唯「……」ジーッ
梓「な、なんですかさっきから」
唯「さっきムギちゃんといい雰囲気だったよね」
梓「み、見てたんですか?」
唯「まあねー。で、なに話してたの?」
梓「そ、それは…その…」

私は口ごもってしまった。さっきの話の内容を話すのは気恥ずかしいというか、照れくさいというか…
ていうか、もしかして私がムギ先輩と浮気してるんじゃないか、とかあらぬ誤解をしているのではないだろうか。
あれこれ考えると、なかなか言葉が出てこなかった。そしてしばらく沈黙が続くと、唯先輩は…

唯「ぷくく…」
梓「先輩?」
唯「ぷふっ!…あははは!」
梓「な…なに笑ってるんですか?」
唯「ごめんごめん!あずにゃんがあんまり真剣に考えてたからさ、なんかおかしくって」
梓「…唯先輩の笑いのツボはよく分かりません」
唯「それで、あずにゃんは私のどこに恋したの?」
梓「それは…って!聞いてたんじゃないですか!」
唯「でもはっきりとは答えなかったでしょ?私、あずにゃんの口から聞きたいなー」

まったくこの人は…答えにくいことをどんどん聞いてくる。
まぁこういう積極的なところも、好きなところの一つなんだけど…

梓「ムギ先輩の言葉を借りれば…本当の愛らしさ、でしょうか。
 一緒にいると楽しくて、あったかくて、幸せで…唯先輩のそういうところを、私は好きになったんです」
唯「…そっか」

私が言い終えると、唯先輩は私の頭を優しく撫でた。さっきムギ先輩にされたように、ほんわかとした気持ちになる。

梓「唯先輩は…どうなんですか?私のどういうとこを好きになったんですか?」
唯「そうだなぁ…かわいいとことか、あったかいとことか、柔らかいとことか…」
梓「なんか、ずいぶん多いですね」
唯「そう?いっぱいあるんだけど…やっぱり、一緒にいて楽しいとこかな」
梓「…そうですか」

考えてみたら、お互いに恋をしたところを一つ一つ答えていたらキリがない。だって、全部が好きなんだから。
一緒にいる時にお互いに対して抱く、言葉にはうまく言い表せない気持ち。それがムギ先輩の言う本当の愛らしさ、なんだと思う。

唯「あずにゃーん♪」
梓「きゃ…も、もう!いきなり引っ付かないでください!」

私に抱きつく唯先輩の微笑は、私の心を優しく包み込む。
さっきのムギ先輩の微笑を女神の微笑とするなら、唯先輩のは…さしずめ天使の微笑、かな。

おわり


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最終更新:2009年12月07日 04:22