憂によれば無事に修学旅行から帰ってきたらしい唯先輩。
どんなタイミングで『あずにゃん分補給』をしに来るのかな、と首を長くして待っていた私だけど、唯先輩は一向にやってこないまま時間は過ぎ…

放課後になっちゃった…」

遅くとも昼休みには来るだろうと踏んでいた私は軽くがっかり。
…まぁ普通に考えてわざわざ1年の教室まで来るのがおかしいんだよね、と自分を納得させて部室へやってくると、待ち望んだ後ろ姿はすぐに見つかった。
他の3人はまだいないようで、唯先輩は一人テーブルに肘をついてぼんやりと座っていた。
まったく何してるんだろ、私のことほったらかしにして!

「唯先輩!」
「……」
「ずいぶん冷たいんですね、恋人がずっと心配してたっていうのに」
「……」
「…唯先輩?」
「…心配なんかしてない癖に」
「へ?」
「憂と純ちゃんと3人でお泊まりして遊んでたんでしょ?…私のことなんか忘れて」
「違います!私はちゃんと…」
「あずにゃんのばか。もう知らない!」
「唯先輩…」

どうやら唯先輩は私がお泊まりしてたことが気にいらないらしい。
でもお泊まりの何がそんなに嫌なんだろう…やれやれ、唯先輩はよくわからないや…てことで。

「唯先輩」ギュッ
「……!」

何かあった時にはすぐに抱きしめる。それが私たちにできる一番の仲直りの方法だ。
でもまさか、このタイミングで使うなんてなぁ…

「私、先輩のことずっと考えてましたよ?忘れるわけないじゃないですか」
「…嘘だ。だって一回も電話してくれなかったもん」
「旅行中に長電話してたら先生に怒られちゃいますよ。それにいつ掛けたらいいかわからないし。唯先輩、行動予定教えてくれないんですもん」
「……」
「私ホントにずっと寂しかったですよ?唯先輩に会えなくて」
「…あずにゃんは私なんかいなくたって平気なんだ。だから泊まりなんてしたんでしょ」
「それは憂が寂しがるからですよ。唯先輩だって憂が一人で泣いてたら嫌でしょ?」
「……うん」
「だからいじけないの。私は先輩のこと大好きだから」
「ホント…?」
「ホントだよ」
「わかった…私もあずにゃん大好き」

そう言うと唯先輩は私にしがみついた。その姿がとてもいとおしく感じられて、思わず両手に力がこもる。
ふと目が合って、私たちは見つめ合った。唯先輩の目が何かを求めるように潤むのを見て、私は提案する。

「…キス、しましょうか」

「うん…久しぶりだからドキドキする」
「出発の前にしたじゃないですか」
「3日もしなきゃ久しぶりって言うんだよ」
「そうなんですか」
「そうなんだよ」
「……」
「……」
「…好きだよ、唯先輩」

3日ぶりに重ねた唇は、いつもより甘くて、切ない味がした。
どうってことないって思ってたこの3日間。それがとても長く感じられたのは、自分が思ってるより寂しかったから、なのかな…

「ん……ふっ…ぁ…ん……」
「ゆい…せんぱい…わたし、我慢…できないかも…」
「したくなっちゃったの…?」
「うん…」
「あずにゃんのえっち」
「ゆ、唯先輩に言われたくありません!…言ったでしょ、私だってホントに寂しかったんです」
「うん、わかってる…私もだから」
「…今日は3日分、頑張りますからね」
「うん♪」

おわり

なぜかその日軽音部はお休みになったそうです。


  • きっとりっちゃん達は空気読んだんだな -- (鯖猫) 2012-10-14 15:55:02
  • そうだ!!エライゾ!りっちゃん! -- (あずにゃんラブ) 2013-01-20 02:19:18
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最終更新:2010年05月05日 22:07