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第3話~剣士vs剣士、男の戦い~

34 :akatsuki ◆7SWrUgoQ6Y:2007/07/01(日) 23:57:47 ID:wAoX/0mk0
第3話~剣士vs剣士、男の戦い~

魁はあてもなく廊下をふらついていた。

「こんなことになるなんてなぁ・・。
陽はどこにいるんだ・・。」
魁も陽と同じく、陽を探して歩いているところだった。
だが行けども行けども廊下ばかり。
たまに部屋があるが、ドアは開いており中には誰もいない。
魁もそろそろ疲れだしていた。

「あー・・腹減ったー・・・。」
実は魁は朝飯を食べていないのだ。
いつも朝ぎりぎりまで寝ているので朝飯を食べるという習慣がない。
魁は手元のコッペパンを見つめた。

「食料はこれっきり・・・今食べちまったら次いつ食べられるか・・・。
しかし腹が減っては戦は出来ぬというしなぁ・・・。」

魁は食欲と葛藤していた。
命の危険がある場だというのに、のんきなものだ。
コッペパンを見つめたり、目を逸らしたりしている。

「もういいや・・食っちまおう!」
どうやら本能に負けたようだ。
袋からコッペパンを取り出す魁。
「いただきまーす!」
大きく口を開けかぶりつこうとした、が、手を滑らせてパンを落としてしまった。

「あ、しまった・・、3秒ルール3秒ルール。」
しゃがんでパンを拾おうとする。
その瞬間、頭の上を高速で何かがヒュンッと通り過ぎた。

「!?」
驚いた魁はパンも拾わずに前方に飛び込み、後ろを振り返る。

そこには手に刀を持った黒髪の少年、伊川 棗(いかわ なつめ)が舌を鳴らして睨みつけていた。

「ちっ・・漫画のようなかわしかたをする・・・。
まぁいい。隙を突いて斬ろうかと思ったが、城矢なら相手としては面白そうだ。」
棗は手に持っている、というより癒着している刀、融合武器ムラサメブレードを構えなおし、魁に向き合った。

「な、棗!?いきなり何しやがる!危ねぇ!」
注意力を欠いた魁が悪いのだが、魁は棗を怒鳴りつける。

「ふん。気を抜いているほうが悪い。俺達は命の奪い合いをしているんだぞ。
せっかく与えられた戦の場だ。存分に楽しもうじゃないか。」
棗は剣道部のエースである。その腕前は3年でさえ軽く打ち負かすほどだ。
だが天才とは得てして変人であるもので、棗は普段から木刀を持ち歩き、事あるごとに振り回すという困った奴だった。
ちなみに横文字が大嫌いだ。

「戦いって、デュエルじゃねぇのかよ!?」
「札などに頼ることはない。俺は俺の力で敵を倒す!
さぁお前も武器を持て。」
「じょ、冗談じゃねぇ!」

さすがの魁も刀を持った棗と喧嘩などできなかった。一瞬で首が飛んでしまう。
魁は全力で駆け出した。

「む。逃げる気か、臆病者め!
だが逃がしはせんぞ!」

棗もそれを追いかける。
魁と棗の命がけの鬼ごっこが始まった。


35 :akatsuki ◆7SWrUgoQ6Y:2007/07/01(日) 23:58:41 ID:wAoX/0mk0
「くそ!装備魔法持って相手倒すなんてありなのかよ!」
「どうやって勝つかは俺達次第と書いてあったわ!
ハハハハハ!!素晴らしい企画じゃないか!まさか今の時代に真剣を自由に振り回せる日が来るとは思わなかったぞ!!」

棗は目をギラつかせ、刀を振り回し、高笑いしながら魁を追いかける。
魁じゃなくとも、こんな奴に追いかけられれば必死で逃げるだろう。

「こ、殺されるっっ!
そ、そうだ。こっちもカードを使えば・・!」

魁は走りながらデッキからカードを抜き出す。

「これでもくらいやがれ!サイクロン!!」
装備魔法を破壊すると言えばやはりこれだろう。
魁の手から竜巻が舞い起こり、一直線に棗へと向かう。だが、

「無駄だわあああ!!」
棗はムラサメブレードを振るい、竜巻を薙ぎ払う。
そう、ムラサメブレードは魔法を破壊する効果では破壊されないのだ。
焦りの余り簡単なミスをしてしまった。

「その程度か城矢よ!大人しく俺の刀の錆となれぇい!!」
「ひぃぃっ!くそ!これでどうだ!」

魁は手当たり次第カードを発動する。
ミラーフォース、光の護封剣、奈落の落とし穴。
だが棗はあっさりとバリアを切り裂き、護封剣を砕き、落とし穴を飛び越える。
これは別に装備魔法の効果ではない。

「んなんありかよッ!!」
「この俺に小細工など通用せぬわあ!!」
魔法も罠もものともしないあまりに破天荒な棗に、魁はさらに焦りの色を見せる。

「そ、そうだこれなら!」
慌てながらカードをさぐる魁が、一枚のカードを見つけた。
「装備魔法ミストボディ!」

カードを発動し、足を止める魁。すかさず棗が斬りかかる。
だが、魁には傷一つついていなかった。

「ちっ、戦闘破壊されなくなる装備か。こざかしい・・。」
「へへ!これならさすがのお前も手を出せないだろ!」
霧となり揺らめきながら魁は棗に向き直り、デュエルディスクを起動する。

「よくも追い回してくれたな!大人しくデュエルで勝負しやがれ!」
ミストボディを発動され、観念したのか、棗もムラサメブレードを解除する。

「ふん。まぁいい。決闘でも結末は変わらぬわ。
追いかけるのも少々疲れたしな。」
棗もデュエルディスクを起動した。

「デュエルなら負けねぇぜ!無茶苦茶してくれやがって、覚悟しやがれ!」
「この手で斬れぬのは残念だが、我が異形の刀の錆にしてくれるわ。」

「デュエル!」「決闘!」

こうして二人のデュエルが幕を開けた。


36 :akatsuki ◆7SWrUgoQ6Y:2007/07/02(月) 00:00:36 ID:Ee0SkTQk0
魁 LP:8000
棗 LP:8000

「俺の先行だ!ドロー!」
先行は魁だ。カードをドローする。
「よし!モンスターを守備表示でセット!ターンエンドだ!」

「俺の番!札を引く!
東方の剣王4段を手札より召喚!」

 《東方のソードマスターLV4》
 効果モンスター
 星4/風属性/戦士族/攻1400/守 0

「ソードマスター!?名前違うじゃねぇか!」
「横文字は好かん。好きにさせろ。」
「別に俺はいいけどよ・・。」

当然ルール違反だろうが、公式デュエルなどではないのでここは許しておいてやろう。

「そして東方の剣王4段に魔憑きの倭刀-夜深乃風-を装備する!」
怪しい妖気を放つ刀がソードマスターに装備された。
夜を駆ける風の如く、静かで深く、敵を飲み込むようなプレッシャーのある妖刀だ。
その効果で東方のソードマスターの攻撃力は1900となる。

「東方の剣王よ。伏せ異形に攻撃だ!夜影神風流剣技、息吹!」
東方のソードマスターが静かな風を巻き起こしながら、手にした妖刀で伏せモンスターに斬りかかる。
伏せカードがめくれ、現れたのは蒼き剣を持った西洋の騎士、蒼刃の騎士ブルティッシュだった。

 《蒼刃の騎士ブルティッシュ》
 効果モンスター
 星4/水属性/戦士族/攻1400/守1200

守備力1200のブルティッシュはソードマスターにあっさりと斬り捨てられた。

「ふっ、手ごたえのない。」
「うるせぇ!まだまだこれからだ!」
「札を1枚伏せ、俺の番は終了。この瞬間、東方の剣王の段位が上がる。」

東方のソードマスターLV4が相手モンスターを戦闘破壊したターンのエンドフェイズ。ソードマスターのレベルが上がる。
ソードマスターはまだあどけなさの残る顔立ちから、若干背が伸び、戦場を駆ける若き猛将へと進化した。

 《東方のソードマスターLV6》
 効果モンスター
 星6/風属性/戦士族/攻2200/守 0

「そして魔憑きの倭刀-夜深乃風-の効果が発動する。」
Lv4の装備していた夜深乃風は、持ち主のレベルアップに伴い一度は墓地へ送られた。
だが妖刀は主が倒れるまでその手から離れることはない。
墓地からゆっくりと浮かび上がり、再び東方のソードマスターLV6に装備された。

「ちっ、便利な装備魔法だな。」
「さあ、お前の番だ。早くしろ。」
「いちいち言われなくともやってやるぜ。」

このターン、お互いのライフに変化こそなかったものの、フィールド上は魁にとって非常にまずいことになっていた。
棗のフィールドには、夜深乃風を装備し攻撃力が2700まで上昇したソードマスターLV6。そして伏せカードが1枚。
対する魁のフィールドには何もなかった。
僅か1ターンでここまでつけられた戦力差を、魁はどう取り戻すのか。

「俺のターン、ドロー!
まずは墓地のブルティッシュの効果を発動するぜ!
墓地のブルティッシュを除外することによって、その攻撃力分俺のライフを回復する!」

墓地に眠るブルティッシュの魂は蒼く輝き浮かび上がる。
そして魁の体へと入り込み、一体となった。

「体力回復か。お前は意外と小心者なんだな。」
「うるせぇ!たまたまこいつが手札にいただけだ!」

たまたま扱いされては、ライフを回復してやったブルティッシュも不服だろう・・。
そんなことは気にも留めず、魁は自らの戦術を進めていく。

「切り込み隊長召喚!その効果で手札からコマンド・ナイトを特殊召喚するぜ!
そして手札から守護騎士の誇りを発動!」
「やはりお前は騎士が主体の構成か。西洋の騎士など俺の刀の錆にしてくれる。」
「へへ!やれるもんならやってみやがれ!ターンエンドだ!」


魁 LP:9400
棗 LP:8000


37 :akatsuki ◆7SWrUgoQ6Y:2007/07/02(月) 00:01:06 ID:Ee0SkTQk0
「俺の番。札を引く。
ふん。そのような異形、俺の剣士の前では弱小に過ぎん。東方の剣王6段で攻げ・・・む!?」

棗が攻撃宣言しようとした、その時。
魁のフィールドでは、切り込み隊長がコマンドナイトを庇い、守護騎士の誇りに突き動かされるコマンドナイトが切り込み隊長を庇い、2体のモンスターが前へ前へと揉めあっていた。

「なんだこれは・・・。これではどちらも攻撃できん・・・。」
「どうだ!切り込み隊長がいる限り、相手は切り込み隊長しか攻撃できず、守護騎士の誇りがある限り、相手は『騎士』もしくは『ナイト』と名のついたモンスターしか攻撃できない!
まぁ切り込み隊長じゃなくても、他のモンスターがいればコマンドナイトを攻撃することはできねぇんだけどな。
よって結果的にどっちも攻撃する事ができなくなる!これが俺の防衛戦法、ナイトロックだぜ!」

ソードマスターはどちらを攻撃すべきかおろおろとし、結局何も出来ずにバトルフェイズを終了した。

「戦から逃げるわ、体力回復するわ、あげくには攻撃防ぎ・・・。
お前は情けない奴だな・・。」
棗は少し見下した目で魁を見た。

「そ、そんな目すんじゃねぇ!見てろよ、すぐに倒してやるぜ!」
「ふん。異形を伏せ、終了だ。」

「俺のターン、ドロー!
ちっ、こねぇな・・、ターンエンドだ!」

息巻いては見たものの、魁は何もせずにターンエンドを宣言する。

「ふん。やはり口だけか。札を引く。」
守ってばかりいる魁に、若干失望しながら棗がカードをドローした。

「忍者王佐助を召喚する。これで俺の番は終了だ。」
ロックを破らなければ攻撃することもできないので、棗もターンを終了した。
ちなみに言うまでもないが、召喚したのは忍者マスターSASUKEだ。

こうしてお互い状況を打破できるカードがこないまま、2ターンが過ぎていた。

棗のフィールドには
東方のソードマスターLV6(夜深乃風装備)、忍者マスターSASUKE、くのいち忍者―しのぶ―、伏せモンスター1枚
そして伏せカード2枚、手札3枚。

対する魁のフィールドは3ターン前から変わらず、切り込み隊長、コマンドナイト、守護騎士の誇りの3枚だけだった。そして手札は6枚。
ひたすら身を守っている魁だったが、その手札には徐々に勝利の布石が揃いつつあった。

「俺のターン!ドロー!
      • !よっしゃ来たぜ!」
その言葉に棗が少し反応する。
「ふん、早くしろ。」
攻撃を防ぎ続けられている退屈なデュエルに少し苛立っているようだ。
「悪かったな、ロックなんかかけてよ!今解いてやる。魔法カード大嵐!!」
「!!」

魔法罠除去カードの最高峰、大嵐。
とてつもない暴風がフィールドを駆け回り、お互いのフィールドの魔法罠を吹き飛ばした。
だが魁の破壊されたカードは守護騎士の誇りのみ。
対する棗は夜深乃風1枚に伏せカード2枚の大打撃だった。

「ちぃっ。余計な札を伏せるべきではなかったか・・・!」
「後悔しても遅いぜ!
さぁ、今から俺の必殺戦法を見せてやる!速攻魔法、魔導書整理!」

魁が発動したのはデッキの上から3枚を確認し、好きな順で戻せるという少し地味な魔法。
いきなり発動されたそのカードに棗も怪訝な顔をする。

「なんだ・・?どういうつもりだ・・?」
「今にわかるぜ。へへ、いい感じだ!」
デッキトップ3枚を見、魁は笑みを見せる。
好きな順に並び替え、デッキに戻す。
このカードが魁の猛攻撃のトリガーとなることに、棗はまだ気づく由もなかった。


38 :akatsuki ◆7SWrUgoQ6Y:2007/07/02(月) 00:01:39 ID:Ee0SkTQk0
「さぁ、行くぜ!!
今こそ俺の主力モンスターを見せてやる!戦空の騎士ヴァレルヒア、召喚!!」

 《戦空の騎士ヴァレルヒア》
 効果モンスター
 星4/風属性/戦士族/攻1700/守1000

魁のフィールドには、蒼刃の騎士ブルティッシュに少し似ている蒼き鎧の風の騎士。
だが、蒼と銀を基調にしたその美しい鎧と剣からは、ブルティッシュよりもさらに上位の階級であることが伺える。

「ようやく異形を召喚したか。
だがその程度の異形では俺の東方の剣王6段には勝てぬぞ!」
「結構だぜ!ヴァレルヒア、SASUKEに攻撃だ!ブルー・サイクロン・ソード!!」

ヴァレルヒアが高く飛び上がり、宙を舞いながらSASUKEに疾風の如き一撃を叩き込む。
その甲冑は見かけによらずとても軽いようだ。
コマンドナイトの指示によって強化されたヴァレルヒアの攻撃力は2100。SASUKEは騎士の剣によって倒され、その爆発が棗を襲う。

「ぐあっ・・・痛みが・・・!
これがここでのデュエルというやつか・・・!面白い・・・!」
棗にとって初めての、デュエルでの痛み。
だがそれに怯むことなく、棗は相手を見据えた。

「ふん、佐助が倒されたところで俺の優位はかわらぬわ!」
「だろうな!だがここでヴァレルヒアの効果発動だぜ!」
「なに!?」

ヴァレルヒアは相手モンスターを戦闘破壊した時に効果を発動するのだ。
その効果とは・・・

「デッキの一番上のカードを確認しデッキの一番下に送る。そしてそのカードの種類によって効果が決まる!
デッキの一番上は、夜の騎士!モンスターカードだぜ!」
「ぬぅ!そのための魔導書整理か!」
「そういうこった!モンスターの時の効果は、このターンヴァレルヒアはもう1度攻撃できる!
さぁヴァレルヒア、しのぶに攻撃!ブルー・サイクロン・ソード!!」
「ぬぉ!?」

そう、魁はこの連続攻撃を狙っていた。
デッキトップを操作すれば、ヴァレルヒアの効果を自由に操作でき、非常に強力な強化となる。

ヴァレルヒアは再び飛び上がり、しのぶに疾風の一撃を食らわる。
くのいち忍者―しのぶ―の攻撃力は1600。SASUKEと同じように、ヴァレルヒアの剣に倒された。

「ぐお・・っ!」
そして再び発動されるヴァレルヒアの効果。
まぁ、確認せずとも魁はそのカードがわかっているのだが。

「デッキトップはサイクロン!魔法カードの時の効果発動だ。
次の俺のターンまでヴァレルヒアの攻撃力は300ポイントアップする!」
「ちっ・・これでは東方の剣王では倒せん・・!」
ヴァレルヒアの攻撃力は2400となった。この攻撃力で攻撃することこそできないが、そう簡単に戦闘破壊はされなくなる。

「このまま行くぜ!コマンドナイトで伏せモンスターに攻撃だ!」
棗の伏せモンスターは東方の英雄。
英雄の名を持ちながらソードマスターの足元にも及ばない弱小バニラだ。
よく切れるカタナはコマンドナイトの剣に叩き折られ、一撃で葬り去られた。

「くっ、僅か1刻で俺の場が壊滅するとは・・・。
だが、東方の剣王は残っておるわ!」
「それはどうかな!行くぜ、バトルフェイズを終了し、これが必殺の魔法カード。痛み分けだ!!」
「な、なんだとぉ!?」

お互いのプレイヤーが自分のモンスター一体を生け贄に捧げなければいけない魔法カード。棗に選択の余地はなかった。
カードの発動と共に、切り込み隊長がソードマスターに向かって走り出す。
そして、二人の一撃は交錯し、お互いに倒れていった。

「なんということだ。東方の剣王まで倒されるとは・・・。」
「どうだ!これが俺の戦術だ!
見くびってもらっちゃ困るんだぜ!ターンエンド!」

相手フィールドを全滅させ、満足そうな笑みを見せる魁。
対する棗は顔を伏せ、言葉を発さなかった。


魁 LP:9400
棗 LP:7200


39 :akatsuki ◆7SWrUgoQ6Y:2007/07/02(月) 00:02:14 ID:Ee0SkTQk0
「俺の番。札を引く。」
棗は伏せていた顔を上げ、カードをドローした。
フィールドを全滅されたにも関わらず、その顔には笑みさえ浮かんでいる。

「ふふ・・・。どうやらお前の言う通り少々見くびっていたようだ。
いやすまん。これからは本気で行かせてもらおうか。」

棗の目に闘志が灯る。
デュエルディスクの装着された左腕を前に構え、手札を持つ右手を腰の左側辺りに構える。
ちょうど、居合いのような構えだ。

「さぁ、こちらも反撃させてもらうぞ、城矢!!」
居合い抜きの要領で勢いよく右手を振るう。
そのままの勢いでデュエルディスクにカードが叩き付けられ、モンスターが召喚された。
そのモンスターは、伝説の剣豪MASAKI。

「な、そんな弱小バニラで一体・・!?」
「ふっ、こいつは生け贄だ。
俺は政樹を生け贄に捧げ、この札を発動する!戦線復活の代償!蘇れ、東方の剣王6段よ!」

先程と同じ要領で再び棗はカードを叩きつける。
召喚されたばかりのMASAKIが断末魔の叫びを上げ、光となり散った。
そしてその光が収束し、墓地から這い上がったソードマスターに宿る。
棗の、伝説の剣王は蘇った。

「ぐっ、しまった・・!だがまだヴァレルヒアの攻撃力の方が上・・・」
「ハハハハ!装備魔法、破剣はかぶさ発動!」
「なに・・!?」

ソードマスターに装備されたのは一筋の太刀。
一見するとただの刀だ。だがその刀からは、おぞましいほどの邪気が漂っていた。

「その装備魔法は・・・」
「破壊の力を持ち、隼の速度を持つ、最強の刀。それがこのはかぶさだ!!」

棗の叫びと同時にソードマスターが刀を構える。
その目に睨まれたら絶対に逃げられない、そう感じさせるほどのプレッシャーを漂わせながら。

「ハハハハ!東方の剣王6段よ!その騎士を斬り伏せろ!!
夜影神風流奥義!闇青竜!!」

ハカブサを持ったソードマスターの攻撃力は、2700。
ソードマスターの姿が消え、一瞬にしてヴァレルヒアの目の前に潜り込む。
そしてその刀は竜巻のような暴風を巻き起こしながら、ヴァレルヒアを斬り上げた。
その風は、まるで天に昇る青竜の如し。ただ、全てを飲み込む闇の威圧感を持つことを除いて。

「ぐあっ・・・・!」
巻き起こった剣風が魁をも切りつける。
そのダメージは決して大きくなかったが、魁は初めて味わう痛みに少し怯んだ。

「へっ、この程度で・・・。」
こんなものかと、平静を取り戻そうとする魁。
だが、ソードマスターの攻撃は止まってはいなかった。

「だが次はどうだろうな。はかぶさを装備した異形は、一度の戦時に2度攻撃できる!
さぁ、その赤き騎士を斬り伏せろ!!」
「な、しまっ・・・!」

魁がその能力を知ると同時に、コマンドナイトは空に散っていた。
続いて、その剣風がカマイタチとなり、魁に襲い掛かる。

「つあぁっっ・・・!!」

その痛みはさっきよりも大きかった。
体をナイフで切りつけられるかのような痛み。
だが、魁は2度目の痛みに怯むことはなかった。

「ってえ・・・。だがこんなもん、いくらでも我慢できるぜ。」
「ふっ、そう来なくては面白くないわ。
痛みの前に怖気づいて逃げ出したらどうしようかと思ったぞ。」
「へっ、舐めんなよ。受けた痛みは倍にして返してやらー!」

魁も棗も、目の前の相手に打ち勝つことだけを考えていた。
体の痛みなど関係ない。必要なのは、勝つか負けるか。
純粋に、勝負を楽しんでいるのだ。

「これで俺の番は終わりだ。
本来ならはかぶさを装備した異形はその終時に破壊されるのだが、俺の剣王はその前に段位があがる。」

LV4がLV6になった時のように、成長を遂げるソードマスター。
若き猛将は、幾百幾千もの死戦を超えた、最強の将軍となった。

 《東方のソードマスターLV8》
 効果モンスター
 星8/風属性/戦士族/攻2800/守 0


魁 LP:8000
棗 LP:7200


40 :akatsuki ◆7SWrUgoQ6Y:2007/07/02(月) 00:03:02 ID:Ee0SkTQk0
「攻撃力2800か・・・、相手として不足はねぇぜ!
俺のターン、ドロー!!」
強がってはみたものの、相手のフィールドには東方のソードマスターLV8。
魁のフィールドはがら空き。
前のターンで逆転した戦況は、またも一瞬で逆転されてしまっていた。

だが、魁の表情に曇りはない。

「手札から、早すぎた埋葬発動!復活するのはヴァレルヒアだ!」
「む。」

800ライフを引き換えに、墓地からヴァレルヒアが這い上がる。
その甲冑は先程まで死んでいたにも関わらず、変わらず美しい。

「俺も装備魔法を発動させてもらうぜ!
装備魔法、遺された剣!!」

魁が装備魔法カードを発動させる。もちろん対象はヴァレルヒアだ。
だが、ヴァレルヒアには何も変化がなかった。

「なんだ?何もおこらんぞ・・?」
棗も怪訝な顔をする。

「このカードの効果を教えてやるぜ!
メインフェイズに1度、墓地にいるモンスター1体を除外し、そのモンスターの攻撃力分だけ、装備モンスターの攻撃力を上げる!
ヴァレルヒア!切り込み隊長の剣を持て!!」
「そういうことか・・・!」

墓地の切り込み隊長の魂が、その剣に宿る。
そして剣は浮かび上がり、ヴァレルヒアに装備された。
切り込み隊長の魂を受け継ぎ、ヴァレルヒアの攻撃力は2900となった。

「よっしゃ!これならお前のソードマスターも倒せるぜ!
行け、ヴァレルヒア!魂のブルー・サイクロン・ソード!!」
「ふっ、そうは行かぬわ!!
剣王よ、奴を吹き飛ばせ!!」
「な!?」

何が起きたのか。
ソードマスターを討つべく飛び上がったヴァレルヒアは、ソードマスターの起こした剣風によって吹き飛ばされてしまった。

「剣王8段は、1刻に1度、相手の攻撃を無効に出来るのだ。
詰めが甘いな、城矢よ。」
「ちっ、そんな効果が・・・。」

攻撃の通せなかった魁は、しぶしぶターンエンドを宣言する。
遺された剣による攻撃力上昇は次の自分ターンまで続く。
そう簡単には破壊はされないだろう。
だが、そういった安心をしていられないのが、デュエルの面白いところだ。
棗の表情にも、曇りはなかった。


魁 LP:7200
棗 LP:7200


「俺の番。札を引く!
ふっ、城矢よ。それはなかなか良い装備魔法だな。」
「あ?あぁ、そうだろ!」
「なかなか関心したぞ。お礼に、俺もまた新しい装備を見せてやろう。
装備魔法、魔剣村正発動!!」
「!?」

次々に発動される装備魔法の応酬。
棗が発動したのは、またも凶悪な妖気を放つ魔剣。
妖刀の代名詞、村正だ。

「この効果で剣王の攻撃力は400上がる!
剣王の攻撃力は3200!蒼き騎士よ、切り込み隊長の意思と共に砕け散れ!!
夜影神風流究極奥義!天地神風!!!」
「くそっ・・・!!」

伝説の妖刀を持つ最強の将軍は、その刀を構えたまま、一歩とも動かない。
やがて、ゆっくりとその刀を振り上げると、目にも止まらない速さで振り下ろす。
天地を飲み込む神の風。巻き起こされたそれは一直線にヴァレルヒアへと進み、消し飛ばす。
その巨大な剣風は、ダメージこそ小さいものの魁の体に強烈な痛みを刻み込んだ。

「ぐああああっ!!」
「ハハハ!痛かろう!苦しかろう!
許しを請わば、我が剣王の太刀で一思いに眠らせてやるぞ!!」

棗は自らのモンスターのその剣技に惚れ惚れとし、魁に余裕めいた言葉を吐きかける。
胸を押さえる魁。だがその闘志は決して消えることはなかった。
むしろますます燃え上がる。その痛みこそが戦いへの情熱へと繋がるように。

「へっ、馬鹿言ってんな。誰が許しなんか請うかよ!
そんなサムライ、俺の騎士でぶっ倒してやるぜ!」

棗を見据える魁。その瞳に棗も満足そうな笑みを見せた。

「そうでなくてはな。城矢。
この戦。最後まで楽しませてもらうぞ。」

棗がターンエンドする。
棗は、魁が次にどんな手を打ってくるのか、自然と楽しみになっていた。


魁 LP:6900
棗 LP:7200


41 :akatsuki ◆7SWrUgoQ6Y:2007/07/02(月) 00:03:36 ID:Ee0SkTQk0
「俺のターン、ドロー!
      • よし、モンスターをセットしてターンエンドだ!」

「ふっ、万策尽きたかな?ならば望み通り、刀の錆にしてやろう。
札を引き、攻撃だ剣王よ!天地神風!!!」
「無駄だぜ!かわせ!翻弄するエルフの剣士!」

裏となっていたカードがめくれ、そこから現れたのは尖った耳に緑色の鎧。
遊戯王の漫画の主人公の主力下級モンスターとして活躍したエルフの剣士だ。
エルフの剣士は、ソードマスターの起こした爆風のような剣風をひらりとかわしてしまった。

「戦闘破壊されない異形・・・!?
小ざかしい真似をする!」
「生憎、攻めと守りを兼ね備えてるのが俺のこのナイトデッキなんでね!」

先程見せたナイトロックのように、魁のデッキは攻めの手段と守りの手段を両方持っている。
猪突猛進のように見えて、デュエルでは意外と慎重なのだ。
守りを固め、相手の手を見極め、確実に倒す。それが魁の戦術だ。

「ちぃ・・終了だ。」
棗はしぶしぶターンエンドする。

「俺のターン、ドロー!
手札から泉の精霊発動!早すぎた埋葬を手札に戻す!」
「また蒼き騎士か・・?」
「残念だが、手札に状況を打開するカードはねぇ。
ターンエンドだ。」

お互いのライフが変わらないこう着状態が続く。
魁はいつまで翻弄するエルフの剣士で耐え続けられるか。

「俺の番。札を引く。
ふっ、城矢よ。お前の壁もこれまでだ。」
「なに!」
「忍者王佐助を召喚する!
佐助よ!えるふの剣士に攻撃だ!闇討ち!!」
「しまった・・!」

エルフの剣士がSASUKEのクナイによってあっけなく破壊される。
これでもう魁のフィールドはがら空きだ。
ソードマスターの究極の剣風を遮る壁はなくなった。

「ハハハ!さぁ食らうがいい!
これが剣王の究極奥義、天地神風だ!!!」

ソードマスターが神風を起こす。
全てを飲み込むその風は、勢いを衰えさせることなく魁に直撃した。

「ぐあああああああああっっ!!」

今までのモンスターごしのダメージとは桁が違う。
ストレートで叩き込まれたその一撃は魁に膨大なダメージを与えた。

「っってえええ・・・・・・」
魁もそのダメージにさすがに膝を折ってしまった。
胸が熱い。こんな痛みは経験したことがない。こんなの、下手したら死んでしまうんじゃないのか。
それほどの激痛だった。
だが、魁は奥歯をかみ締め立ち上がる。

「やる・・・じゃねぇか・・。」
「ふん。ぼろぼろではないか城矢。まだ続けるのか?」
「あたりめぇだ!ぜってー勝ってやる!」

正直、強がりだった。
この痛みをまだ受けると思うと、もう逃げてしまいたくなった。
だが、逃亡は許されない。何より魁自身が逃げることなど許せない。
負けたくなかった。勝ちたかった。
その気持ちが魁をどこまでも突き動かす。

「いつまで持つかな。俺の番は終了だ。」


魁 LP:3700
棗 LP:7200


42 :akatsuki ◆7SWrUgoQ6Y:2007/07/02(月) 00:04:08 ID:Ee0SkTQk0
「ドロォー!!」
力一杯叫ぶ。気をしっかり保たなければ。
負けられない。集中しろ。
魁にはもう、守りに入る余裕はなかった。

ドローしたカードを見る。
その瞬間、魁は勝利への笑みを見せた。

「行くぜ棗!これが俺の全力戦法!!
さっきの痛み、倍にして返してやる!!」
「いいだろう!来い!」

「手札から再び早すぎた埋葬発動!!復活するのはヴァレルヒアだ!!」

再度墓地から呼び出されるヴァレルヒア。
相変わらずその甲冑にはくすみ一つない。

「俺はヴァレルヒアを生け贄に、こいつを召喚するぜ!
来い、蒼天の騎士ヴァレルザァァーッド!!!」

ヴァレルヒアが蒼き風と共に光と散る。
そしてその光は収束し、再び蒼き騎士を形作る。
それはヴァレルヒアと似て、また違う。蒼と銀の甲冑に巨大な剣。
蒼いマントを翻すそれは、空の騎士。
風を纏い空を翔る蒼き天空の騎士、ヴァレルザード。

 《蒼天の騎士ヴァレルザード》
 効果モンスター
 星6/風属性/戦士族/攻2500/守1700

「蒼き騎士の上位種か・・・!」
「そういう事だぜ!今見せてやる、こいつの力!
ヴァレルザードよ、SASUKEを切り裂け!ブルー・ゲイル・ベルセルク!!」

ヴァレルザードが疾走する。
マントと巨大な剣を翻し、突風と共にSASUKEの上空を奔り抜ける。
その一瞬でSASUKEは斬り伏せられ、フィールドには蒼き旋風のみが残っていた。

「ぐぅっ・・!」
巻き起こった風が棗にも届く。
数値としては700程度のダメージ。だがそれはソードマスターの剣風にも匹敵する威力を秘めていた。

「く・・・やるじゃないか、城矢・・・。」
「まだだ!ヴァレルザードの効果を発動するぜ!」
「そうはさせん!村正を装備した異形が存在する限り、相手は戦時に効果を発動できぬのだ!」
「ぐっ、そうだった・・!」
ヴァレルザードの纏おうとした風を、ムラマサの邪悪な光がかき消してしまった。
戦闘破壊した時の効果が使えなければ、ヴァレルザードもただのモンスターだ。

「仕方ねぇ。カードを1枚伏せてターンエンドだ!」


魁 LP:3700
棗 LP:6500


43 :akatsuki ◆7SWrUgoQ6Y:2007/07/02(月) 00:04:40 ID:Ee0SkTQk0
「俺の番!」
棗がカードをドローする。
ヴァレルヒアの上位種、ヴァレルザードが出てきたとは言え、その攻撃力は2500。
攻撃力3200のソードマスターの敵ではない。
伏せカードが気になるところだが、棗はそんなものを気にする性格ではなかった。

「何が出てこようと我が剣王の敵ではないわ!
剣王よ、その蒼き騎士を斬り殺せ!!」
命令を受け、刀を振り上げるソードマスター。
だがその攻撃は魁の狙っていたところだった。
「そう簡単にはいかねぇぜ!罠カード物質転送!!」
「罠だと!?」

魁のフィールドに光の粒子が煌きだす。
やがて粒子は収束し、一振りの剣を形作った。

「800ライフ払い、デッキから装備魔法を発動するぜ!来い!聖剣ブリュンヒルド!!」
「おのれ・・・!」
ヴァレルザードに装備されたのは美しい装飾の施された伝説の聖剣の一つ、ブリュンヒルド。
神々の加護を受けたヴァレルザードの攻撃力が急速に上がっていく。
その攻撃力は6100となった。

「馬鹿な!?攻撃力6100だと!?」
「ブリュンヒルデを装備したモンスターは俺のライフが相手より低い時、その差だけ攻撃力が上がるんだぜ!」
「ま、まずい・・これでは剣王の攻撃は・・・!」

ヴァレルザードが新たな剣を持ったことなど気にも留めず、上げた刀を振り下ろすソードマスター。
その剣風はまさに神風。ブリュンヒルドなしのヴァレルザードなどひとたまりもなかっただろう。
だが今は違う。ヴァレルザードがブリュンヒルドを思い切り振り上げると、ソードマスターにも引けを取らない暴風が巻き起こる。
ぶつかり合る、ソードマスターの神風とヴァレルザードの暴風。その力は互角か、激しい轟音とともにお互いとも弾け飛んだ。

だがまだヴァレルザードの攻撃は始まっていない。ソードマスターに向かい、風の速さで疾走する。
立ち竦むソードマスターの蒼き風が駆け抜け、その刹那爆裂する旋風。
全てを切り裂く風の刃に、ソードマスターは倒され、その旋風は棗にも襲い掛かる。

「ぐあああああああっ!!」
さすがの棗も悲鳴を上げる。
全身をカマイタチで切り刻まれる痛みは、想像を絶するものだ。

「ははっ!痛ぇだろ!
許してくれって泣いて土下座すれば許してやるぜ!」

笑みを浮かべ、先程の棗と同じ事を言う魁。
棗の最強モンスターを倒し、強烈なダメージを与えた。優越感に浸るのも当然だ。
だが、棗の顔には焦りや怒り、悲しみの色はなかった。

「ふふ・・・なかなかやるではないか。城矢。
だがこの程度で俺は倒せぬぞ。」
「何を強がりを・・・な!?」
見ると棗のフィールドでは、倒されたはずのソードマスターが満身創痍の状態で再び立ち上がろうとしていた。

「剣王8段が破壊される時、金貨を投げ裏表を当てる。
そして当たった場合は破壊を免れ、攻撃力がさらに200あがるのだ。
俺は当ててみせる。金貨は表だ!」

ソリッドビジョンの金貨が投げられた。裏表はデュエルディスクがランダムで決める。

「ちきしょう!外れろ!」
「俺はこの程度では負けぬわああ!!」

棗の叫びと同時に、コインが落ちた。
出た側は・・・・表。
棗の意地は、コンピューターにまで影響を与えるというのか。

「フハハハハ!見たか城矢よ!これが俺の力だ!!」
ソードマスターは完全に立ち上がった。さらに力を上昇させて。

「くっそ・・・。」
「その剣には少々驚いたが、所詮これまでよ。
俺の番は終了だ。」


魁 LP:2900
棗 LP:3600


44 :akatsuki ◆7SWrUgoQ6Y:2007/07/02(月) 00:05:25 ID:Ee0SkTQk0
魁は内心焦っていた。
さっきのターンでソードマスターを倒せると思っていたからだ。
だが現実には破壊を免れられ、攻撃力を上げられ、ライフ差が縮まりブリュンヒルドの効果は小さくなっている。
ソードマスターの攻撃力、3400。ヴァレルザードの攻撃力、3200。ぎりぎり届かない。
それに攻撃力が上回っていたところで、ソードマスターの持つ攻撃無効化と破壊無効化能力がやっかいだった。

だが負けるわけには行かない。
陽に会いたい。
あの娘にも会いたい。
あいつ・・・はどうでもいいか。
クラスの面々を思い出す魁。
負けられない。その思いは、決して棗にも負けない。
魁に闘志がみなぎった。


45 :akatsuki ◆7SWrUgoQ6Y:2007/07/02(月) 00:06:09 ID:Ee0SkTQk0
「ドロー!!」
気合を入れ、勝利の鍵を引けることを祈り、カードをドローする。
そのカードを見て、魁はにっと笑った。
魁の闘志は、勝利の鍵を引き当てたようだ。

「棗、お前のソードマスター、倒させてもらうぜ!」
「何!?」
「俺はこいつを発動するぜ!!」

現れたのは、一振りの太刀。
邪悪な妖気を放ち、相手を竦み上がらせる妖刀。

「魔剣村正だと!?」
「生憎、俺とお前はデッキが似ているみたいだからな!同じカードが入ってることもあるだろうよ!」
「しまった・・・これでは・・・。」

棗に焦りの表情が見える。
それもそのはず、ムラマサには相手モンスターのバトルフェイズでの効果発動を封じる能力がある。
ムラマサが存在する限り、ソードマスターは攻撃も破壊も無効化できず、ヴァレルザードに倒される。

「行くぜ、攻撃!行け!ヴァレルザァード!!
ブルー・ゲイル・ツインブレード!!!」
ヴァレルザードが聖剣と魔剣を交差させ、空を疾駆する。
その攻撃を阻むものは何もない。何も特殊な力を持たない剣王は、2つの旋風によって4つの肉片へと斬り裂かれる。

「・・・っ!」
棗の剣王はついに倒された。
その衝撃が棗を襲う。
だが、さっきの痛みに比べたら大したことはない。
棗は表情を変えずに、魁を見据える。

「俺の村正は墓地へ落ちた。その効果、発動しろ。」
「そうさせてもらうぜ!」

おそらくこいつは、最良の効果を発動するだろう。
棗は心の中でそう思っていた。
さらに心の奥底で、過去に剣道を教えてもらった厳しい祖父のことをゆっくりと思い出す。


「デッキトップを確認するぜ!デッキトップは・・・コマンド・ナイト!
モンスターの時の効果は、このターンもう一回バトルフェイズを行え、その時相手に与える戦闘ダメージは2倍になる!」
「ふっ・・・。」

棗は静かに笑った。
負け・・・、か。こいつは、強いな・・・。
棗は、不思議と穏やかな気持ちになっていた。

「行くぜ・・・棗。俺の勝ちだ。」
「来い。」

魁が2度目の攻撃宣言を行う。
ヴァレルザードの攻撃力は3600。そのダイレクトアタックでのダメージは7200まで跳ね上がる。
ライフ3400の棗にはもう、なす術はない。

刃が棗に襲い掛かる。




ああ、戦場で散るというのは、こういう気分なのか・・・。


悪く・・・ない・・・・。




棗 LP:0


46 :akatsuki ◆7SWrUgoQ6Y:2007/07/02(月) 00:06:48 ID:Ee0SkTQk0
ゆっくりと、倒れ行く棗。
魁はデュエルディスクが収納するのも待たず、駆け出した。

「棗!」
まだかろうじて息はあった。

「ふっ・・・強いではないか、城矢・・・。」
「棗・・・。」
「完敗だな・・・。」
「お前だって、強かったぜ!」
「ふっ・・そうか・・・。最後の相手が・・・お前で・・・満足だ・・・。」
「棗・・・もうしゃべるな・・・。」

魁が涙声になっている。
やはり陽と同じく、自分が人を殺したことを真正面から受け止められるほど強くはなかった。

「持って行け・・・。」
棗はかろうじて動く腕で、デュエルディスクからデッキを取り出し魁に渡す。
「負けるな・・・よ・・・」
そして、静かに息を引き取った。

魁は涙は流さない。

「棗・・・俺、絶対生き残るぜ・・・絶対・・・。」

その代わりに、もう動かない棗の手を握り締め、力強くそう言った。



第4話に続く。


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最終更新:2007年08月25日 18:55
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