ある日のこと。
練習も終わって、みんなで帰ろうという時だった。
「あ、雨が降ってきてる」
「本当か? ムギ」
ムギちゃんの言うとおり、窓には雨がいっぱいついている。
「私は折り畳み傘持っているから大丈夫です!」フンス!
「私も、持ってるわ」
ムギちゃんっていつも用意がいいなぁ。前もタオルとか、ヘアゴムとか持っていたし。
「あっ」
「どうしたの、あずにゃん?」
「傘、忘れちゃいました……」
カバンを探っていたあずにゃんが力なく言った。
「まったく、そういうのは持っておくものだ……」
「律、お前も忘れたな?」
「……何たることだ!」
「りっちゃん、人のこと言えないじゃん」
「うるさいなぁ、私は澪の傘に入れてもらうからいいも~ん」
「わっ、ちょっと! 狭いだろ!?」
「ちょっとつめていただけるかしら?」
「無理して入るな……!」
「いいじゃ~ん」
いいなぁ、2人とも楽しそうで。あんなにくっ付いて……。
あ、そうだ!
「ねぇ、あずにゃん」
「何ですか?」
「相合傘しようよ」
「えっ、いいですよ。先輩濡れちゃいますし」
ちょっと顔を赤くしたのは気のせいかな?
「帰る方向一緒だし、それにあずにゃんが濡れて風邪でも引いたら大変だよ!」
「そうですけど……」
「さぁ、遠慮せずに」
「じゃあ、お願いします……」
417 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 投稿日: 2010/11/17(水) 13:55:08 ID:wm6wAwqi0
ぴとっ
少し戸惑いながらもあずにゃんが寄り添う。
おぉ! これが相合傘かぁ! 何だかすごく楽しい!
「あずにゃん、もっとくっつきなよ」
「だ、だめですよ! 先輩が濡れちゃいます」
「私もそっちにくっつくから大丈夫だよ」
「で、でも……」
「そりゃ!」
「ひゃう!」
私はあずにゃんの肩を思いっきり抱いた。
「こうすれば濡れないよね」
「は、恥ずかしいです///」
「そんなことないよ、あっちだって」
りっちゃんと澪ちゃんだってあんなにひっついて、仲良さそうに帰っている。
「……余計に恥ずかしいです」
「え? そうかな。とてもいいと思うんだけど」
「私達もあんなこ……」
「こ?」
「……こ、子供みたいに見えているってことです!」
「そんなことないよ、子供っぽくないよ」
「だって、2人であんなにくっついて……本当にこ……子供みたいです!」
そう言うと、あずにゃんはそっぽを向いてしまった。
そんなに子供っぽいかなぁ……。むしろ、恋b……。
はは~ん、そういうことか。
「私は別に恋人みたいに見られてもいいと思っているよ?」
少しぴくって動いたけど、相変わらずあずにゃんはそっぽを向いたままだ。
「あずにゃんとだったら、別にいいよ。むしろ嬉しいというか……」
「そ、そんなこと言わないでください……」
「……嫌だった?」
あずにゃんは急に振りかえると、私に近づいて言った。
「恋人みたいじゃなくて、恋人がいいです」
そういうと、顔を真っ赤にしてまたそっぽを向いた。
「……あずにゃん、意外と大胆だね」
「い、言わないでください!」
恋人、か。何だか照れるなぁ///。
「あ~ぁ、ずっと雨が降らないかな」
「何でですか?」
「だって、雨だったらずっとあずにゃんと一緒だよ?」
「そ、それはそれで恥ずかしいです……」
それからしばらく、私達を離さないように雨は降り続けた。

あれからあずにゃんが傘をよく忘れるようになった。
今度はいつ相合傘できるかな。

END

続き筆者別


「うううぅ、寒いよ……」
「すみません、こんなことになってしまって……」
あずにゃんと相合傘をして帰ろうとしていたまではよかったんだけど……。
「まさかこんなに激しくなるなんて……」
さっきまでの雨がかわいく思えるほど激しく降っている。
あずにゃんに傘を貸してあげようと思ったんだけど、この雨じゃ帰るのは難しいかも。
「メールで憂も学校で雨が弱くなるのを待っているって言ってた」
「まだ、学校にいたんですね。帰ってこれるのかな」
「ちょっと心配だね。あ、あずにゃん、タオルどうぞ」
「ありがとうございます」
あずにゃん、本当にびしょびしょだ。服もこんなに透けて……。
透けて……?
な、何を考えているんだ、私は。
「……あ、お風呂とか入れたほうがいいかな」
「いいですよ、そこまでしてもらうと悪いです」
「いいよ、これで風邪でも引いちゃったら困るしね」
そういうと、私はあずにゃんが止めるのも聞かずにお風呂を入れに行った。
「……はぁ」
やっとあずにゃんから離れられた。
あんなに、その……色っぽいあずにゃんは初めてだ。すごくドキドキする。
あれ以上一緒にいたら……、何かしてしまいそうだった。
「何てこと考えてるんだろう……」
お風呂に溜まる水の音がとてもうるさく感じられる。

「あずにゃん、お風呂沸いたよ」
あずにゃんを呼びに行くと、リビングで髪をほどいてタオルで拭いていた。
すごく綺麗……じゃなくて! 早く入ってもらわないと!
「先輩が先に入ってください」
「だめだよ、あずにゃんが先に入りなよ」
「でも、待っていたら風邪ひいちゃいますよ?」
「そうだね……」
う~ん、どうしょうかな……。
「そうだ! 唯先輩」
「何?」
「一緒に入りませんか?」
「……はい?」
「そうすれば2人とも風邪引かないと思うんですけど」
「そ、そうだけど……」
あずにゃんと2人でお風呂……。あずにゃんと2人でお風呂……。
「さぁ、風邪引いちゃいますから早く行きましょう」
「う、うん……」
女の子同士だし、別に一緒に入ってもおかしくないよね……。
そう思っていたけど、脱衣所であずにゃんが制服を脱ぎ出した時にはもうだめだった。
「つ、冷たい……」
濡れているからなのか、動くたびにあずにゃんの香りがすごく広がる。
これはわざとなのかな……。誘って……そんなわけないか。そんなわけない!
「はぁ、温まりますね」
「そ、そうだね」
あずにゃんと湯船で2人っきり。この家にあずにゃんと2人っきり。
それだけでもう心臓がドキドキしっぱなしだ。
しかも、あずにゃんと時々触れる肌が私をさらにドキドキさせる。
「でも、こう気持ちいいと眠たくなりますね」
私はもうあずにゃんの話なんて聞いていなかった。
「あずにゃん」
「何ですか?」
「さっき、私と恋人同士がいいって言っていたよね」
「はい……言いました」
あずにゃんが少し照れて湯船に顔を沈める。
「それは私も同じなんだよ。なのに……」
「え、ちょっと!」
私はあずにゃんと向かい合って、そのまま抱きよせた。
「なのに、こんなに無防備でさ……」
「ゆ、唯先輩……」
顔がとても熱い。これはお風呂のせい? それともあずにゃんのせい?
あずにゃんもほっぺを赤くして、目も潤んでいる。
「私がどれだけ我慢しているかわかってる?」
「……」
「好きな子と2人っきりなんだから、こういうことしたいって思ってるんだよ」
「……いいですよ」
「!!」
あずにゃんが私を抱きよせてキスをした。
「……あずにゃん」
「わ、私だって……唯先輩と……その、したいって思っています」
もう、あずにゃんはすべてにおいて反則だ。こんなに可愛くて、こんなに私を誘惑してさ。
「もう、止められないからね」
「……いいですよ」

それからは、ただひたすらにお互いを求め合うだけだった。

END


  • 唯先輩が攻め、あずにゃんが受け -- (あずにゃんラブ) 2013-01-12 06:07:00
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最終更新:2010年12月03日 03:21