@部室への階段
律「さーってと、今日のお菓子はなにかなぁ~?」
澪「こら!練習が先だろ!」
紬「まぁまぁまぁまぁまぁまぁ。りっちゃん、今日は色んなベリーが乗ったチーズケーキよ」
律「おぉー!よっしゃ、さっさと練習終わらせてケーキ食べるぞー!!」
澪「全く……ちゃんと練習するんだぞ。ほら、唯と梓も先に練習始めて……ん?」
律「どーした?澪」
澪「シッ……」
唯『
あずにゃんが悪いんだよ!』
梓『唯先輩が悪いんです!!』
律「なんか……」
澪「険悪な感じがするな」
紬「どうしたのかしら……」
律「よし、入るぞ!」
紬「うん!」
澪「わかった!」
@部室内
唯「大体あずにゃんはいつもいつも……」
梓「唯先輩だってそうじゃないですか!!さっきだって……」
律「はーい、そこまでそこまでー」
澪「二人とも……何があったんだ?」
紬「どうして喧嘩をしているの?」
唯「みんな……」
梓「先輩……」
唯「聞いてよ!あずにゃんがね!」
梓「唯先輩がいきなり!」
律「ストーップ!!!取り敢えず落ち着け。んで……唯、ちょっとこっちに来て」
澪「じゃぁ私は梓だな。ついて来てくれ」
@部室の外
律「なぁ……唯があれ程怒るなんて珍しいけど……何があったのさ?」
唯「りっちゃん……あのね……」
@音楽室
澪「なぁ……梓があれ程怒るなんて珍しいけど……何があったんだ?」
梓「澪先輩……あのですね……」
@部室
紬「あ、おかえりなさーい。お茶の準備しておいたわよ」
澪「ありがとな、ムギ」
律「おー、ムギサンキュー!」
唯「……」
梓「……」
紬「それで?喧嘩の理由はわかったの?」
澪「まぁ……な。律は?」
律「うん……まぁね」
紬「で?で?どんな理由なの?」
律「……唯、ちゃんと話すんだぞ」
唯「うん……あずにゃんが憂に抱き着いた」
梓「だ、だからあれはそうじゃなくて……」
澪「梓」
梓「あ……すみません……」
紬「それで?あずさちゃんの理由は?」
梓「……唯先輩が……純に抱き着いたんです」
唯「だってそれは……」
律「はいはいはいはい、お互いに言い分はあるだろうけど、少し黙って相手の言い分を聞こうか。じゃぁ……梓、なんで憂に抱き着いたんだ?」
梓「えっと……私と憂と純の三人で廊下を歩いている時に、唯先輩がいきなり後から驚かせたんです……それで、つい……」
紬「そうなの?……それじゃ、唯ちゃんはどうして?」
唯「あずにゃんが憂に抱き着いたら……なんかわかんなくなっちゃって思わず……」
澪「……という事は……唯は嫉妬して思わず純ちゃんに抱き着いた……と」
唯「嫉妬?」
律「あぁ、嫉妬だな、そりゃ」
梓「……何に嫉妬したんですか?」
紬「憂ちゃんにじゃない?梓ちゃんが抱き着いたから……」
唯「私が?憂に?」
澪「どう考えてもそれ以外無いと思うがな。……そして、梓は純ちゃんに嫉妬したと」
梓「へっ?私が!?どうしてそうなるんですか?」
律「どうもこうも……明らかにそうだと思うんだけど」
紬「ねぇ、唯ちゃん梓ちゃん。その時……どんな気持ちだったの?」
唯「なんだか……とっても……嫌だった」
梓「……私もです……」
澪「それを『嫉妬』って言わないで何て言うんだ?」
唯「……そっか、私、嫉妬してたんだ……」
梓「……私も……嫉妬していたんですね……」
律「さ、もう良いだろ?理由もわかったんだし、ちゃんと仲直りしよう。な!」
唯「うん……あずにゃん、ごめんね……」
梓「私こそ……唯先輩……すみませんでした……」
紬「さ、仲直りしたところで……お茶にしましょうか」
律「おー!ムギ、ナイスタイミング!!」
澪「そうだな……一息入れてから練習始めるか」
紬「今日のケーキは、名付けて『ベリー5ケーキ』よ」
唯「べりぃ……ふぁいぶ?」
紬「そう。ストロベリー・ラズベリー・ブルーベリー・ワイルドストロベリー・ブラックベリーの五つだから『ベリー5』」
澪「へぇ……面白いな」
律「面白い?」
澪「あぁ。ベリーが五種類、それぞれに違う味だけど……一緒に食べるととても素晴らしい味のハーモニーが広がる」
梓「あ、それって……」
紬「そう。まるで私達みたいでしょ?だから持ってきたのよ」
梓「じゃぁ、ストロベリーは……唯先輩ですね。甘くて……ちょっぴりすっぱくて……どんな時でも常に自己主張しているけど、居ないとなんだか物足りなくて……」
唯「あずにゃ~ん……恥ずかしいよぉ……。じゃぁ、あずにゃんは……ラズベリーだね!すっぱいけれどそれは嫌なすっぱさじゃなくて、一緒に食べる物の甘さを引き立てるすっぱさ!」
梓「すっぱいだけですか……」
唯「あ、でも香りも良いよ!あずにゃんみたいに……い・い・か・お・り♪」
梓「や、やめてください……恥ずかしいです……」
律「んじゃぁ、澪は……ブルーベリーだな。甘味も香りも控えめだけど、あると全体がまとまる感じ」
澪「律は……ワイルドストロベリーかな?」
律「なんで?」
澪「……ほのかな酸味が……その……律っぽくて……」
律「……なんか……恥ずかしいな……」
紬「じゃぁ私はグースベリー?」
澪「そうだな。……ラズベリー程では無いけど酸味があって……甘味も少しあって……」
唯「なんだか、色んなベリーの『
お手伝い』をしている感じだね~」
律「『お手伝い』か……うん!ムギにピッタリだな!」
紬「そうかしら?」
澪「そうだな。今回も私達に唯と梓の事を任せて、自分は裏方でお茶の準備をしてくれたしな」
紬「……なんだか……照れちゃうわ……」
澪「この味は、一つかけたらもう成り立たない……五つで一つの味……。私達も同じ、一人でもかけたら……」
律「そうだよな、私達も成り立たないよな!五人で一つのバンド、『放課後ティータイム』だもんな!」
紬「そうね!だからみんな仲良く……、今日もお茶しましょう!」
唯「おぉ~良いこと言うねぇ~、ムギちゃん」
梓「でも、そのあとはちゃんと練習しますよ!」
律「そうだな!なんだか今日は目一杯ドラム叩きたい気分だし……よし!お茶が終わったらしっかりと練習するぞ?」
一同「おー!!!!!」
おしまい!!
おまけ
唯「あずにゃん……あーん」
梓「なんですか?」
唯「ストロベリーあげるよ。仲直りのしるしだよ~」
梓「あ、ありがとうございます……あむっ」
唯「あぁっ!私があずにゃんに食べられたぁ~」
梓「……!!そ、それを言いたいが為に……じゃぁ、私からはラズベリー、どうぞ」
唯「わーい!……あむっ。……へへっ、あずにゃんたべちゃった~」
梓「ちょっ!!ゆ、唯先輩!変な事言わないで下さい!!」
ほんとにおしまい!!
最終更新:2010年12月10日 13:53