―――2月15日(月) 放課後 部室―――
唯「ごめんなさい梓様!!チョコ忘れました!!」
梓「……、……理由は?」
唯「えーと。先週の金曜日に、皆がチョコ渡してたから、ああもうすぐバレンタインだっけって気付いたんだけど……」
梓「……私も、渡しましたよね」
唯「はい!もうそりゃあ美味しくて美味しくて……。あ、いや。そうじゃなくて……。
  ええと、とにかく、それまで忘れちゃってたのね」
梓「そう言ってましたね。金曜日に」
唯「うん。だから、土日のうちに、がんばって作ろうと思ったんだけど……」
梓「……けど?」
唯「土曜日は爆睡して、ほぼ一日寝てて……。
  日曜日は、お父さん、お母さん共にバレンタインでいなくって。いないことは覚えてたんだけど、『バレンタインだから』いないってことは、忘れてて。
  夜に、憂からチョコを貰ったところで、『今日バレンタインじゃん!』と気付いて……」
梓「……テレビとかで、嫌というほど言ってましたけど。バレンタインだって……」
唯「テレビ見てなかったのん……。録ってたやつ見てて……。
  と、とにかく、チョコを作ろうと、材料求めて近くのスーパーに走ったんだけど、置いてなくて……。憂が使った材料も、もう残ってなくて……」
梓「……憂、チョコ渡すの遅かったんですか?」
唯「うん。晩ごはん食べて、そのあとのデザートにバレンタインチョコケーキ……、だったから」
梓「はぁ……。……で?」
唯「で!今朝、走って行った訳ですよ!コンビニに!!」
梓「はい」
唯「夢の中で!!!」
梓「…………はぁぁ」
唯「あううう……。ごめんなさい……。しかも寝坊ですすいません……」
梓「土曜日爆睡したくせに、寝坊ですか……」
唯「寒いと布団から出たくない病が……」
梓「恋人より、布団ですか……」
唯「そ、そんな訳じゃ……。って、説得力ないね……。ごめん……」
梓「……はぁ。まぁ、理由は分かりました。大変唯先輩らしい、抜けてるどころか、すっぽり穴があいてるみたいな」
唯「あい…………」
梓「でも唯先輩。何か勘違いしてません?」
唯「あい?」
梓「何も、バレンタインに必ずチョコを渡さなきゃいけない、なんて決まりはないんですよ」
唯「? うん……?」
梓「私は、唯先輩にチョコを渡しました。渡されたら、それからどうしますか」
唯「え?そりゃあもちろん食べて……」
梓「……食べて?」
唯「食べて……。んん~、お返し……、っ。あ」
梓「そうです。ホワイトデーに、お返ししてください」
唯「そ、そっかぁ!!ホワイトデーあるんだった!!忘れてたぁ。えへへ」
梓「まぁ、最近影薄いですからね、ホワイト……」
唯「じゃあ、忘れずにホワイトデーにお返しするね!あずにゃん!!」
梓「はい。楽しみにしてますね、三 倍 返 し」
唯「うん、三ば……。……え?」
梓「あー、楽しみだなぁ。唯先輩の三倍返し。何せ、あんなに気合入れて作ったチョコですからねぇ。土日にチョコ作ってくる、ていう約束まで破られたし。爆睡で寝坊だし」
唯「う、それは……、あう……、ちょ……」
梓「ホワイトデー、楽しみにしてますからね、唯先輩♪」
唯「あううううっ……!(なんという、良い笑顔……!!これは、本気…………!!!)」
―――
律「私らも、チョコ渡したのに……」
澪「市販品だけどな、お前の」
律「うぐっ……。で、でも愛は籠もってるぜ!!」
澪「うそこけ」
律「こきました。……いや、でも友情はこもってる」
澪「何それ」
律「お前はずっと、私の心の友だぜ……、みたいな」
澪「……ジャイ○ン……」
律「え?」
紬「良きかな良きかな♪」

おわり


  • なんかこう梓に責められる唯っていいね -- (名無しさん) 2010-08-06 17:04:24
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最終更新:2010年02月19日 14:26