見は睦夫のある"習性"に気づいていなかった。

そう、睦夫が鶴見劇場の虜になってから先、睦夫は鶴見のことを一度も"名前で読んでいなかった"のだ。

「そうか。そうだったんだ」

睦夫は鶴見の後ろをしっかりとした足取りで歩きながら呟く。

「あなたが――――」


【B-1/住宅街/1日目・午前】
【鶴見篤四郎@ゴールデンカムイ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×2
[思考・状況]
基本行動方針:悪人を狩る
1:睦夫と行動する
2:宇佐美と合流する

【佐川睦夫@喧嘩商売】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×2
[思考・状況]
基本行動方針:父さんの言うことを聞く
1:悪い奴を殺す
2:そろそろ血を入れ替えたい
[備考]
鶴見を「父さん」だと思いこんでいます。


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最終更新:2024年04月30日 22:16