その日は朝から体調が悪かった。
ここ最近寒暖の差が激しいし、少し風邪気味かなぁ、くらいに考えていたら、放課後になって急に具合が悪化してしまった。
迎えに来てもらうにも、親は仕事で夜まで来れないらしいし…仕方ない、なんとか自力で帰ろう。

「私が送っていってあげる!」

…と思って早退の旨を伝えたとたんにこれだ。まったく、大げさなんですよ唯先輩は。
ちょっと熱で顔が赤いだけなのにそんな…まぁ、嬉しくないわけじゃないんですけど。

「そんないいですよ。迷惑かけられません」
「ダメだよ!途中で倒れたらどうするの?さ、いいから!」
「…あの、そのポージングの意図を伺ってもいいですか?」
「なにっておんぶに決まってるじゃん!ほれ!」
「いや、ほれって…」
「ほれ!」
「…じゃあ、お言葉に甘えて…」

あまりの気迫に圧されて、私は言われた通りに唯先輩の背中に体を預けた。
その背中は思っていたよりも大きくて、あったかくて…思いがけず私はドキド「うぬぬー…」キして…

「…あの、あまり無理しないでいいですよ…?」
「いい…のっ!」
「でも…」
「あ、あずにゃんは私に任せてゆっくり寝てて!が、頑張って送るから…ふぐぐ…」

ゆっくり寝ててと言われても、こうよろよろと歩かれたら目を閉じることすら怖くなる。
ホント、唯先輩は自分の限界がわかってないっていうか、無茶っていうか…
私のためにこんなに頑張ってくれるなんて、なんだかむずがゆいじゃないですか。

「…唯先輩?」
「な…な、なに?」
「私、唯先輩のこういうところ…スキですよ」
「え?」
「何でもないです!さ、早く送っていってください!」
「わ、もう元気じゃん!」
「げ、元気じゃないですー!」

続いたりするかも


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最終更新:2010年04月07日 12:39