ムクリと体を起こし、時間を確認するととまだ待ち合わせの時間までかなりの時間があります。
興奮のあまり早く起きてしまいました。
体は早くも臨戦態勢を訴えかけているようです。
何の待ち合わせかって?
今日は唯先輩とデートなのです。
デート!
D・A・T・E!

D=大好きな
A=あの人と
T=とっても
E=エッチなことができる日

で間違いありませんよね?
少なくとも私の辞書にはこれしか刻まれていません。
これは気合を入れて望まなければいけませんね。
今日は記念日になるのです。

えっとうるさい・・・ですか?すみません。
しかし今日は唯先輩からデートのお誘いがあったのです。
これでテンションが上がるなと言う方が無理な注文です。
恋する乙女はみんなデートの甘味な響きと幻想にとらわれてやまないのです。
それは私も例外ではありません。

しかしいくらなんでも今から向かうには早すぎます。
とりあえずシャワーを浴びて来ることにしましょう。
防水性の透明のビニールに包んだ唯先輩の写真の準備は万全です。
その後に再び周辺情報などの予習をしてから向かうことにしましょう。

時計をちらりと見ると待ち合わせの時間まで残り一時間半というところでした。
後輩たるもの先輩を待たせるわけにはいきません。
なのでそろそろでかけることにしましょう。
持っていくのは猫ちゃんポーチ。
デフォルメされた少し間抜けな猫の顔の形をしています。
これをもっていけば唯先輩の興味を買うこと請け合いです。
携帯を取り出し唯先輩の写メに今から行きますとささやいて家を出ました。

「にゃー」

待ち合わせ場所の途中にある近所の公園から私に訴えかけてくるものがいました。
吸い寄せられるように声のした方へ行くとそこには一匹の子猫がいて、つぶらな瞳で私を見上げています。
何か食べられるものでも持っていたらいいのですが、あいにく私は今食料の類を持っていません。
ごめんねと謝ろうとしたら子猫は私にスリスリと自分の体をこすりつけてきました。
そして再びにゃーとひと鳴きし、私の前方数メートルへと移動し私をちらりと振り返りました。
私は瞬時に理解しました。
この子猫は遊び相手が欲しいのです。
過分に時間に余裕をもって出てきたのであずにゃん3号と遊んでもバチは当たらないでしょう。

しばらくいっしょに追いかけっこや探索ごっこなどをして遊んでいたら、あずにゃん3号は急に立ち止まりました。
私がどうしたのと聞いてもこちらを振り向いてくれません。
そのまま茂みの方へ向かってとことこと歩いていき、にゃーとひと鳴きしました。
すると茂みの中からあずにゃん3号よりも一回りほど大きい、しかしそれでもまだ子猫のあずにゃん4号が姿を見せました。

あずにゃん4号は歩くよりは早く、走るよりは少し遅い駆け足程度のスピードであずにゃん3号のもとに寄って行き、そのままスリスリと体をこすりつけました。
あずにゃん3号の方も幸せそうな顔をして可愛らしくみゅーと鳴き、同じくあずにゃん4号にスリスリとしています。
この二匹は家族なのでしょうか、それともお友達なのでしょうか。
なんだか二匹を見てると私と唯先輩を見ているようで自然と頬がにこにことしてしまいます。

名前をあずにゃん4号からゆいにゃん2号へと改名し、お邪魔にならないようにもう行くねと二匹に声をかけました。
二匹は私ににゃーと返事をしてくれました。
その鳴き声は私にがんばってと言ってくれているような気がしました。

時計を確認すると30分前でした。
それでもまだ時間に余裕があり、いつまでも幸せに、素敵な出会いをありがとう、とあずにゃん3号とゆいにゃん2号に感謝します。
今度は二人と二匹でいちゃいちゃしようと思いながら私は足早に待ち合わせ場所へと向かいます。
待ち合わせ場所は駅前になぜかあるオブジェの前です。
そこそこ名の知れた芸術家が作ったそうですが、私には微塵の興味も関心もありません。
けれどようやく唯先輩と会えるのだと鼻歌交じりのるんるん気分でスキップなんかしちゃう私はまだまだ子供です。
でも仕方ないじゃないですか!
愛しのあの人とデートなのですから!

ようやく駅前へと到達し、へんてこなオブジェの方へと視線を動しました。
おや、あそこにいるのは唯先輩?
なんということ中野梓、唯先輩を待たせてしまうとは一生の不覚です。
腹を切って詫びたいところですが、死んだら唯先輩と会えなくなるので気持ちだけということにしておきます。

唯先輩は熱心に携帯をご覧になっているところです。
もしかして私の写メをとテンションが爆発しかけたところで熱心に指もピコピコと動いているところからそうでないと悟ります。
おそらく携帯でゲームをしているのでしょう。
それにしてもまばたき少なく画面に視線が釘付けで真剣さが伺える瞳とテンポよくボタン上を行ったり来たりしている指先に痺れます!
なんとキラキラとした瞳と綺麗な指先なことでしょう!

少々立ち止まって観察していると、やがて唯先輩はあちゃーといった表情で携帯から視線を外し、前方へと目を向けました。
そこには唯先輩を凝視していた私がいて、お目目とお目目がバッチリあっちゃいました。
みるみるうちに唯先輩は落胆の表情から笑顔へと変わり、『あずにゃん♪』とまるで迷子がお母さんを見つけたかのようにこちらへと駆け寄ってきます。
いえ訂正、待ち焦がれていた恋人がようやく姿を見せたかのように、です。

小走りで私のところに到達し、そのままゼロ距離からの抱きつきです。
たまりません!
どうしてこのまま時が止まらないのでしょう!
良い匂いで鼻腔がくすぐられ、暖かな体温が全身で感じられます!
ああ、私は今世界で一番幸せです。
この幸せをいつまでもと神に祈りながら、今日のデートに心踊らせるのでした。

~fin~


  • 続きを・・・! -- (名無しさん) 2010-02-13 12:36:48
  • 大好きなあの人ととってもエッチなことができる日wwwww -- (TEAM2000) 2010-07-29 19:58:33
  • DATEwwww -- (名無しさん) 2010-08-30 14:13:53
  • さてこの後どうなるかな? -- (あずにゃんラブ) 2013-12-31 03:22:11
  • 梓全壊wwwww -- (名無しさん) 2017-05-12 00:41:24
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最終更新:2010年01月21日 03:08