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第2話~生か死か、突き付けられた運命~

13 :akatsuki ◆7SWrUgoQ6Y:2007/06/29(金) 22:23:02 ID:tnf1a6xE0
第2話~生か死か、突き付けられた運命~

「ん・・んん・・・・。」

陽が目を覚ますと、そこは何もない、小さな部屋だった。
「ここは・・・。」
今さっきまでのことを思い返す。

少し混乱していたが、やがて記憶は鮮明になってきた。
担任が言っていた「命がけのデュエル」。実体化したカードの力。
クラスメイトがサンダーブレイクの一撃で倒れたのを思い出し、陽は少し不安になった。

が、今は自分のことをどうにかしなければいけない。
担任の言っていたことを思い出し、辺りを見回す。
と、手元に小さな巾着袋が落ちていた。
中にはこんな紙が入っている。

「最後の一人となるまで、お前達にはデュエルをしてもらう。
勝者にはキーカードと敗者の持っているカードが与えられる。
敗者には死あるのみだ。
全てのキーカードを手に入れた最後の一人にはこの建物から脱出する権利と、プロデュエリストになる資格が与えられる。
生きて帰りたければ、全力で戦え。
なお、デュエル中以外でも、カードの効果は発動できる。
物理的手段でキーカードを奪おうとする輩が現れたら、モンスターや魔法で迎撃することができる。
まぁどうやってキーカードを手に入れるかは、お前達次第だがな。
それでは、君たちの健闘を祈る。」

「なんだよ・・・これ・・・。」
普段感情の変化がわかりにくい陽も、さすがに動揺を隠せなかった。
命がけのデュエル。
今まで普通の学校生活を送ってきた平凡な中学生が、まさかこんな運命を押し付けられるとは思ってもいなかっただろう。

これから、どうしよう。
陽は途方にくれた。

このままここにいればしばらくは命の危険はないだろう。
だが、ずっとそうしていても始まらない。
食料は袋の中に入っていたコッペパンと水しかない。いずれ餓死してしまう。
デュエルに勝たなければ、外には出られない。
それに魁や氷室のことも気がかりだった。
合流したい。
陽はそう思うと、立ち上がり、静かにドアを開け、ゆっくりと歩き出した。


14 :akatsuki ◆7SWrUgoQ6Y:2007/06/29(金) 22:23:37 ID:tnf1a6xE0
「ちきしょお・・・マジかったりぃ・・・。」

クラスの中でも悪ぶってる三人組の一人、毒島 禄(ぶすじま ろく)は警戒心もなくだるそうに廊下を歩いていた。
やや小太りな体、ちりちりの天然パーマの髪、見た感じはまさしく不良である。

「あー・・・なんだよ命がけの命がけのデュエルって・・・くだらねぇー。
要は相手全員ぼこぼこにしりゃここから出れんだろ。
黒崎ー、影山ー、どこだよー。」

毒島はいつも一緒にいる仲間を探していた。
黒崎 龍二(くろさき りゅうじ)、影山 豪(かげやま ごう)と毒島は、いつも3人一緒で教師に喧嘩を売ったりしている困った奴らだった。
だが傍から見ればとても迷惑だが、3人の信頼関係はなかなかに厚いものだった。

「はぁ・・ここどんだけ広いんだよ・・・あいつらどこだ・・。」
毒島はもうかれこれ20分近く歩き回っていた。
しかもこれまで誰とも出会っていない。
このデュエルキャッスルの広さは想像を超えているようだった。

「あいつらどころか誰もいねぇなんて、もしかしてここにいるの俺だけじゃねぇだろうな。」
いい加減かったるくなり、とうとう毒島は座り込んでしまう。

見渡す限り壁と照明の無機質な廊下。人の気配もない。
そのせいかイライラしてきたようだ。
座ったまま壁を殴りつける。

「あー、くそ、なんで誰もいねぇ!誰でもいいから出て来いよクソ!」
毒島はふと顔を上げる。

その時だった、
「あ・・。」
「お・・?」

陽と毒島は目が合った。


15 :akatsuki ◆7SWrUgoQ6Y:2007/06/29(金) 22:24:09 ID:tnf1a6xE0
「お前・・・神崎?」
「毒島・・・。」
やっかいな相手に出会ってしまった。
別にデュエルに自信がないわけではないが、見たところ気が立っているようだ。
すぐに喧嘩を売ってくるような不良が、陽は好きじゃなかった。

「へっへ、やっと人がいたぜ。」
「そう・・。」
「誰もいなくてよぉー。お前黒崎と影山見なかったか?」
「見てないよ。」
「ちっ・・・まぁいいわ。
あーそうだ。やっと人に会えたんだからな。とりあえずお前、デッキとキーカード置いてけよ。そったら見逃してやっから。」
まさに横暴。この戦いで命に繋がるデッキとキーカードを渡せとは。
さすがにYesと言える訳がなかった。

「・・・やだよ。」
「おいおいおとなしく言うこと聞いとけよ?」
毒島が顔を近づけてくる。
下手に抵抗するとその場で殴られそうだ。

「デュエルしようよ。」
「あぁ?デュエル?」
「デュエルで勝てばキーカードあげるから。」
「ひゃっひゃ。舐めたこと言ってんなよ。んなまどろっこしいことする気ねぇよ。
お前がその気なら力ずくで奪ってもいいんだぜぇ?」

毒島が胸倉を掴んでくる。
陽もこれはちょっとまずいかもと思った、が。
とっさに陽は、ルールの紙に書いてあったことを思い出した。
「えっと、光の護封剣。」
適当にカードを選び出し、デュエルディスクにセットしてみる。
すると陽と毒島の間に突如三本の光の剣が現れ、毒島は驚いて身を引いた。

「な、なんじゃこりゃ!あの時と同じ・・!?」
「もしかして紙読んでない?」
「紙だぁ?」
「物理的手段相手にはカードの力で抵抗できるって、部屋にあった袋の中の紙に書いてあったけど。」
「あぁ!?んなもんしらねぇよ!」

袋に気づかず部屋を出たのか、もしかして毒島の起きたところには袋が置いてなかったのか。
どちらにせよ、毒島はルールを知らなかったようだ。

「ふぅ。だから、勝ち負けはデュエルじゃないと決められないよ。」
「ちっ・・!そういうことかよ!
デュエルとかかったりぃけど、見逃す気もねぇ。お前ちょっとむかつくからやってやんよ!」

ようやく乗り気になったようだ。
毒島は陽から大きく間を取り、デュエルディスクを起動した。
それに応じ、陽もデュエルディスクを立ち上げる。

今ここに、命がけのデュエル、初戦の幕は開けた。
「「デュエル!!」」


16 :akatsuki ◆7SWrUgoQ6Y:2007/06/29(金) 22:24:39 ID:tnf1a6xE0
陽 LP:8000
毒島 LP:8000

「俺の先行だ!ぼこぼこにしてやんよ!!」
毒島がカードをドローする。
「へっへ!ブラック・ガジェット召喚!」

 《ブラック・ガジェット》
 効果モンスター
 星4/地属性/機械族/攻1800/守 300

毒島のフィールドに黒色の歯車兵士が現れた。
次々と仲間を手札に加え、一世を風靡したやっかいなモンスター、ガジェットシリーズ。
最近になり新たに仲間が増えた、その1体だ。
毒島はデュエルに関するやる気は低いが、比較的強力なガジェットデッキを使っているので弱いわけではなかった。

「ガジェットか・・。」
「ブラックの効果で、デッキからブルー・ガジェットをサーチすんぜ!
そんでカードを2枚伏せてターンエンドだ!」

「俺のターン、ドロー。」
毒島のフィールドには伏せカードが2枚。
十中八九、トラップだろう。
陽は慎重にならざるを得なかった。

「モンスターをセット。ターンエンド。」
「ひゃっひゃ!慎重だなぁ!おい!」
「そう吠えるな。攻撃してこない相手を煽るのは雑魚のすることだ。」
「んだと!? あ!? 舐めた口聞いてんじゃねぇぞ!!」

実は、陽はデュエル中だと少し性格が変わるのだ。
かなり強気になり、普段の陽ではありえないようなしゃべり方をする。
元々気性の荒い毒島は、陽の煽りに顔を赤くしてカードをドローした。

「なめやがって!手札からブルー・ガジェットを召喚!」

 《ブルー・ガジェット》
 効果モンスター
 星4/地属性/機械族/攻1000/守1000

そして現れる青色の歯車兵士。
毒島はその効果でホワイト・ガジェットを手札に加える。

「ハッハァ!そして装備魔法プロミネンス光線発生機をブルー・ガジェットに装備するぜ!」

ブルー・ガジェットに装備されたのはカブトムシのような2本の大きな角。
その昔流行ったロボットRPGに出てきたパーツにそっくりだ。
その効果でグリーン・ガジェットの攻撃力は500ポイントアップする。

「伏せカードはなし!いくぜぇ!ブルー・ガジェットで伏せモンスターに攻撃だ!」
2本の角の間から強力な光線が放たれ、伏せモンスターを焼き払う。

眩い光線に焼き裂かれたのは、素早いモモンガだった。
ライフアドバンテージとフィールドアドバンテージを一気に稼ぐ優秀なモンスターだ。

「素早いモモンガの効果を発動!」
「ちっ!その前にプロミネンスによるダメージを受けてもらうぜ!」

プロミネンスは破壊したモンスターに攻撃力分のダメージを与える効果を持っている。
素早いモモンガの攻撃力分、1000ポイントの爆風が陽を襲った。

「ぐっ・・だがモモンガの効果で1000ポイント回復だ。」
受けたダメージをすぐに回復する陽。
そしてモモンガのもう一つの効果。デッキから仲間をサーチし、セットする。

「ちっ・・モモンガかよ・・。けど破壊しなきゃ始まらねぇ!ブラック・ガジェットで攻撃!」
素早いモモンガの守備力はわずか100。ブラック・ガジェットのパンチなどひとたまりもなく粉砕されてしまった。
「モモンガの効果発動!」
モモンガの効果で再びライフを回復する陽。

「どうした?結局俺のライフは1ポイントも削れていないぞ?」
「ちっ・・うっぜぇな・・!ターンエンドだ!」

陽 LP:9000
毒島 LP:8000


17 :akatsuki ◆7SWrUgoQ6Y:2007/06/29(金) 22:25:20 ID:tnf1a6xE0
「俺のターン、ドロー
モンスターと伏せカードを1枚セットし、ターンエンド。」
「攻撃してこねぇのかよ!」

毒島のガジェットデッキは相手モンスターを除去しつつガジェットの展開力で押しつぶすデッキ。
攻撃してくれば罠にかけ、攻撃してこなくとも表側なら除去は簡単だ。
だが裏側表示のモンスターを除去する手段は毒島の手札には来ていなかった。

「守りを固める気なら・・真っ向からぶっ潰してやんよ!ドロー!
ホワイト・ガジェット召喚!その効果でブラック・ガジェットをサーチ!」

 《ホワイト・ガジェット》
 効果モンスター
 星4/地属性/機械族/攻 800/守2000

「ひゃはは!いいもの見せてやる!魔法カード、増設・機械改造工場発動!」
「む・・?」

毒島のフィールドに現れた改造工場。
機械改造工場とは、最初期に登場した弱小装備魔法の名だ。
だが、満を持して増設されたその工場は、昔よりも遥かに強力な効果を持っていた。

「ライフを500払い、ホワイト・ガジェットを生け贄に捧げる!
そして手札からフルメタルコマンダーを特殊召喚するぜ!」
改造工場に運ばれる白い歯車。
僅かな時を経て改造されたガジェットは、全身重火器装備の人型兵器と化していた。

 《フルメタルコマンダー》
 効果モンスター
 星7/光属性/機械族/攻2200/守1800

「上級機械族モンスター・・・。手札から機械族モンスターを特殊召喚する魔法か。」
「そういうことだ!そしてフルメタルコマンダーが存在する限り、俺のフィールドの機械族モンスターの攻守は400ポイントアップする!
ひひゃひゃ!いくぜぇ!ブルー・ガジェットで伏せモンスター攻撃だ!」

後方からミサイルの支援を得たブルー・ガジェットのプロミネンスが伏せモンスターを貫いた。
現れたのは紫色をした巨大な球体。ジャイアントウイルス。
プロミネンスによる爆風がジャイアントウイルスの攻撃力分、1000ポイントのダメージを陽に与えた。

「ぐぅっ・・ジャイアントウイルスの効果発動!お前に500ポイントのダメージだ!」
ジャイアントウイルスが弾け、ばら撒かれた細菌が毒島を蝕んだ。
「ちっ・・・またリクルーターかよ!!」
素早いモモンガと対を成すジャイアントウイルスのもう一つの効果。
陽のフィールドにはデッキから呼び出された2体のジャイアントウイルスが並んでいた。

「次から次へと・・・。だがジャイアントウイルスは攻撃表示!
ひゃはは!ぼっこぼこにしてやんよ!行け、ブラック・ガジェット!!」
「攻撃の無力化発動。」
「なぁ!?」

突撃するブラック・ガジェットは陽のフィールドに現れた渦に吸収され、何事もなかったかのように自分のフィールドに戻っていった。

「ちきしょう、その場しのぎしやがって・・
 まぁいいぜ、そんな守り固めてるだけで何が出来る!次のターンでぼこぼこにしてやるぜ!」

陽 LP:8000
毒島 LP:7000




「ふっ・・・さて、そろそろ反撃しようか。ドロー。」
「あぁ!?」
「モモンガじゃなくウイルスを攻撃してくれて助かった。
      • おかげでこいつが出せる。」

陽のフィールドに存在する素早いモモンガと2体のジャイアントウイルスが光の筒に包まれる。
「さ、三体生け贄だと!?」
「お前の機械族モンスターを見せてもらったお礼に、俺もいいものを見せてやろう。
降臨せよ、God whom I considered!!」

3体のモンスターが光に飲み込まれる。
その中から眩き閃光と共に、陽のフィールドに現れたのは、光を凝縮しその姿を形作ったかのような、神。
誰もの心に存在し、誰もがその姿を想像する、それは神だった。

 《God whom I considered》
 効果モンスター
 星10/光属性/天使族/攻 ?/守 ?


18 :akatsuki ◆7SWrUgoQ6Y:2007/06/29(金) 22:25:56 ID:tnf1a6xE0
「か、神だと・・・!?」
「神の攻撃力は生け贄にしたモンスターの攻撃力の和となり、召喚されたターンのみ、それは2倍となる。
その攻撃力は、6000。」
「ろ、く、せん!!??」
突然現れた神の、そのあまりの大きさに毒島は驚きを隠せなかった。

「神よ、ブルー・ガジェットに攻撃だ!
Imagined God's judgment!!」
「あ、あ、甘く見んなよくそが!炸裂装甲発動だ!」
「無駄だ。神は召喚ターン、あらゆる効果を受けない。」

炸裂装甲を跳ね除けた神は、ブルー・ガジェット目掛けて巨大な光の矢を放つ。
「なんだと!? う、うわ・・・、があああああああああああ!!!」
その神のいかづちとも言える閃光は毒島もろとも、ブルー・ガジェットを焼き尽くした。

「あ・・・あ・・・・かはっ・・・・。」
この建物内では、カードの効果は実体化し、そのダメージもプレイヤーが実際に受けるという・・。
攻撃力6000の神の一撃は、毒島の肉体と精神に大きなダメージを与えたようだった。

「あ・・・熱ぃ・・・痛ぇ・・・・。」
「お、おい・・大丈夫か・・?」
陽も、カードゲームでの自らの攻撃が、まさか人間にここまでのダメージを与えるとは思わなかっただろう。

「なんだよ・・・なんだよこれ・・・。
ふざけんなよ・・・痛ぇよ・・・。」
毒島は完全に戦意を喪失しているようだった。
胸を押さえ、うずくまって動かない。

「おい、どうする、中断するか?」
攻撃的な性格になっている陽も、さすがに目の前の出来事に戸惑っていた。
手を差し伸べようかと、一歩、足を踏み出す。

「ひっ、ひぃい!」
だが毒島は思いっきり後ずさってしまった。
今まで体験したことのない痛みは、完全にトラウマとなっていた。

「やめろ!くるなぁ!!」
絶叫しながら、物凄い勢いで後ずさる。
だが、その時だった。
「ぐああああああああああああああああ!」
「!?」
陽には一瞬何が起きたのかわからなかった。
そしてはっとした。
そういえば、最初に見た紙にはこんなことも書いてあった。

「デュエル中に逃亡しようとした者にはデュエルディスクから強力な電流が流れる。
くれぐれも逃げようなどと考えるなよ。
生きたければ勝つことだ。」

毒島の後ずさりをデュエルディスクは逃亡と認識したのか。

「毒島・・・。」
目の前でクラスメイトが苦しみ、死に直面している。
実際に突き付けられたそれは、陽の心を動揺させていた。

「ちきしょう・・・ちきしょう・・・・逃げられねぇってのかよ・・・。」
毒島がゆっくりと立ち上がる。
その目からはさっきまでの怯えはなくなっていた。

「ざけんなよ・・・。こんなところで死んでたまるかよ・・・。
こんなやつに殺されてたまるかよ・・・!」

代わりに、その目には激しい怒りと恨みの光が灯っていた・・。
殺らなければ、殺られる。
現実を理解した毒島は、普段よりも冷静だ。

「やってやるよ・・・お前、殺してやる・・・。
ほら、続けろよ・・・。」

その気迫に、さすがの陽も若干竦む。
だが、負けるわけにはいかなかった。
負ければ、さっき目の前に広がった光景が自分に降りかかるのだ。
殺らなければ、殺られる。
陽は戦いを続けることを決めた。

「わかった・・。カードを2枚伏せてターンエンドだ。」

陽 LP:8000
毒島 LP:2400




32 :akatsuki ◆7SWrUgoQ6Y:2007/07/01(日) 23:55:19 ID:wAoX/0mk0
「行くぜぇ、ドロー!」
毒島が敵意のギラギラと光る目でカードをドローする。

「神と言えどレジスト効果は召喚ターンのみ、今やただのモンスターだろうが!食らいやがれ地砕き!!」
毒島の除去ガジェットデッキの本領発揮だ。単体除去の定番、地砕きを発動する。
God whom I consideredの足元にひびが入っていく。

「そう簡単に通すと思うか?我が身を盾にを発動だ。」
対する陽も、対モンスター除去のキーカード、我が身を盾にを発動する。
God whom I consideredの足元に広がろうとしていた地割れは、進む向きを変え陽を飲み込んだ。

「ぐっ、う・・・・」
我が身を盾にのコスト、1500ポイントは決して安いものではなかった。
地砕きをくらった衝撃が陽を襲う。

「まだだぜぇ!手札を1枚捨て、ライトニングボルテックス発動!」
「そうはいかない。カウンター罠魔宮の賄賂!」
現在では最高レベルの全体除去魔法。その暴れ狂う雷が発動する前に、闇の商人が毒島の手札に賄賂を送る。
毒島が1枚カードをドローする代わりに、ライトニングボルテックスは収束し消えてなくなった。

「ひゃはは!伏せカード使い切ったな!今のドローでいいカード引いたぜ!
ブラック・ガジェット召喚!効果でブルー・ガジェットを手札に加える!
これはかわせねぇだろ!ブラック・ガジェットを生け贄に、魔法カードコードクラッシュ!」
「ちっ・・・。」

次々と襲い来るモンスター除去。陽にもうカウンター手段はなかった。
ブラック・ガジェットからコードが延び、God whom I consideredに巻きつく。
そしてブラック・ガジェットはGod whom I consideredもろとも大爆発した。

「ひゃはは!!何が神だよかっこつけてんじゃねぇ!!倒してやったぜ!!
さぁ、てめぇのフィールドにモンスターはいねぇ!ブラック・ガジェットで攻撃だ!!」
突撃するブラック・ガジェット。その体当たりは陽のボディに見事に直撃した。
「ぐああっ・・・!」
全身に衝撃が走り、骨が軋む。
陽が初めてくらうまともな戦闘ダメージ。
2200ポイントのダメージは我が身を盾にのコストよりもまた大きい衝撃だった。

「ハハハ!!どうだ、痛ぇかよ!」

痛みに胸を押さえる陽。だがこのままフルメタルコマンダーの一撃を受ければデュエルに敗北してしまう。
ここでひるむわけには行かなかった。

「くっ・・・俺は冥府の使者ゴーズを手札から特殊召喚する・・!」
「ゴーズなんか隠し持ってやがったのか!」
突如陽のフィールドに現れる冥府よりの使者ゴーズ。そしてその隣にはカイエントークン。
フィールドががら空きとなったプレイヤーの窮地を幾度も救ってきた強力なモンスターだ。
カイエントークンの攻撃力はブラック・ガジェットからのダメージと同じ2200。

「くそっ・・フルメタルコマンダーじゃゴーズは倒せねぇ・・・!
ひとまずフルメタルコマンダーでカイエンを攻撃だ!フル・バースト・インパクト!」

フルメタルコマンダーが全身からミサイルを撃ち放つ。
フィールドに登場したばかりのカイエントークンはあっけなく吹き飛ばされてしまった。
「ぐぅっ・・・!」
「手札の除去魔法は使い切っちまったぜ・・・。
まぁいい、次のターンで倒してやる!ターンエンドだ!」

陽 LP:3800
毒島 LP:2400


19 :akatsuki ◆7SWrUgoQ6Y:2007/06/29(金) 22:26:30 ID:tnf1a6xE0
毒島のターンで陽のライフは大きく削られてしまった。
高攻撃力のゴーズがいるとは言え、相手は除去ガジェット。このターンでなんとかしたかった。
陽は軽く深呼吸し、カードをドローする。

「俺のターン、ドロー。」
陽の表情は変わらない。

「ちっ・・何を引いた・・!」

「今見せてやる・・。魔法カード、ドロー・ザ・ワールド発動。
デッキから2枚ドローし、お前はデッキから永続魔法かフィールド魔法を発動できる。」
「くそ、手札増強か・・!
俺のデッキには永続魔法もフィールド魔法も入ってねぇ・・・!!」
「ふっ、ならば無条件というわけだな。感謝させてもらおう。」

デッキからカードを2枚ドローする陽。
さらに続いて魔法カードを発動する。

「魔法カード、ドロー・ザ・フール発動。
さらに2枚カードをドローする。」
「またドローかよ・・・!」

次々と手札を増やしていく陽。
2枚のカードを手札に加え、その表情を少し変えた。

「・・・どうやら、このターンで終わりなようだ・・。」
「な、に・・・!?」
「俺はライフを800払い、早すぎた埋葬を発動する。蘇れジャイアントウィルス。」
陽の墓地から紫の巨大な球体が這い出てくる。
這い出てくるというよりは浮かび上がってくるというほうが正しいか。

「さらに速攻魔法、ヘヴンズゲートを発動。蘇れ素早いモモンガ。」
今度は空から光の柱が降り、その中を素早いモモンガが舞い降りてくる。

「さ、3体揃った・・・まさか・・・!」
「そして魔法カード、死者転生を発動。
手札を1枚捨て・・・God whom I consideredを手札に戻す。
そして、3体のモンスターを生け贄に捧げ・・・God whom I considered、召還!」
「う、うわあああ!!」

先ほど一度見た光景。
今度はジャイアントウィルスが1体、ゴーズに変わっただけ。
3体の生け贄の飲み込み、2体目のそれは降臨した。
眩く輝き、その姿は誰もを圧倒する、その名は「神」。

「く、くそ、また出てきやがった・・・!?」
「God whom I consideredの攻撃力はゴーズとモモンガとウィルスの合計・・・4700。
そして召喚ターン、それは2倍となり、9400だ。」

先ほどよりもさらに大きい神。
攻撃力9400の巨大な化け物は、一度はかき消えた毒島の怯えを再び呼び起こした。

「や、やめろ・・・・!」
「これで終わりだ。
すまないが、死んでくれ・・。」

毒島のもう1枚の伏せカードはミラーフォースだった。
相手の攻撃モンスターを全て破壊する最強のカウンター。ゴーズが攻撃してくれば、毒島の勝利の布石となっただろう。
だが神の前ではそんな小細工は通用しない。炸裂装甲同様、全く無力だった。

「神よ。ブルー・ガジェットに攻撃だ。
Imagined God's judgment!!!」
最後の攻撃宣言をする陽。それは同時に、毒島への死刑宣告。
命令を受け、輝きを増す神の閃光。

「やめろ、やめてくれぇ・・・・!!」
その威圧感に、毒島は尻餅をつき懇願する。
だが神の動きは止まらない。無情にも放たれる、巨大な光の矢。

「恨むなよ・・。」
ブラック・ガジェットは貫かれる。
そしてその光の矢は止まることなく、毒島をも貫いた。

「ぐあああああああああああああああああああああああああ!!」

光に貫かれ、ゆっくりと倒れていく毒島を、陽はただ落ち着いた目で見ていた。

毒島 LP:0


20 :akatsuki ◆7SWrUgoQ6Y:2007/06/29(金) 22:27:08 ID:tnf1a6xE0
断末魔の悲鳴と共に、デュエルは終了した。
デュエルディスクの赤い光は消え、ボードが収納される。

「あ・・あ・・・。」
デュエルが終わり、いつもの性格に戻りはっとした陽は慌てて毒島に駆け寄った。
動かない。息も、ない。
God whom I consideredの光の矢に貫かれた部分は、服は焦げ穴が開き、中の肉体も焼けているようだった。
完全に死んでいた。

「死んでる・・・殺した・・・?俺が・・・。」

陽はうずくまった。
人の死体を見るのなど初めてだ。
デュエル中は殺らなければ殺られるなどと思い、本気で戦った。
それも事実だ。もしも負けていたら陽がこうなっていただろう。
だが自分の力が人を殺したという事実は、平凡な中学生にはショックが大きすぎる物だった。

「ごめん・・・。」

陽はうつむいたまま、静かに涙を流した。



第3話に続く。

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最終更新:2007年08月25日 18:48
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