こんにちは、アニメ化されるまで苗字すら貰えなかった鈴木純です。
 名前あるだけ生焼けガールズよりマシだとか言う奴、屋上に来い。名前のあるなしじゃ越えられねぇ地獄を教えてやる。
 というわけで、今夜は憂の家で年越しパーティーです。…本当は軽音部の鍋パーティーなんだけど、年末年始全く予定がない私を憂と梓が哀れんで誘ってくれたんだ。
 さすがキャラソン出てる人たちは羽振りがよろしゅうございますね。
「そんなやさぐれなくても…」
「そうだよ。私も梓ちゃんも純ちゃんと遊びたかったんだもん。一緒に楽しも?」
 嗚呼…親友ふたりの優しさが眩しい。心のさもしい私には眩しすぎる。
「うぅ…ありがとう、ふたりとも…」
 って言いかけた瞬間、私の口はオートマティックで閉じました。
「あ~ずにゃ~ん♪ぎゅ~でむちゅちゅ~♪」
「憂、今日の味付け、最高よ。みぞれ鍋なんて、あなた、また腕を上げたんじゃない?」
 うらぶれた私に手を差し出してくれてた親友は、それぞれの恋人に捕獲されてしまったのです。
「も、もぅ…唯先輩ったら…恥ずかしいよぉ…」
「えへへ…不思議な感じ…和さんに美味しいって言って貰えたほうがお姉ちゃんのときより嬉しいなんて…」
 おい、ちょっと待て親友ども。
 そこは「今はだめ」とか「ちょっと待っててね」とか断るべきだろ。なにいちゃこらおっぱじめてんだ。このタイミングでお前たちにスルーされたら余計にみじめじゃねーか。
「…って、あれ?梓、いつの間に指環なんか買ったの?」
「おぉっ、純ちゃん、お目が高い!こないだのクリスマスにね、ペアリング買ったんだぁ。ペアリングって言うか、エンゲージリングって言うかぁ…」
 真っ赤になってる梓に代わって唯先輩に懇切丁寧な説明を頂戴しました。
 えぇえぇ、梓と唯先輩の左手の薬指にはお揃いの指環がはめられていましたとも。仲がよろしいこって…って、いや、気ぃ早くね?
 せめて憂と眼鏡の人(生徒会の人だっけ)みたいに年に見合ったお付き合いを…
「見て見て、純ちゃん♪私も和さんに新しい首輪をプレゼントして貰ったんだぁ…えへへ♪」
 あ、だめだ。終わってる人に常識求めた私がいけなかったわ。
 うぅ…痛い。親友どもの裏切りが痛い。具体的にはぴちゃくちゃって言うベロを絡め合う音が耳に痛い―っつーかナニおっぱじめてんだ、こいつら。
「梓…私もう我慢できないかも…」
「んっ…唯…唯ぃ…」
「すごい…ステキです…和さん…」
「いけない子ね…こう言うときは和って呼び捨てにしてって言ってるじゃない」
 おい、誰かこいつらを打ち殺す武器をくれ。
「うぅ…悔しくないもん」
 色ボケどもなんかもう知るか!荒んだ心を軽音部の花に…澪先輩に癒して貰うもん。
「澪、重くない?足痺れたら言えよ?」
「痺れてないし、重くもないよ。…律の重みがさ、私の膝にしっくり来るのがすごく嬉しいんだ」
「へへっ…あたしも♪」
 癒して貰うどころか何倍増かのダメージを叩き込まれました。モルスァッ!
 膝枕ですよ、おい。あの澪先輩が律先輩を膝枕してやがりますよ。何あの夫婦。
 人目をはばからずアッハンウッフンな平沢姉妹の恋愛事情(っつーか情事)を見せつけられた後だけにこう言う普通なカップルぶりがえらく効くなぁ。…堪えるなぁ。
 ときどき控え目に律先輩にキスする澪先輩のあの愛らしさよ。あーあー…顔真っ赤にしちゃってまぁ…。
「照れてる澪も可愛いよ。…澪の一番可愛いとこ、見せて欲しいな」
「り、りつぅ…」
なにこのイケメン。かっけーし、ド畜生。
「あん、もう…さわ子先生ったら…甘えん坊さん♪」
「だってぇ~ムギちゃんが可愛過ぎるんだもの。一日中こうしていたいわ」
「うふふ…実は私も同じ気持ちよ、さわ子さん」
「はきゅぅぅん!その呼び方、たまんないわぁ!もうこのまま紬をお持ち帰りしたいっ!しちゃうっ!」
 そうこうしてるうちにもう一組のほうもキックオフなされました。
 なんだかなぁ…高校教師と生徒の恋愛ってもっと隠れてやるもんじゃないのかなぁ。野島伸司が見たらこれキレるわよ、きっと。ドラマにならないじゃないの。
 紬先輩ってごんぶと眉毛と百合ウォッチャーなイメージが強かったけど、自分でヤる場合もなかなかスゴいわ。
 猫みたいにじゃれついてくる先生を頭撫で撫で喉ごろごろしてうまく愛でつつ、自分では先生の首筋に大量のキスマークを…なんと言うテクニシャン!その道に隙ナシね。
 貞操の危機がイヤンな感じ。…つーか、このカオスってる状況に慣れ始めてる自分が一番イヤンだわね。
「んっふぅっ…梓の…今日…しゅごいよぉ…ふぁぁっ」
「ちゅっちゅぷ…だって…唯が…可愛すぎるんだもん…んくっ…我慢できにゃい…」
「私は和の奴隷です。一生あなたの所有物なんです」
「あなたを手放すつもりなんてさらさらないわ。さぁ、跪きなさい、一生可愛がってあげるわ、憂」
「律…おでこに大根おろしぶっかけてペロペロしてもいいか?」
「澪はホントにそれが大好きだな…うん、いいよ。あたしの全部、澪のものだもん」
「隙ありぃ♪さてさて攻守交代、今度は私がたっぷりいぢめてあげるわん♪」
「もぅ、さわ子さんったら大胆♪」
 …ん?あれ、冷静に考えたらこの状況って…まさか私…ぼっち?!
え、え、え?うそ、だってこれみんな仲良し年越しパーティーじゃ―
「えへへ~、もう梓に首ったけだよぅ~」
「私も唯の体温が大好きなんです。弱いんです」
 ―うん、違うな、これ。このド腐れども、いちゃこら発表会をしたかっただけと違うんか。しかも観客あたしだけ。相手もいないあたしだけ。
 生焼けガールズですら妄想膨らむのに、相手候補すらいなくて妄想もへったくれもねぇぼっちなあたしだけ。
 これはあれですか、新手のいぢめですか。いい加減にしないと砂吐くぞ。
「にゃー」
 うぅ…あたしを心配してくれるのはあんただけだよ。連れて来て良かった…あたしの可愛い―
「あ、あずにゃん2号だぁ~」
―what?唯先輩はあたしの可愛い飼い猫を、飼い主が初めて聴く名前で呼び付けやがりましたよ?
 ていうか服着てください。
「連れて来てって純に頼んでおいたんです」
 梓も服着ろ。
 汗でベタベタになった肌に乱れた髪が張り付いてるのがなんだかアレでナニなテンションになってまうやろが。誘ってんのか。
 つーかあずにゃん2号ってことは梓が原因か。さながら唯先輩と梓の子供みたいなもんか。なにそれ可愛い!
「あずにゃん2号もこっちおいで♪」
「も~、あずにゃん2号に浮気しないでくださいよぉ、唯ぃ~」
 おい、待て。さも当たり前みたいにあずにゃん2号って呼ぶな。まだ養子縁組を許可した覚えはない―って、ちょ、待てよそこな猫!
 明らかにぼっちな飼い主を置いてゆいあずんところへ行くとか、飼い猫ってレベルじゃねーぞ!
「…ぷっ」
 鼻で笑いやがったよ、この猫。

 そんな2009年の年越しパーティー。
 やること(百合的な意味で)なくてヒマ&ぼっちだったあたし鈴木純はこのとき来年の抱負を立てました。
 リア充爆発しろ、と。


  • 純wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww -- (名無しさん) 2010-02-13 11:56:40
  • 何気にあずにゃん2号が一番ひでぇ -- (名無しさん) 2010-05-03 22:04:27
  • 猫ひでぇwwwww -- (名無しさん) 2010-06-30 23:31:41
  • ちょwwwwwこれはwwwwwwww -- (名無しさん) 2010-07-05 01:04:17
  • がんばれ、いつか君の時代が来るさ(……多分) -- (名無しさん) 2010-07-06 22:10:14
  • まだかな…私の時代… -- (純) 2010-07-31 04:25:12
  • 純頑張れwww -- (名無しさん) 2013-01-23 13:22:44
  • 2017年になっても私の時代が来ないね -- (純) 2017-05-12 00:30:20
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最終更新:2010年01月06日 12:32