「あずにゃ~ん、お風呂あがったよ~」
唯先輩の声が聞こえる。けど、今は無視です。
「……あれ? あずにゃん?」
床が軋む音が少しずつこっちに近づいてくる……。
「寝ちゃってるの……か」
今、私はソファの上で寝ていることになっている。
何故かって? だって、唯先輩ったら2人っきりになると何もしてこないからちょっと焦れたというか……。
まぁ、私からしてもよかったんだけどあの唯先輩だし、不安になったのでこんな風に誘ってみることにした。
ものすごく優しい声音で、唯先輩が呟く。
「……」
ゆっくりと私の頭を撫でる。
「梓……」
いつもと違う呼び方をされて、ちょっとドキッとしちゃったよ……。
このまま行けば今の関係から少しは進展があるかも……!
「こんなところで寝ちゃってさ……」
み、耳の裏、指でなぞらないで下さい……! ひゃう!
うううぅ……! これは予想外に気持ちよすぎる! か、感じてるのかも……。
一通り撫で終わった後、唯先輩が少し離れていった。
何処に行ったんだろう……。
ぎしっ……。
あ、戻ってきた。
「うふふ……」
耳元で唯先輩が笑う。
ゆっくりと肩から腰にかけてを撫でる。
「梓は本当に無防備というか、何というか……」
ま、まずい。自分で仕掛けておいて何だけど本当にドキドキする!
目を瞑っているせいかいやでも唯先輩が触れているところを意識しちゃって、いつも以上に敏感に感じる。
「梓……」
あああぁ……! く、来るの? 来ちゃうの?
ぱさっ。
……あれ? 何、これ?
「おやすみなさい、梓」
どうやら唯先輩が毛布をかけてくれたようだ。
「……」
……ちょっと唯先輩を誘うと考えていた自分が恥ずかしくなってきました。
唯先輩は相手の許可なしに襲うような人じゃないよね……。
やっぱり、唯先輩は優しい……。

ちゅっ。
「!?」
ほっとしたのもつかの間。唇に柔らかい感触がやってきた。
「んっ……、ちゅ……」
数秒のキス。
それだけで私の体はかちこちに固まってしまって、何もできなくなる。
ふ、不意打ちでこんなことするなんて……!
「んっ? あずにゃん……」
唯先輩がゆっくりと離れると、何やら不満そうな声が……。
「……もしかして、起きてる?」
「!?」
あれ? ばれちゃった?
「もう、顔真っ赤だよ?」
それでも、意地でも目を瞑って寝続ける。
「もう、ちゃんと起きて?」
は、恥ずかしくて起きられるわけないじゃないですか!
無意味と思っても抵抗を続ける。
「……梓、起きて?」
「!?」
またもや唇に柔らかい感触がぁ!
「ちゅ……、れろ……」
「んんっ!? んぅ……」
し、舌が! 唯先輩の舌がぁ!
「……ぷはぁ。お目覚めですか? 梓姫」
「はぁっ……」
ぽーっとして目を開けると、唯先輩の笑顔があった。
「い、いきなりディープキスだなんて……」
「だって、眠れるお姫様は愛する人のキスで目覚めるんだよ?」
「まったく、そういうことを恥ずかしげもなく言って。どれだけ私のことをドキドキさせれば気が済むんですか!」
ちょっと八つ当たり気味に唯先輩に言う。
でも、唯先輩はちっとも動じずに笑っている。
「じゃあ、これからもっとドキドキさせてあげようか?」
「えっ……?」
そう言って近づいてくる唯先輩を私は止められず、そのままリビングで一夜を明かした。



END


名前:
感想/コメント:

すべてのコメントを見る

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2011年03月10日 23:09