唯「ごめんね。私のせいで……」

梓「唯先輩のせいじゃありませんよ」

唯「でも……」

梓「とにかく先に急ぎましょう」

唯「うん…」

梓「(それにしても寒い…)」ブルブル

梓「(唯先輩と二人っきりで来たスキー)」

梓「(ロッジに向かう途中で道に迷うなんて)」

梓「(雪もどんどん強くなって方向も良く分からない)」

梓「(どうしたら……)」


梓「どうしました?」

唯「あれ…小屋じゃないかな?」

梓「えっ?」

梓「確かに小屋みたいに見えますね」

梓「雪で良く見えませんけど……もっと近くに行ってみましょう」

唯「うん」

梓「(小屋ならそこで一休みさせてもらおう)」

唯「はぁ…はぁ…」

梓「はぁ…はぁ…」ブルブル

梓「確かに小屋ですね」

唯「誰かいないかな?」

梓「呼んでみましょう」

唯「そうだね」

唯「すいません!すいません!」ドンドン

唯「すいません!すいません!」ドンドン

唯「誰もいないみたい……」

梓「(せっかく休ませてもらおうと思ったのに)」ブルブル

唯「あっ!あずにゃん」

唯「ドアに鍵がかかってないよ」

梓「えっ!(本当だ!)」

唯「中に入っちゃおうよ」

梓「そうですね。そうしましょう」

唯「少し古い小屋だね」

梓「でも外にいるよりマシですよ」

梓「雪が止むまでここで休んで行きましょう」

唯「そうだね」

梓「(外にいるよりマシとはいえこんなに寒いなんて…)」ブルブル

唯「あずにゃん、隣良い?」

梓「あ、はい…」

唯「もっとぴったりくっついてた方が寒さがしのげるよ」

梓「……そうですよね」

唯「……」

梓「……」

唯「…あずにゃんからスキーのお誘いが来るなんて思わなかったよ」

梓「たまたま知り合いからスキー場の無料券をもらったからですよ」

梓「二人まで使えたので…それで…唯先輩を」

唯「そっか…」

梓「そ、それにしても唯先輩、一気にスキーが上手くなりましたよね」ブルブル

唯「あずにゃんが上手く教えてくれたからだよ」

梓「でも唯先輩は才能があると思います」

梓「普通、初めてであそこまで上手くはなりませんよ」

唯「そっかなー」

梓「そうですよ。明日もこの調子で滑りましょう」

唯「うん……」

唯「……」

唯「……ごめんね」

唯「私が道を間違えたばっかりに……」

梓「…唯先輩のせいじゃありません」

梓「私がちゃんと道を把握してなかったのが悪いんです」

梓「だから気にしないでください」

唯「でも…」

梓「私…落ち込んでる唯先輩好きじゃありません」

唯「あず…にゃん?」

梓「いつも明るい唯先輩が好きなんです」

梓「だから落ち込まないでください」

梓「明るくいてください!」

唯「あずにゃん…」

唯「うん…分かった!」

唯「えへへ~、明るくいるよ」ダキッ

梓「だからってなんで抱きつくんですか!!」

梓「(良かった…唯先輩、元気が出たみたいで…)」ブルブル



唯「雪、止まないね」

梓「きっと…もうすぐで止みますよ」ブルブル

梓「(雪はさっきより弱くなってるのに…なんでこんなに寒いの)」ブルブル

唯「あずにゃん、寒い?私の上着貸してあげようか?」

梓「大丈夫です。それに唯先輩が上着を脱いだら……唯先輩が寒くなっちゃっいますよ…」

唯「でもあずにゃん凄く寒そうだよ」

唯「何だか顔も青く……」

梓「大丈夫ですから…」ブルブル

梓「(寒いよ…寒い…)」ブルブル

唯「や、やっぱり私の上着を貸してあげる!」

唯「あずにゃん着て!」

梓「すいません……唯先輩…」

唯「ううん、気にしなくて良いんだよ」

梓「(唯先輩から服を借りたのにまだ寒い……)」ブルブル

梓「唯…先輩…」

唯「何!?あずにゃん?」

梓「さっきから…体が寒くて…震えが止まらないんです……」

梓「私…もう…駄目かもしれません」

唯「あずにゃん!」

梓「死ぬ前に……ひとつ言わせて……ください…」

梓「私…唯先輩と……出会えて…良かった…です」

梓「唯…先輩…大好きです……」

梓「唯先輩は…私の…事…どう……思って……」

唯「あずにゃん!あずにゃん!?」

唯「嘘だよね!?明日もスキーするって約束したよね!?」

唯「あずにゃん…うぅぅ……」

梓「……」


梓「……」

唯「!!」

唯「まだ息してる!」

唯「でも雪が……!」

唯「雪が…雪が…止んでる!」

唯「今なら…今なら…」

唯「あずにゃんをしっかり背負って……」

唯「あずにゃん、絶対に助けるからね!!」



梓『ここは…?』

梓『そっか…私……死んじゃったんだ』

唯『あずにゃん、こっちこっち』

梓『唯…先輩…?』

唯『あずにゃん、こっちこっち』

梓『待ってください唯先輩』

唯『あずにゃん、こっちこっち』

梓『唯先輩!!』


梓「…」

梓「……」

梓「ここは…?」

梓「ベッド…?病院……?」

梓「私、まだ生きてる…」

唯「あず……にゃん……zzz」

梓「唯先輩!」

看護婦「気がついたみたいですね」

梓「あっ、はい…」

看護婦「彼女、あなたの事を背負ってここまでやって来たのよ」

看護婦「助けてください!あずにゃんを助けてください!って言って」

看護婦「あの小屋からここまでかなり距離があるのに対したものね」

看護婦「あなたが起きるまで離れないとも言ってたしよっぽどあなたの事が好きなのね」

梓「唯先輩…」

看護婦「先生を呼んできますね」

梓「は、はい…お願いします」

梓「唯先輩…ありがとうございます」

唯「あず…にゃん…zzz」

唯「私も…あずにゃんの事…zzz」

唯「大好きだよ…zzz」
終わり


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最終更新:2011年12月03日 21:51