「いいのかな、りっちゃん」
「大丈夫、大丈夫。それに唯が言ってきたことだろ。梓の気持ちが知りたいって」
「それはそうだけど・・・・」
「そんなに心配しなくても大丈夫じゃないかしら。
前に聞いた時も、特別に飲めないって言ってなかったですし」
「そうかな、ムギちゃん」
「まあ、なるようになるだろ。・・・・・そろそろ来るぞ」

こんにちは、中野梓です。今、私は、澪先輩、憂、純、和先輩とムギ先輩の
所有する自宅のひとつに向かっています。
何故なら、今日は、けいおん部のみなさんと憂、純、和先輩と
ムギ先輩の自宅の庭でお花見をするからです。本当は唯先輩と一緒に来たかったのです
が、準備があるからと、律先輩、ムギ先輩と一緒に先に行ってます。
何で、お花見をするのかというと、一週間前に突然、律先輩から連絡が
あったからです。
「それにしても、どうして急にお花見なんだろうな」
と、澪先輩。仲間外れにされて、ちょっと不機嫌そうです。
「まあ、いいじゃない。今日は天気もいいし」
「そうだね。あ、もう着いたみたいだよ」
そんなこんなで、お花見を行うところに着きました。そして、執事さんに案内され、
唯先輩達のいるところに来ました。
「あ~ず~にゃ~ん」
唯先輩が私に抱きついてきます。まあ、いつものことですが、何度経験しても
胸がドキドキしますね。
「もう、やめてください」
私は努めて冷静に言います。。本当はずっと抱きしめられたいのですが・・・・
まあ、皆さんも見ていますしね。自重しないと。
「む~、いいじゃん。私達、恋人同士だし」
「それとこれとは別です」
「もう、あずにゃんたら照れ屋なんだから。まあ、いいや。こっちだよ、あずにゃん」
唯先輩は私の手を引っ張り、シートに座ります。ほかの皆さんも、
遅れて、シートに座ります。そして、みんなが座ったのを見計らい、
「では、これより、お花見をはじめたいと思います」
と、律先輩の音頭で始まりました。目の前には美味しそうな料理に綺麗な
桜と、まさにいうことなしですね。
「ねえ~、ねえ~、あずにゃん。これ飲まない?あずにゃんのために用意し
たんだけど・・・・、あ、嫌なら、いいんだよ」
と、唯先輩が不安そうに聞いてきます。唯先輩が持っているコップの中身は
普通のジュースのようです。まあ、唯先輩が私にくれるものなので、喜んでもらいますが。
「ありがとうございます、唯先輩。では、飲まさせていただきます」
そう言って、コップに口を付けた。

こんにちは、平沢唯です。今、あずにゃんは私が渡したお酒を口にしています。
何故、こんなことをしたのかというと、一週間前の出来事がきっかけです。

その日、私は、りっちゃんとムギちゃんと喫茶店でお茶をしていました。(澪ちゃんは
用事で来れないそうです。)そこで私はりっちゃん達に悩みを相談していました。

「・・・・・・・はあ」
「む、失礼だよ、りっちゃん。人が一生懸命悩みを話しているのに」
「・・・・・・悩みを相談してくれるのはいいんだよ。でもな、いつの間にか、
梓の可愛さ、というか、のろけ話を二時間も聞かされるこっちの身にもなってくれ」
そういえば、喫茶店にお茶してから結構な時間がたってます。まあ、これも、
あずにゃんが可愛い過ぎるのがいけないんだよ。
「で、悩みってなんだっけか?」
「そこから?まったくりっちゃんてば、人の話をちゃんと聞かなきゃだめだよ」
「いや、だからな。・・・・まあ、いいや。私が悪かったから続けてくれ」
「分かったよ。実はね、あずにゃんの方から、私のことを好きって言ってくれないの。
もちろん、私から言ったら、答えてくれるけど」
「・・・・・で、それがなんの悩みになるんだ?単純に照れくさいだけだろ。それに、
唯が言えば答えてくれるんだろ」
「問題大有りだよ。あずにゃんはとっても優しい子だから、私に気を使って、私に
あわせてるだけかもしれないじゃない。それにあずにゃんはとっても可愛いからね、
他の子だって、きっとほっとかないよ。それに・・・・・・」
「それに?」
「私はね、あずにゃのほうからが照れながらというか、顔を赤く染めて、
「唯先輩、だ、大好きです」って、照れながら言ってほしいんだよ!!」
「・・・・・・・なあ、帰っていいか?」
「もう、りっちゃんは冷たいな~。少しはムギちゃんを見習いなよ」
「・・・・・・・ムギは何してんだよ」
「何って、唯ちゃんの話をノートにメモしてるだけよ。それよりも、唯ちゃん。さっきの話
を総合して考えるとつまり、唯ちゃんは梓ちゃんに本当に愛されてるか不安なのよね」
「うん、そうだよ。さすがはムギちゃん!」
「ありがとう、唯ちゃん。それで、私にいい方法があるの」
「いい方法?」
「お酒が入ると普段気の弱い人でもと愚痴っぽくなったり、乱暴になったりして、その人
の本性が出る人もいるわ。そこで、梓ちゃんにも、お酒を飲ませて、本音が出るか確かめるのよ。
もしも、唯ちゃんが嫌いなら、そのときに態度に出ると思うわ」
「でも、あずにゃんは未成年だし、飲酒はいけないんじゃないかな?」
「大丈夫よ、唯ちゃん。世の中には、愛のために十二次元宇宙を統一させようとする人が
いたし、愛する人との好感度を上げる為に別の女の子を紹介して、その子から
奪い取るような人もいるのよ。確かに、梓ちゃんを騙すことになるかもしれないけど
それも愛のためよ」
「ムギ、お前は何を言ってるんだ。なあ、唯?」
「そっか、ムギちゃん。愛のためなら仕方がないよね」
「唯、お前も?!」
正直、ムギちゃんが言ってるかはまったく分かりませんでしたが、これも、あずにゃんとの
愛を確かめるためなのです。
「・・・・・仕方がないな。私も協力しよう」
その後、皆で話し合って、今回のお花見が計画されました。
そして、今、あずにゃんはお酒を口にしています。緊張の瞬間です。そして、飲み干すと、
あずにゃんは、私にコップを向け、
「美味しいですね。もう一杯ください」
「え、う、うん分かったよ」

そして、もう一杯、あずにゃんは飲み終えると、
「・・・・・・ヒック、唯しぇんぱ~い。いったい、何を飲ませたんでしゅか?」
おお、早速、酔い始めました。呂律がまわっていません。
「唯シェンパ~イ、だいしゅきですよ~」
と、ぎゅっと私に抱きついてきます。おお、こ、これは・・・・・・。
「唯シェンパイ分補給~、後、頭もなでなでしてくりゃさい」
と、私の胸で頬ずりを始めます。も、もう、私はだ、だめかもしれません・・・・。
「お~い、戻ってこーい」
          • は。危なく、このまま、理性を失いかけました。周りの皆は突然のあずにゃん
の変わりぶりに少し、引き気味です。
「お、おい、梓になに飲ませたんだ」
「なにって、えーと、お酒」
「何を飲ませてるんだ、お前は」
「いや、私が飲ませたわけじゃないだろ」
あっちで、澪ちゃんとりっちゃんが揉めているようですが、今の私はそれどころじゃありません。
しばらく、周りの生暖かい目の中で、あずにゃんは私をぎゅ~と抱きつつ、胸を頬ずり
をしています。それで、ひとしきり堪能したのか、私から離れました。
            • 少し寂しいです。あずにゃんは私から離れて、皆のほうを向き、私の膝の上に
乗ります。・・・・・・えっ。
「なんでしゅか、唯シェンパ~イ。いやなんでしゅか」
「え、ううん。大丈夫だよ」
そういうと、嬉しいそうな顔をして、皆のほうを向きます。
「では、これより、第一回私、中野あぢゅさの恋人でありゅ、世界で一番可愛い平沢唯シェンパイ
にふさわしいコシュプレとは何かを考えりゅ会を始めたいと思いましゅ」
「やだな~、あずにゃん。世界一可愛いなんて言い過ぎだよ」
「いや、突っ込むとこそこじゃないだろ」
そういえば、こんなやり取りを少し前にもやった気がします。
「では、まぢゅは憂から」
「え、わ、私から?そ、そうだね。う~んと、お姉ちゃんはなんでも似合うんじゃないかな」
「うむ、さすがは憂でしゅ。未来の義妹でしゅね」
「そ、そう。ありがと」
「次は律シェンパイ」
「わ、私?今の憂ちゃんと同じでいいよ」
「何を言ってますか?!例えば、でしゅね、集団面接で前の人と同じです、以上です
と言って採用されますか。まったく、これだから、律シェンパイは・・・・」
「なあ、怒っていいか?」
「もういいでしゅ。じゃあ、澪シェンパイは」
「無視かよ・・・・・」
「え、私?急にいわれてもな、思いつかないよ」
「澪シェンパイもですか。まったく、そのでっかい胸は飾りですか。頭にじゃなくて、胸に
栄養がいってるですか。少しは私にも、分けてくだしゃいな。そうすれば、もっと唯シェンパイ
を満足させることができましゅ」
「もう、あずにゃんはこのままでいいんだよ。だって可愛いんだもん」
「そうでしゅか、唯シェンパイ。ありがとうございましゅ」
「なあ、律。もう帰っていいか?」
「奇遇だな、私もそう思った」

「みなしゃん、まったく駄目駄目でしゅね。ここは議長の私の権限で、裸エプロンということで
決定いたしましゅ。よろしいですか?」
そっか~、裸エプロンか~。・・・・・・・・・・えっ。
「あずにゃん、さすがにそれは恥ずかしいよ」
「だいじょうぶれしゅ。とっても似合いましゅよ」
「いや、そういう問題じゃなくてね」
「だいじょうぶれしゅってば。そんなことよりもでしゅね。唯シェンパイ分が切れてきたので
補充させていただきましゅね」
そう言って、私の胸に顔をうずめて抱きしめてきます。今日はとっても幸せな日です。

こんにちは、再び、中野梓です。
どうですか。私の名演技(?)は。そもそも、律先輩や唯先輩が私を出し抜ける
はずがないのです。・・・・・・・まあ、運が良かっただけですが。
実は、律先輩からの誘いの後にムギ先輩から連絡がありました。
「りっちゃんと唯ちゃんがね、梓ちゃんを酔わせて、恥ずかしいコスプレをさせようと
しているのよ」
「はあ、そうなんですか」
まったく、あの二人は・・・・・。唯先輩が頼めば、こんなまわりくどいことしなくても、
やってあげますのに。
「そういえば、どうして、そのことを私に言ってくれるんですか?」
「そうね、前に迷惑をかけっちゃったし、そのお詫びかしらね。あ、私から聞いたって
誰にも言わないでね」
「分かりました」
さてどうしたものでしょうか。お酒を飲まされるのが分かったので、断るのが良いでしょうが
断って、がっかりさせるのも嫌ですね。恋人としてがっかりしている顔は見たくありません。
その時、ある考えが頭をよぎりました。
「ムギ先輩、私にコスプレをさせたいということは、近くにコスプレ衣装もあるんですか?」
「?あるけど、どうして?」
「あ、いえ、せっかくの忠告ですけど、唯先輩を悲しませるのも悪いので、一応、お酒を
飲ませてもらうので、その際にはフォローをよろしくお願いしますね」
「ふふふ、分かったわ。ではまた、当日にね」
「はいっ!!」
というわけですね。それから、私は酔っ払いの演技を練習して、今に至るわけですね。
お酒二杯でこんなに酔うはずないじゃないですか。え、なんでこんなことをしたかって。
目的は二つですね。まず、一つ目は酔いに任せて、唯先輩に、甘えたり、抱きついたり
などのスキンシップをすることですかね。
普段の私のキャラではありませんからね。それに恥ずかしいいですし。
まあ、酔いに任せてなんて情けない、とは言わないでくださいよ。いきなりキャラ
を変えたら嫌われちゃうかもしれませんしね。
もう一つの目的は唯先輩に恥ずかしいコスプレをさせることです。え、唯先輩に頼めば、
してくれるだろうって。まあ、そうでしょうね。でも、前に、私は、雛祭りに
唯先輩にバニーとかのコスプレをさせられましたからね。いわば、仕返しですね。
断じて、恥ずかしがって、上目遣いで頬を染めて、「ど、どうかな、あずにゃん」
という唯先輩が見たいわけではありません。誤解しないでくださいね。
「さあ~、唯シェンパイ、お着替えちまちょうね~」
「ちょ、ちょっとまてってばあずにゃん」

「なあ、どうするんだよ、ムギ。梓がこんなに酔うなんて想定外だぞ」
ふん、はじめに私をはめようとした、律先輩たちが悪いんですからね。
「大丈夫じゃないかしら」
「なんでだよ」
「だって、梓ちゃんはお酒には酔ってないもの」
そうですよ。私はお酒に酔っていま・・・・・・・あれ?
「そうね、しいていうなら、名演技をしていると思ってる自分に酔っているか、唯ちゃんに
酔っているのか、はたまた、両方じゃないかしら」
「どういうことだよ」
「りっちゃん、未成年はお酒も飲んじゃいけないし、勧めてもいけないのよ」
「いや、それはムギが・・・・ま、いいや、つづけて」
「実はね、梓ちゃんに飲ませたのはこれよ」
「これか。・・・・・・ノンアルコール?」
「そうよ。もし、気分が悪くなったりしたら、大変でしょ?」
なんて、余計な気遣いなんでしょうか。いやムギ先輩の優しさ(?)は有難いんですけど。
でも、どうしてでしょうか?冷や汗が止まりません。
「じゃあ、梓は何でこんな状態なんだ?」
「さあ、唯ちゃんの事が大好きだからじゃないかしら。普段は恥ずかしくて甘えたりとか
抱きついたりとかできないから、酔いに任せてみよう、と考えたんじゃないかしら?」
もう、やばいです。か、帰らないと。
「そうだったんだね、あずにゃん。あずにゃんの気持ちを疑ってごめんね。でも、お酒の
力なんか借りなくても、甘えたり、抱きしめたりしてもいいんだよ」
と、ぎゅっと抱きしめてきます。その行為はとっても嬉しいのですが、一刻も早くこの場を
離れないと・・・・。
「つまり、コスプレとかも、梓が見たかったわけか。でも、唯なら頼めば、着てくれそうだが」
「そこはほら、りっちゃん。恥ずかしそうにしながら、自分のためにコスプレをしてくれる
唯ちゃんが見たかったとかじゃない?」
「なるほどな。・・・・・・それにしても、愛されてるな~唯は」
「いやだな~、照れるよ、りっちゃん」
「そうだ。私、今の梓ちゃんの名演技(?)を偶然撮影してたの。よかったら、皆で見ない」
「うん、そうだな、見てみるか。もしよければ、唯と梓の結婚式(?)にでも流すか」
「そうだね~。じゃあ、一緒に見ようか、あずにゃん」
何を言ってるんでしょうか、この人たちは。唯先輩の妹や幼馴染と言う立場から、唯先輩を
説得してください、と憂達のほうを見ると、
「それにしても、唯はこんなに愛されるなんて幸せね」
「そうだね、和ちゃん」
「唯先輩、梓、お幸せにね」
なにを言ってるんですか、あなた達は。もう、こうなれば、澪先輩しかいません。
「ごめんな、梓。私は胸ばかりに栄養がいってるからな、梓を助けること
はできないんだ」
どうやら、さっきの事を根に持っていらっしゃるようです。く、まさしく四面楚歌といった
ところでしょうか。
「どうしたの、あずにゃん?さあ、いこっ」

「ちょっと、待って下さい。急に用ができたので、帰らせて・・・・ああ、
そんな泣きそうな顔をしないで・・・、分かりました。行きますから、
でも、ちょっと、心の準備を、ああ、引っ張らないで・・・・
にゃあああああああああああああああああああ」
翌日、ある喫茶店にて
「どうして、あんなことをしたんだ、ムギ」
「あら、私、言わなかったかしら。愛のためなら、なんでもするべきだって。たとえ、
私が嫌われたとしても。これも、唯ちゃんと梓ちゃんの愛を確かめて、守っていくためよ」
「私達に言わなかったのは?」
「敵をだますには味方からというでしょ。演技をしないのが最大の演技なのよ」
「なるほどな。・・・・・これで、梓ももう少し素直になるといいな」
「そうね」
「(もう、こんな、ごたごたは嫌だしな)」
「(多分、無理じゃないかしらね)」

翌日、学校にて
「昨日は大変だったわね、梓」
「昨日?なんのこと?」
「え?だから、皆でお花見し・・・・」
「私はずっと家に居たよ。ねえ、憂、昨日、私と会ってないよね」
「え、えーとそうだったかな」
「うん、そうだよ。ずっと、家に居たもの。決して、酔っ払ってる振りをしたり、
それをカメラで撮られたりしてないよ」
「「(なかったことにしてるよ、この子)」」


  • ムギGJ -- (名無しさん) 2011-03-31 05:38:41
  • 十二次元の統一は遊○王GXのユ○ルなのは解ったけど後者は誰? -- (名無しさん) 2012-01-25 09:04:09
  • あずにゃんが上手だったね -- (あずにゃんラブ) 2014-01-02 00:39:52
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最終更新:2011年03月23日 22:56