今日部室に一番乗りで来たのは私こと中野梓
鞄を置いて先輩達が来るのを待っていようと思っていた矢先に先程の台詞である
最初に現れたのは唯先輩だ
梓「唯先輩こんにちは、私に何か用でもあったんですか?」
唯「ほら、今月号が出たんだよー♪」
そう言って鞄から出したのは一冊の雑誌
唯先輩が毎月買っている月刊の漫画雑誌だ
梓「また買ってきたんですか、先輩その雑誌で読んでる漫画って一つしかないんですよね?」
唯「そうだよ?」
梓「それって勿体無いですよ、一つしか読んでないんでしたら単行本を買えばいいじゃないですか」
唯「だって~!コミックスだと出るのが遅いじゃん!待ってる間続きが気になってしょうがないんだもん!」
梓「でも単行本のほうも買ってますよね?」
唯「うん、だって書下ろしとかあるかもしれないし」
梓「……(…どっちかにすればいいのに)」
唯「もう!あずにゃんだって読んでるのに!続き気にならないの!?」
梓「いや別に…それに読んでるのは先輩が無理矢理見せてくるからで…」
唯「あ~そんなこと言っていいのかな~?今月号読ませてあげないよー?」
梓「いいですよ、どうぞ先輩読んでください」
唯先輩の頬がみるみる膨らんでいくのが分かる
顔を紅くさせ、目は少し潤んでこちらを睨み据えている
のだが、威圧感というものがまるで無い
何て愛くるしいんだろう。とさえ思えるのだが、私の胸にはズキリズキリと痛みが走る
唯先輩の表情・仕草・所作振舞い、その全てが私をやきもきさせたり、安心させてくれたり
まぁ落胆させてくれちゃったりもするけど、私の心を満たしてくれる。
だからこそ私が一番好きなのは先輩の笑顔であって、その笑顔を私が崩してしまいそうになっている
そう考えただけで居た堪れなくて、結局はいつも私のほうから折れてしまう
今日だって
梓「…やっぱり私も読みたいです」
唯「…!そうでしょうそうでしょう!あずにゃんってば素直じゃないんだから~♪」
なんて変わり身の、いや立ち直りの早い人なんだろう
ひらりと回ってソファに体を収めると「こっちこっち~!」と言いながら隣を手でポンポンと叩いている
そこに座れということなんだろうけど、正直かなり抵抗がある
毎月こうやってソファに二人で座って漫画を読むのが恒例になってしまっているのだが
私にとっては最大級の煩悩時間(タイム)なのだ
だって、唯先輩が一番近くにいて、顔も近づけて、あまつさえ私から唯先輩の顔を覗いたら
至近距離でその大きな目で見つめ返されたりして、、、、、、、、、、
唯「あずにゃん?どうしたの?ほら早く~」
梓「…へ?あ、はい今行きます」
催促に反応して、つい二つ返事で答えてしまったが
やっぱりこの空間というか時間は、むず痒くていまだに慣れない
その理由の一端は唯先輩(と私)が読んでいる漫画の内容にもある
唯「さーって、あの二人はどうなったのかなー?」
その内容というのが
女の子同士の恋愛を描いた物なのである
唯「あれー?載ってない!?もしかして休載?なんてこったい!」
梓「先輩捲るの早すぎです。目次から探してみたらどうですか?」
唯「おぉーなるほど!あずにゃんってば頭良い!」
梓「頭が良いのとはちょっと違うような…」
先輩…私じゃなくてもこういう漫画を二人で読もうって言ったら、
勘違いしちゃいますよ?
唯「あ!あった~!よかったー今月は無しかと思ったよー」
梓「唯先輩、目次にあるコメントは読んでないんですか?」
唯「え?あ!なんか書いてある!これって作家さんが書いてるのかな?」
梓「やっぱり勿体無い気がしてきました・・・」
ちなみにさっきの続きが気にならないと言った私の言葉
あれは嘘だ
なんたって先月は、作中の女の子の片方である後輩が、意中の相手である学校の先輩に
思いの丈をぶつけた所で終わっているのだ。気にならないと言うほうがおかしい
それはやはりこの漫画の中の後輩に、自分の姿を重ねているからであろうか
上手くいって欲しいと願っているのも、そうなれば私も勇気が貰えると考えているからだろうか
漫画は漫画であり、現実の私は何一つ行動を起こさないでいるくせに
だからこの二人の行く末が、私にとっては重要だった
もし…もしこの二人が結ばれたなら
その時は私も……
- あずにゃんふぁいと、おー☆ -- (名無しさん) 2010-02-12 15:32:09
- 唯先輩〜にゃぁ〜〜/// -- (中野梓) 2010-10-26 18:36:14
- 結ばれたならば、あずにゃん達も結ばれるさ! -- (あずにゃんラブ) 2013-12-31 03:05:44
最終更新:2009年11月15日 03:24