それは卒業式が近づいたある日の放課後のこと。
ギターを持った唯先輩とあずにゃんが二人で仲良く、手を繋ぎながら日が暮れた道を歩いていました。


「やっぱり、夕方になるとまだ寒いね」
「そうですね。昼間はポカポカでしたけど」
「あぁ~あ、早く春にならないかなぁ。お花見しながらお団子が食べたいなぁ」
「一昨日、ムギ先輩が持ってきてくれたじゃないですか。アンコとみたらしのやつ」
「えへへ、そうだったね」

ヘアピンで髪をとめた唯先輩が照れくさそうに笑うと、隣の小柄なあずにゃんも少し寂しそうに笑いました。

「・・・私はもうちょっと今の季節がいいですね」
「どうして?」

あずにゃんの様子に気付いた唯先輩が優しく問い掛けます。
あずにゃんは立ち止まって、下を向いてしまいます。

「どうしてって・・・」

あずにゃんは大好きな唯先輩が卒業して離れ離れになるのが寂しくて仕方ありません。
でも、不器用で優しいあずにゃんはその気持ちを唯先輩に伝えることが出来ません。
そして、気持ちを伝えて唯先輩を困らせることも。
だから、どうしていいか解らずに俯いてしまったのです。

「大丈夫だよ、あずにゃん」

しばらくあずにゃんを見つめていた唯先輩は、そう言ってあずにゃんを抱き締めました。
大好きなあずにゃんが素直になれるように。
不安な気持ちを少しでも無くしてあげれるように。
小さなその身体を優しく撫でてあげます。

「ゆい、せんぱい・・・ずっと一緒に居て下さい・・・」
「うん。私はあずにゃんとずっと一緒にいるよ」

唯先輩はギュッと腕に力を込めます。
言葉だけじゃなくて、自分の身体からもその気持ちが伝わるように。
そして、ゆっくりと言葉を伝えます。

「雨が降っても、風か吹いても・・・」
「どんな時でも私はあずにゃんの傍に居てあげるから」
「だから心配しないで・・・ね?」
「大好きだよ、あずにゃん」

「ゆいせんぱいっ・・・」

唯先輩の言葉を聴いて、あずにゃんの瞳からポロポロと涙がこぼれました。
涙は頬を伝って次々と地面に落ちて行きます。
唯先輩は涙の跡が残った顔に唇を近づけて。
それから、二人は優しくキスをしました。

あずにゃんが泣き止んだあと。
二人はまた手を繋いで歩き始めました。

「キスって何だかしょっぱい味だね。もうちょっと甘いかなぁと思ったんだけど」
「それはあのタイミングで唯先輩がキスするからです」
「だって、何かそーいうムードだったしさぁ」

ちょっとだけ腫れた瞼を擦りながら、あずにゃんが抗議します。
その表情にはもう寂しそうな気持ちは見えません。

「もう・・・私、始めてだったんですからね」
「私もだよ、あずにゃん」

微笑みかける唯先輩に、あずにゃんは恥ずかしそうに呟きます。

「・・・責任とって下さいね」
「もちろんだよ!」

二人の間をほんの少し春の匂いがする風が吹き抜けていって。

「絶対に幸せにするからね、あずにゃん!」

唯先輩の言葉に頷くと、あずにゃん
は静かに先輩に寄り添いました。


おわり



  • 責任ってなんだ? -- (あずにゃんラブ) 2012-12-29 21:58:17
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最終更新:2012年09月11日 05:54