唯「今日は4月1日!そう、エイプリルフール!」
唯「一年に一度だけ、嘘を吐いても良い日なんだよねー」
唯「早速やるぞー!まずは憂に嘘を吐いちゃおう!」
唯「うーいー」
憂「なぁに、お姉ちゃん?」
唯「憂のお気に入りのカップ割っちゃった!」
憂「えっ?」
唯「ごめんね、憂」
憂「いいよいいよ、それよりお姉ちゃん怪我しなかった?」
唯「うん、私は大丈夫だよ」
憂「良かったぁ…それで割れたカップは?掃除しないと」
唯「ここにあります!」
憂「あれ、どこも割れてないよ?」
唯「ふふふ、憂!今日は何の日でしょう?」
憂「今日?今日は…あ」
唯「むふふ」
憂「エイプリルフールかぁ~」
唯「今日は嘘を吐かないといけない日だよ、憂!」
憂(エイプリルフールは嘘を吐いてもいい日であって、嘘を吐かないといけない日ではないんだけど…まぁ、いっか)
梓「春休みなのは良いけど、唯先輩に会えないのは辛いなぁ」
梓「新学期が始まるまでまだ一週間近くあるし…」
梓「唯先輩に電話でもしてみようかな?」
梓「今日は天気も良いし、何処か一緒に出掛けようって誘ったりして…」
梓「そんでもって、告白とかしちゃったり?」
梓「…」
梓「私ったら、何を考えてるんだろ…唯先輩に会えないからってちょっと暴走してるかも」
ピロリロリン♪
梓「あれ、純からメール?」
梓「…え?」
純『昨日、唯先輩が知らない男の人と楽しそうに歩いてたよ!梓、このままじゃ唯先輩を取られちゃうかも知れないよ!』
梓「え、え…唯先輩が男の人とデート?」
梓「そんな、嘘でしょ…」
トゥルルル~
梓「電話…唯先輩?」
ピッ
唯『もしもし、あずにゃん?』
梓『ゆ、唯先輩…』
唯『あれ、どうかしたの?何か声が上擦ってるみたいだけど』
梓『な、何でもありません…それより、私に何か用ですか?』
唯『えっとね、用って言うかあずにゃんに伝えたい事があるんだよ』
梓『私に…伝えたい事?』
唯『うん、あのね…』
梓『…』
梓(伝えたい事ってもしかして…純がメールで言ってた男の人との事?)
唯『あのね、あずにゃん』
梓(嫌だ、聞きたくない!唯先輩が他の誰かと付き合うなんて絶対に嫌!)
唯『実は…』
梓(もう遅いかもしれないけど、今を逃したら二度と私の気持ちを唯先輩に伝えられない)
梓『ま、待って下さい!』
唯『へ?』
梓『…私から言わせてください』
唯『あずにゃんから?』
梓『はい、私から…』
唯(はは~ん…さては、あずにゃんも嘘を吐く気だね…ふふふ、私は騙されないよ!)
唯『良いよ、あずにゃんからどうぞ』
梓『はい、私はずっと…』
唯『…』
梓『ずっと、唯先輩の事が好きでした!』
唯『…え?』
梓『もし唯先輩が私と同じ気持ちなら、11時に桜ヶ丘公園まで来てくれませんか?』
唯『え、あの…ちょっとあずにゃん?』
梓『失礼します!』
ツーツーツー
梓「…」
梓「遂に言っちゃった…」
梓「…唯先輩、来てくれるかな」
唯「…」
唯「あずにゃん、どう言う事なの?」
唯「今日はエイプリルフールなんだよ、今日は嘘を吐かないといけない日なのに…」
唯「つまり、あずにゃんは私の事が嫌い…って事だよね?」
唯「…」
唯(私が悪いんだ…私が嘘ばかり吐いてたから、きっと罰が当たったんだ)
唯「あずにゃん、嫌だよぉ…」
憂「お姉ちゃん、どうしたの!?」
唯「うーいー、あずにゃんに嫌われちゃったよぉ~」
憂「え、梓ちゃんがお姉ちゃんを嫌いって言ったの?」
唯「今日はエイプリルフールなのに、あずにゃんが私の事を好きって…」
憂「…」
唯「うわ~ん」
憂(これってお姉ちゃんの
勘違いだよね…多分、梓ちゃんはエイプリルフールなんて考えずにお姉ちゃんに告白したんだ)
憂「ねぇ、お姉ちゃん…梓ちゃんが言ったのはそれだけ?他には何も言わなかった?」
唯「私もあずにゃんと同じ気持ちだったら、桜ヶ丘公園に来てって…」
憂(やっぱり!梓ちゃんの気持ちは本物、そしてお姉ちゃんもきっと同じ気持ち…なら、私がすべき事は一つ!)
憂「お姉ちゃん、桜ヶ丘公園に行かなきゃ!」
唯「駄目だよ、憂…だって、私はあずにゃんが大好きだもん!あずにゃんと私の気持ちは違うんだもん!」
憂「そんな事ないよ、梓ちゃんもきっとお姉ちゃんの事が大好きだよ」
唯「今日はエイプリルフールなんだよ?嘘を吐かないといけない日なのに、それなのに…」
憂(やっぱり、嘘を吐かないと駄目って勘違いしてる…さっき、私がちゃんと訂正してればこんな事にならずに済んだのに)
憂「…」
憂(お姉ちゃんに嘘は吐きたくないけど…)
憂「お姉ちゃん、今日はまだ3月31日だよ」
唯「…え?」
憂「お姉ちゃん、もしかしてエイプリルフールだと思ってた?」
唯「え、え?そんな、今日は確か4月1日のはず…」
憂「ほら、あそこのカレンダーを見て?」
唯「カレンダー?…あ!」
憂(この部屋の日めくり、まだめくってなくて良かった…)
唯「本当だ、今日はまだ3月31日だったんだ」
憂「ね?じゃあ、梓ちゃんが言った言葉の意味は…」
唯「…あ!」
憂「お姉ちゃん、急がないともう時間がないよ」
唯「本当だ、もうこんな時間!憂、私行って来るね!」
憂「うん、梓ちゃんに宜しくね♪」
唯「ありがとう、憂!いってきま~す!」
憂「…ふぅ、良かった」
梓「11時10分…」
梓「振られちゃった…のかなぁ」
梓(さっきは勢いで告白しちゃったけど、我ながら無茶だったかな…)
梓「そりゃそうだよね、だって唯先輩には好きな相手が居るんだもん」
梓「あはは、馬鹿だな私…」
梓「…うぅ」
梓「やだ…ひっく…唯せんぱぁい…」
唯「あずにゃん!」
梓「え?」
唯「はぁはぁ…あずにゃん、遅れてごめんね」
梓「唯先輩…何で?」
唯「私もあずにゃんと同じ気持ちだからだよ」
梓「…嘘」
唯「嘘じゃないよ!だって、今日はまだ…」
梓「唯先輩!」
ガバッ
唯「あずにゃん…よしよし♪」
梓「嬉しいです、唯先輩」
唯「私も嬉しいよ、あずにゃん」
梓「…でも、時間に遅れたのは許せません」
唯「ごめんね、ちょっと色々あって…」
梓「色々ってなんですか?」
唯「エイプリルフールがね、勘違いでその…」
梓「エイプリルフール?ああ、そう言えば今日でしたね」
唯「え、今日は3月31日だよ?」
梓「何を言ってるんですか…今日は間違いなく4月1日ですよ、ほら」
唯「…」
梓「どうしたんですか?」
唯「…じゃあ、あずにゃんの告白はやっぱり嘘だったの?」
梓「はぁ?馬鹿な事を言わないで下さい!」
唯「え、でも今日はエイプリルフールで…」
梓「もう、唯先輩の馬鹿!こんな大事な事を嘘で言う訳ないじゃないですか!」
唯「じゃあ、本当に?」
梓「疑り深い人ですね…もう、特別ですよ?」
唯「…え?」
チュ
梓「…これで、信じてくれますか?」
唯「うん、あずにゃん」
梓「本当に世話が焼ける人なんですから」
唯「えへへ…ごめんね、あずにゃん♪」
唯(そっか、憂…私の為に嘘を吐いてくれたんだね)
梓「あ、そうだ唯先輩!昨日一緒に居た男の人って一体誰なんですか!?」
唯「男の人って、それ何の話?」
梓「何の話って、純が唯先輩を見掛けたって言うメールを…って、まさか!」
唯「どうしたの、あずにゃん?」
梓「やっぱり、あの後にもう一件メールが来てる…」
純『な~んちゃって…今日はエイプリルフールだよん♪騙された?』
梓「…純の奴ぅ~!」
唯「あはは、あずにゃん騙されちゃったんだね」
梓「笑い事じゃないですよ!このメールのせいで私がどれだけ…!」
唯「そうだね、純ちゃんには感謝しなくちゃね」
梓「感謝って…」
唯「だって、純ちゃんのメールのおかげで私達は結ばれたんだもん♪」
梓「そ、それはそうですけど…何か純にうまく乗せられたみたいで悔しいです」
唯「じゃあさ…純ちゃんにもちょっと驚いて貰おうか?」
梓「え?」
唯「ほら、あずにゃん携帯貸して」
梓「ゆ、唯先輩?」
唯「はい、チーズ♪」
チュ
梓「な、な、な…」
唯「私達、付き合う事になりました♪…はい、送信っと♪」
梓「ゆ、ゆ、ゆ…」
梓「唯先輩の馬鹿ぁ~!!」
ピロリロリン♪
純「あ、やっとメールの返事来た…中々返って来ないからやり過ぎちゃったかなって心配しちゃったじゃない」
唯梓『私達、付き合う事になりました♪』
純「…」
純「は?」
純「え、何これ?エイプリルフール…じゃないよね、キスまでしちゃってるし」
純「…」
純「なるほどね、『嘘から出た真実』って訳か」
純「さて、と…それじゃあ、二人に祝福のメールでも送っときますか♪」
おしまい!
- 純の活躍により(嘘ついただけだけど。) 2人が恋人同士になりました。 -- (あずにゃんラブ) 2013-01-10 00:57:27
最終更新:2011年04月04日 17:58